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うちの学校は何て事を

新キャラを出そうとするなんて大丈夫か?

大丈夫だ問題ない。

というかこのままじゃ終わり方考えたらひたすらにホモエンドなんだよ、それだけはやめて本当にお願いだから。

胸倉をつかまれる少女一人と不良に囲まれる少女複数。

服装やたたずまいからしてどこかのお嬢様学校のもの。

このような一般の学生がくるような高校でそういった存在はやはり目立つため、絡まれるのも宿命か。

不良は腕を振り上げて、その少女たちを殴ろうとした。


――その時。


そんな囲まれている少女たちに飛び出す影が一つ。

黒髪の長髪を持った少女は、一瞬で不良の横に降り立つと腕を取り、殴ろうとしていた力のベクトルを変えて、不良へ足をかける。

殴ろうとした勢いのままこけかけた不良へと少女は力を籠めて――投げる。


十メートルはとんだだろうか、後方でドサッという音を聞き、不良は唖然とする。


「お、お前何者だ…」


「わたしか?」


黒髪の少女は自身の顔にかかる髪を救い上げると、不良へと視線を向けて不敵な笑みを浮かべて言った。






「私は――月野神夜だ。」






それはどこかの漫画でありそうな展開で、どこかの小説でありそうな展開で、つまりは正直ありえないといった感想を持てる場面。

後ろのお嬢様型は呆然としながらも少女を見ている。

月野神夜――否、山田幸助は心の中で意味不明な記号の羅列を考えて、これで宇宙と交信できるかな、などと現実から全力逃避している、思考だけで体は逃げられていないが。

しかし、山田幸助は現実逃避していながらも、心の中では歓喜していた。

元の自分では、助けられない、俺の性格は、勇気は、そんなに強くない。

やれたとしても先生を呼ぶといった他力本願的な行動、いや、その行為こそ正解なのだろうが、今まさに殴られようとしている少女たちを見捨てて、他人に頼るなんてこそは男として見捨てられない。

