↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手しちゃうから!  作者: 明衣令央
第一章・異世界転移と異世界転生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/74

第40話・素敵な呪文


「オリエさん、まず、おさらいがてら、今の状況から説明を行います。先程、私とユーリは、オブルリヒト王宮からあなたを連れ戻しました。その際、大変王宮で暴れてしまいまして……あなたを連れ戻した事も含め、ジュニアス王子やノートンは、とても腹立たしく思っているでしょう。だから、おそらくジュニアス王子はこの村を滅ぼしにくるだろう……と、私は考えています」




「それは……そうでしょうね……」




 私が頷くと、アルバトスさんも頷いた。




「ですが、オルブリヒト王国の王宮から、このシルヴィーク村までは、距離があります。また、ユーリが派手に暴れてきましたから、ジュニアス王子たちは隊を編成するのに、時間がかかるはずです。だから、私たちは作戦を立てました。ジュニアス王子たちが来る前に、この村に、どんな攻撃を受けても消える事のない、最強の防御結界を張ってしまおうという作戦です。オリエさん、どうか力を貸してください」




 アルバトスさんが言った事があまりにも大がかりな事で、私は驚いた。


 もちろん力は貸すつもりだけど、私にそんなすごい防御結界を張る事ができるのだろうかと、不安になる。


 そんな私の気持ちに気付いたのだろう、アルバトスさんは優しく笑うと、




「大丈夫ですよ」




 と言ってくれた。




「あなたは、私を生き返らせてくれたじゃないですか。どうか、ご自分の力を、信じてください」




 自分の力を信じる、か……。確かにそうかもしれない。


 あの時――アルバトスさんを生き返らせるために、蘇生呪文を使った時のように。




「というか、自分の力を信じてやり遂げてもらわなければ、こちらが困ります。プレッシャーをかけるつもりはありませんが、この防御結界は、あなたでないとできないでしょうし、この作戦はあなたの力を前提とした作戦なのですから」




「え?」




 どういう意味なのだろう?


 私が首を傾げると、苦笑したアルバトスさんは、淡々と続けた。




「これは、あなたの力頼りの作戦なのですよ。この防御呪文――箱庭ミニチュア・ガーデンを成功させるためには、多くの魔力を必要とします。私では、命をかけたとしても、持続効果はホンの数日でしょう」




 多くの魔力……普通の人の魔力量がどのくらいなのかはわからないけれど、私の魔力は∞らしいから、私頼りの作戦になるのはわかるんだけど……。




「でも、私が失敗したら、どうなっちゃうんですか?」




「そうですね……その時は、私がホンの数日であろうが、時間を稼ぎ、ユーリがオブルリヒト兵相手に死闘を繰り広げる事になるでしょうね……」




「そんな……」




 何でもない事のようにアルバトスさんは言ったけど、それはみんなが死んでしまうという事ではないだろうか。


 もちろん、そうならないために、アルバトスさんとユーリは動くつもりなのだろうけど、この二人は自分の命を大切に思っていないのでは、と思う時がある。


 もちろん、このシルヴィーク村の人たちを想っての事なのだと思うけれど。








「ねぇ、オリエちゃん、思い詰めないでね」




 腕に抱いていたサーチートが精一杯体を伸ばし、小さな手でぺちぺちと私の頬に触れた。




「あのね、オリエちゃん。ぼくは、アルバトス先生から、いろんな事を教えてもらったんだけど、その中で、素敵な呪文を教えてもらったって言っていたの、覚えてる?」




「そう言えば、そんな事を言ってたね」




 攻撃魔法と回復魔法の説明をしてくれた時に、どんな呪文なのかまでは教えてくれなかったけれど、確か素敵な呪文を教えてもらったって、言っていたような気がする。




「あのね、オリエちゃん。それが、これからオリエちゃんが使う事になる、箱庭ミニチュア・ガーデンの呪文なんだよ。この呪文はね、さっきアルバトス先生が言ったみたいに、強力な防御結界でこの村を囲うものなんだけどね、ぼくはこの呪文の事を聞いた時、すごく素敵な呪文だって思ったんだ」




「どうして?」




「だって、この呪文が成功したら、箱庭の防御結界の中で、みんなで平和に、楽しく暮らす事ができるんだよ。それって、ものすごく幸せな事だなぁって、ぼくは思ったんだよ」




 そう言って、サーチートは嬉しそうに笑った。




「ぼくはね、みんなでずっと、平和に楽しく、幸せに暮らせたらいいなぁって思うんだ。ぼくと、オリエちゃんと、ユーリちゃんと、アルバトス先生と一緒に。みんなであのおうちで、ずっと一緒に暮らしていくんだよ。それは、なんて幸せな事だろう。だからね、オリエちゃん。みんなが平和に楽しく、幸せに暮らすために、箱庭の呪文を唱えたらいいんじゃないかなぁ」




「サーチート……」




 やる事は同じだけど、気持ちの問題なのかもしれない。


 サーチートの言葉を聞いて、私は肩の力が抜けたような気がした。




「そうだね。私もみんなと、あのおうちで、この村で、平和に楽しく、幸せに暮らしたいよ。だから……やってみるね」




「うん、オリエちゃんなら絶対にできるよ! それに、ぼくだって居るしね!」




 サーチートはそう言うと、私の手の中でころんと仰向けにひっくり返り、お腹にスマホを出してくれた。


 そう、私にはサーチートが居てくれる。


 私が知らない事、わからない事は、サーチートが教えてくれるんだ。


 サーチートはそのために、アルバトスさんの元でたくさん勉強をしてくれているんだ。




「アルバトスさん、箱庭の呪文の事、教えてください! 私、やります!」




 私がそう言うと、アルバトスさんは少し泣きそうな表情で笑って、ありがとう、と言った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。