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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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五十話

異教徒との貿易益々盛ん


王国に連なる者としてこれに勝る喜びは無い

何せ儲かるのだから


ただでさえ熱い地に住む彼らは熱い酒を飲む

その彼らが冷石で冷やした酒を飲む我らと交易を盛んにしているのだ

高い高いと文句を言いながら

まあ私はいくら儲けたところでそのほとんどを白の御屋敷へのお支払いで消えるのだが



第三次聖堂戦争で聖堂は消えた

文字通り燃えて消え去った

聖堂を取り囲み攻め立てたのはかつて聖堂諸国と呼ばれた者達だった


帝国の事を私は未だ王国と呼ぶが

いや王国は今でも確かにあるのだが


七年前、ハンディ王はその武力と経済力、そして異教徒との交易などを背景に、その子ミナルを持って帝国を建国し聖堂諸国までもを屈服させた


帝国に逆らえば正面からは王国のゴーレム軍

背後からは異教徒、さあどちらが良い?と


ハンディ王は正堂にてミナル王子の叙勲式を行い

列席した諸侯やゴブリンにエルフ、そして異教徒諸王の前で帝国の建国を宣言した


帝国の名は「白」を意味する古語の「タ」を頂きハンディ=タ=ミナル帝国


コレが異教徒からは「タ帝国」

我々が白帝国と呼ぶ国の始まりとなった


異教徒は海をはさんだ我々の首魁を皇帝と認め交易を続け

聖堂諸国は滅ぼされるくらいならばと帝国に参集した


形の上では王国は帝国の臣下であり

ハンディ王はミナル皇帝の家来である

まあ現実はともかく


それを認めぬ者は皆聖堂に集った

大聖堂は流れ者や王国に一矢報いたい者、復讐に燃える者やひと旗上げようと言う者、正堂を聖堂の代わりに出来ぬ頑固者が集まる所と化した


そして帝国建国から四年

それ等の燻りが炎となった


レーダの街で暮らすハンディ王の元に聖堂派の刺客が送られ

王は事なきを得たが街は大騒ぎとなった


ハンディ王は何度か正堂と白姫様の下にお参りし、何かを取り付け

聖堂への使者を遣わした

お前等は厄介だから首をすげ替えさせろ

大まかに言うとその様な内容を使者は伝えたのだ


あとは雪崩を打つ様にと言うやつだ


聖堂は大聖堂を固め

砦を作り各地を占拠し帝国各諸侯の分断を図り

我が元に集と触れをだした


残念ながらその呼び掛けに答えた貴族は一人もおらず

個人で駆け付けたものが幾ばくか有るばかり

あとは蔵のものを持ち出すのを黙って見逃した諸侯が数名

その程度だ


その程度だがそれでも彼等は十万近い

烏合の集でまとまりもないが十万と言う数は脅威だ


王は皇帝の名で諸侯に出兵を呼び掛ける

その主力はかつての聖堂諸国

そして王国軍に私を含めた旧王国諸侯軍

合わせて二十万

コレが各地からジワジワと攻め立てた


各所の砦を落とされた聖堂側はジワジワと追い詰められ

遂には大聖堂に立て籠もった


大聖堂と言えば街一つよりも広く城よりも高い

帝都として整備が進むレーダの比ではない巨大要塞なのだ

何度か攻め立てたが大きな痛手を受けただけ


王国軍は自慢のストーンゴーレムを大聖堂の城壁に沿って何日も歩かせ

時々その壁を壊させ破片を大聖堂目掛けて投げさせた


投石が幾日か続いたある日

大聖使様の御屋敷にゴーレムが投げた岩石がぶち当たり

大聖使様にこそお怪我はなかったが、従者に大量の死人怪我人が出るに至り

惨状を見た大聖使様が和議を望み

大聖堂は和議をと帝国に申出

大出兵の出費に苦しむ帝国軍はそれに応じた


和議の条件は聖堂側は浪人騎士供を聖堂から追い払った後、大聖堂は正堂の庇護の元へ降る

聖堂側の条件は聖堂の領地の保証と聖堂の地位の保証

降っても形ばかりは正堂の上に立ちたいとの事だった


アッサリと和睦はなり、ひと時の平穏が訪れたかに見えた矢先

追い出されると知った流れ者達が大聖堂に立て篭もり聖堂の者を脅し約束した領地と爵位を寄越せと騒ぎ出したのだ


聖堂は帝国に使者をよこし流れ者に与える土地を分けてくれと泣きつき

皇帝がそれを断るとならば追い払うための金をくれと言ってきた


皇帝は土地や金を渡して何をするつもりだ?