だが力がない、それは言い訳だが、言い訳を創り出せてしまう自分の力の程度が憎い。

だが――彼女は違う、彼女であれば違う。

力がある、方法がある、ならば今俺がやるべきなのはその力を扱える状態となって、勇気を持って踏み出すだけだ。そして俺はそれができた、うれしいと感じて何が悪いか。

俺は振り向いて、少女たちへと優しく微笑んだ。


「--ありがとう。」


勇気を持って踏み出せた。








時は一時間前にさかのぼる。

HR後の教室は男子たちの喜びの声で満ち溢れている。

理由は簡単『学園祭』だ。

何故女子の声がないのか、それはこの学校の学園祭から説明しなければいけない。

内の学生は周りの学校との関係を深めるために、毎年どこかの学校と合同ですることになっているわけだが、今回のその相手がお嬢様学校なのだ。


「ヒャッハァァァ!」


普段静かな男子諸君も、どこの世紀末だと言わんばかりに叫びを上げ、女子たちに冷たい視線を浴びせられようがお構いなしの状態だ。

正直俺もうれしい、うれしいのだが――


「フッ…」


この横にいる我が親友によってその喜びが相殺されてしまっている。


「お嬢様…戦闘力たったの5か…ゴミめ…」


お嬢様に戦闘力を求めるなよ。


「神夜さんとは比べ物にならんわゴミめ…」


もうやめて、俺のライフはもうゼロよ、そう叫びたくなるほどに羞恥心、本当にやめてほしい。

ここ最近恥ずかしい思いをすることが多すぎる、そして何故俺を比較の引き合いにだす。

お嬢様と俺の女版だったら逆だ――いや戦闘力だったらそのとおりだが。

女子力という名の戦闘力だったら文字通り逆だ。


――いや、うん、俺女版だったら料理洗濯掃除裁縫編み物なんでもござれだったけれど。


しかし元々男と女では女性らしさとかが――


――いや、うん、おそらく俺女版俺がいたら好きになってる。


ダメだこりゃ、これ以上思考したらどんどんと墓穴を掘ってしまう、シャベルじゃなく重機を大量に使ってガンガン掘ってしまう。

よしこの思考を中止しよ


「あぁ~会いてぇ…合ってあの綺麗な髪の毛に顔をうずめて臭いをかぎてぇ…絶対甘い香りする。」


思考の波にとらわれたいな、寧ろ潮の流れに流されたい、もう帰ってこれなくていいから。

貴方の会いたい人が今ここにいますよ、そしてお前の変態的言動を聞いておりますよと言ってやりたい。


「そ、そういえば学園祭かぁ何やるんだろうな?」


無理やり相手の思考を変換する作業に入ろう、成功しろ!


