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異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手しちゃうから!  作者: 明衣令央
第二章:のんびりまったりスローライフ?

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第77話・村長の話


 スモル村の村長からの話は、子供たちや宿屋の女将さんのから聞いた事と、大差なかった。


 ゴヤの森の洞窟に、熊の魔物が棲みつくようになった事。


 かなり強い魔物で、森の中に居る他の動物にも影響を与え、一部の動物が魔物化し始めている事。


 最近、森を出て街道にまで現れるようになり、商都ビジードとスモル村を行き来する人々に、被害が出ている事。


 そして、魔物退治を冒険者に依頼をしたが、引き受けてもらえない事――。




「このスモル村は、王都オブリールと商都ビジードを繋ぐ街道沿いにあるため、冒険者がよく立ち寄る村です。馴染みの冒険者も大勢います。ですが、誰に頼んでも、引き受けてくれませんでした。中には一度は引き受けてくれた者も居るのですが、様子を見に行って戻ってきたら、断ってくるのです」




 冒険者が一度引き受けた依頼を断ると言うことは、ゴヤの森にいる熊の魔物は、相当厄介なものという事だろうか。


 それを尋ねると、村長さんは、どうやらそのようです、と頷いた。




「そんな凶暴な魔物なら、ギルドの方に依頼は入れてはどうだ? そうすれば王都オブリールや商都ビジードのギルドから、ランクの高い冒険者が派遣されるだろうし、オブルリヒト王宮から兵士を出す事もできるのでは?」




「それもしてみました。だけど今、多くの冒険者たちは、今世に蘇ったルリアルーク王と呼ばれている、ジュニアス王子の元に駆けつけるために、全体的にギルドの依頼を受けなくなっているらしいのです。だから、ギルドに出した依頼も、いつ引き受けてもらえるかわからないという状態で……。オブルリヒトの王宮の方は、二ヶ月ほど前に何か事件があったらしく、そちらに兵を出しているから、こちらにまで手が回らないという事でした」




「あぁー、そう、かぁー……」




 ユリウスは、深いため息をついた。


 二ヶ月ほど前にあった事件というのは、間違いなく私たちがオブルリヒト王宮から脱出した時の事だ。


 そうだよね、二ヶ月経った今も、結界の外にはオブルリヒトの兵士たちが見張っているもんなぁ。


 兵士たちにシルヴィーク村を見張らせるのを止めさせて、別のところに回せばいいのに。


 冒険者が依頼を受けないのも、オブルリヒトの兵士たちをゴヤの森へ派遣しないのも、ジュニアスが原因か……あいつ、本当に嫌な奴だなぁ。




「そうして困っていた時、この村にあなた方が現れた……宿屋のコズモさんから、かなりの腕のはずだと聞いています」




 村長さんがそう言うと、私たちを村長さんの家まで案内してくれた、宿屋の旦那さん――コズモさんが頷いた。




「俺は、いろんな冒険者を見てきました。冒険者たちが持ち込んでくる獲物も、ね。解体した獲物は、外傷がほぼない綺麗なものばかりでした。つまり、どれもほぼ一撃で倒しているという事です。こちらの方は、かなりの腕をお持ちだと思います」




「コズモさんの目は、私も信頼しています。だからユリウスさん、どうか、ゴヤの森の魔物を退治してくれませんか? お礼は、もちろんさせていただきますから」




 お礼、と村長さんが言うと、ジャンくんとモネちゃんが少しソワソワとしだした。


 ユリウスはちらりとジャンくんたちに視線を向けると、ふう、と息をついて、頷いた。




「わかりました。俺で退治できるかどうかはわかりませんが、やってみます」



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