私にはもう一戦やるための支度金をこちらにたかっている様にしか思えないぞと使者に言い

季節が紅になるまでに流れ者を聖堂から追い払えなければタダではすまさんと言って使者を追い払った


私はと言えば王から出陣の支度を内々に仰せつかり

何処かの誰かが「帝国最強」などと勝手に言ってくれる混成軍の編成に駆け回った


獣奇兵にゴブリン兵団

エルフ傭兵に義勇正堂隊

騎士に兵卒

そして四剣首席となった私


因みに父ケシミは三人目の孫の顔見て喜び

その酒宴の席で滑って転んで頭を打ってそのまま召されてしまった


父らしいと言えばそうなのだが

結局私は最後まであの老人から一本取ることは出来なかった


そして父の名は四人目の息子に継がせ

男ばかり四人もできてしまった私はリンに手柄を立てて子供達に残す領地を少しでも稼いで来いと発破をかけられた

仮に聖堂を滅ぼしても分け与えられる土地などたかが知れているのだが


庭で息子達の鍛錬の相手をするツクモ三兄弟

この三兄弟にはヒバナさんから内密に贈られた黄金の爪と言う武器を持たせている

ヒバナさんの話では今の三兄弟ならば王国のストーンゴーレムにも勝てるそうだが


しかし何と言ってもあの三人は馬鹿だ

まだまだ私が居なくてはクソの役にも立たぬ


ヒバナさん曰く今の私は姫騎士の頃のヒバナさんより倍は強いと言う

魔法も使えぬ私が?と思うが

試しに三兄弟に殺す気でいいぞと言って黄金の爪を持たせ手合わせして見たが確かに簡単なものだった


ヒバナさんが言うには私の中に「魔法のカケラがいるのかもね」だそうだ

貴女の残り香ですねと言うとイヤラシイと睨まれたが


私はくだらぬ考えを辞め、紙巻を踏み消すと暑くなれば出陣かと嫌な気分にたなった

アカリちゃんから暑くなったらコレで涼んでくださいと言って渡された不思議なバンダナはどこにしまったかななどと呟き、次の紙巻に火をつけた


今でも覚えている

遊びに来たアカリちゃんが私の耳元で


「あなたが私のお父さんでしょ?」


と囁いた時のことを

私は笑ってアカリちゃんには立派なお父上様がいらっしゃいますと傅き

その話はそれで終わった


アカリちゃんはヒバナさん共々多くの物を私に横流ししてくれている

何でも魔法使い様の国の物を蛮族に与えるのは御法度だとか


ヒバナさんはいつかあんたの夢が叶うといいわねと一度だけ言ってくださった事がある


私の夢か

さてさて

帝国の皆さんはどう思うだろう?

私の夢が魔法使い様にこの地も人も売り渡す事だと知ったなら



そしてやはりと言うべきか

聖堂は紅い季節が来ても流れ者達をどうする事も出来なく


帝国は二度目の出兵となり

大聖堂は大きな松明の様に燃え落ちた


この戦で私についた新たな二つ名

それは「皆殺し公」


破れかぶれの突撃をする聖堂の連中に先鋒を崩された帝国軍

逃げる先鋒とそれを追う聖堂軍


このままでは逃げる先鋒にこちらが巻き込まれる

そう考えた私はこう命じた


「目の前の者は全て打ち払え」


良く訓練された私の兵達はそれを見事にやってのけ

追う聖堂軍も追われる先鋒の残骸も合わせて打ち滅ぼした


私は勢いそのまま大聖堂に乗り込み多くの手柄を立て

流石ヒバナ公と皇帝から恩賞を頂き

そして帝国世界に平和が訪れた


異教徒とは商売で殴り合うがそれは血生臭いそれとは違う

今や帝国世界に敵は居なくなった


私を除いてはね


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