「どうせメイド喫茶とかでてくるんだろ?でもみんながめんどくせーとかいって無難になるんだぞきっと」


「あぁありそうありそう。」


「あぁ…メイド服姿の神夜さんみてぇ…会ってスカートに顔をうずめてぇ、寧ろすべてを貪りつくしてぇ」


…こいつの前で女性化することだけはやめておこう。

勇人を土に埋めれば俺の平和が戻ってくる気がしたけどやめておくことにする。






ブツンッという音がスピーカーから流れ、放送が流れ出す。

内容は体育館に集まれとのこと、おそらくは今回の学園祭についての説明、それと合同で行うお嬢様学校とやらの説明か、紹介かといったところだろうか。

体育館に集まっていくとやはり注意…というより忠告だった。

『騒ぎを起こさないように』とのことだ。

万が一事故でも起こったらこの学校がどうなるかわからない、結構有名な高校でも権力には勝てない。


『えー次は…』


そうマイクで校長が話し始めて、現れたのは凛と佇む少女。

あちらの学校の生徒会長らしい、ピンと背をまっすぐとして、綺麗な歩き方をして壇上へと上がる。

そして挨拶が始まり、ざわざわとうるさかった生徒は静まり返った。

まるで絵画をみているような光景がそこにあった。


「かわいさがたりんよ」


「勇人は黙ってるべきだと思う。」


「神夜さんは可愛さときれいさを併せ持ち、心優しきスーパー美少女だが、あっちは美少女だ。違うがわかる男、勇人。」


「もうお前死ねよ。そもそも声を低くしろ」


素で罵倒してしまったが後悔していない。

俺は声を低くしているが、勇人は真顔で普通の声量だ、体育館に声が響いてしまっている。

それを注意してみると、視線を感じた、何事だと思い前をみると、前に立っている生徒会長ににらまれている。


――もしかしてこれは、話しているのは俺だと思われているのだろうか。


つまり今この少女は「神夜さんは(省略)」といった言葉を俺が発しているとでも思ったのだろうか。

たしかに俺もしゃべったが、それでも俺は言ってない。


『静かにするように』


校長からの忠告、本当に申し訳ございません、そして勇人、何お前は関係ありません見たいな顔をしているんだ、殴っていいよな?後でビンタな。


「戦闘力50か…ゴミめ。」


増えている云々はもういいとしてお願いだから黙ってくれ。





昼休みになりいつも通り飯を食う。


「今日のごはんはメロンパン、メロンパン、メロンパンだ。」


「メロンパンのみかよ。」


「早く授業が終わって、いつもは売り切れているメロンパンが大量にある光景を見て俺の中で何かが狂ったんだよ…」


勇人の昼飯がメロンパン乱舞になっている光景をみながら俺は弁当を食う。


「突撃、隣のお昼ご飯!」


「やらせん。」


途中勇人がメロンパンに飽きて俺の弁当を取ろうとしてきたがそれを防ぎ続ける。

テンションがおかしかったとはいえすべて防ぎきるとは。


「お願いだ…メロンパンやるから。」


「俺の弁当、かつ丼弁当だぞ?」


「炭水化物だらけかよ…じゃあカツとメロンパンを交換だ。」


「いやなんでだよ、俺の弁当をメロンパン丼にするつもりかよ。」


「新境地だ。」


そんな新境地入りたくない。






昼休み、勇人に飲み物を買ってくると告げると、勇人から150円を渡されて要望があった。

『ウーロン茶を、できれば黒いやつを、あれ苦めだからこの甘ったるさから逃がしてくれる』と口元を抑えて、そのまま机の上に伏せる親友を見ながら、俺は少し急いでやろうと思って下の階に降りた。

すると、学校の裏庭で不良に囲まれているお嬢様たちをみた。


不良を睨みつける生徒会長――一触即発の空気。

思わず歩いてきた廊下の窓の下の部分に隠れてしまう。

窓は閉まっているせいか、何かしゃべっているのだろうが微妙にしか聞こえないために何をしゃべっているかわからない。

だが不良がキレちゃっていることだけはわかる。

先生を呼びに行かなければ――そう思った瞬間、不良が腕を振り上げ止めた。

生徒会長はおびえすらみせない、そのうえに怒りをさらに見せている。

不良はきっと殴る意思を見せれば自分の言いなりになるとでも思ったのだろう、自分の納得のいくようにいかないためか、さらに怒りを見せている、--なんとも自己中心的な性格のようだ。

しかし一触即発、先生を呼びに行く間に何かがあってはいけない、しかし力が――あぁ、そうだ。


廊下の左右を見る、視線を受けていないかを見続ける、よしない。


「変身――」


俺は窓を開ける、すると声が聞こえてきた。





「調子にのってんじゃねぇぞテメェェ!」




ジャストにキレるとは、正直タイミングが良いのか悪いのか。

窓枠へと足をかけて俺は強く飛んだ――




そして冒頭だ。




逃げ出す不良を見ながら、俺はため息をつく。

さてさっさと逃げなければ、そう思って走り出そうとすると、掴まれていることに気づいた。


「あなた、何者?」


そういって俺を掴みながら、俺が隠れていたところにいき、左右を見る。

冷や汗だらだらな俺は逃げ出したい。


「あなたここに隠れてた少年しらない?私の話を聞かずに何かベラベラしゃべってた男の子。」


俺ロックオンされとった、そう気づいてさらに焦りが強くなる。


「わ、私しりませんの」


「そもそも何であなたが男の子が隠れたところからでてきたの?」


俺は馬鹿だ、俺は馬鹿だ、俺は馬鹿だ。

力を持って人を助けられるとうれしく思って助けたくせにこの状態だ――。

そもそもこの女性は不良につかまれていたというのに、冷静に周りをみていたのか、そして俺を発見した。

凄い肝っ玉だ。


「隠れて出てくるまでの時間は私があの男の子を認識した時間からすると数秒、そもそもあなたはそこにいたの?あのバカな男子を倒すほどの力を持ちながらすぐに助けに入らなかった」


「ね、寝てましたの」


「廊下で、それで男の子が起こして、男の子は逃走、そしてあなたは助けに入るってこと?…ごり押しもいいところね。」


それは君が勝手に考え付いたことだろう…いやきっかけは俺だけども…。

この子色々と鋭いけど独りよがりな部分が…って何を考えているんだ俺は。


「用事がありますの!」


仕方がない、無理やり逃走するしかない、とりあえず言葉だけ残して回れ右して逃走。

後ろで「あ、待ちなさい!」と声が聞こえるが気にしない、気にしては負けだ。






逃げて逃げて、そして廊下で息を吐く。

ふぅ、もう大丈夫か後ろを振りむいて誰も追ってこないことを確認。

すると前方に影があった。


「あ、君は…」


…?

なんだろうかと思い前を見るとそこにいたのは――


神宮寺くん。


「(オィイイイイイイ!)」

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