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大森林の魔法使い  作者: おにくさま
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三十三話(あ)

白姫様の御生誕祭

白姫様は祝辞を受け乾杯の音頭に合わせ酒をひとくち舐め顔をしかめられ皆の笑いを誘った


私の横に立つリン嬢は親と話してくると席を外してくれる

私には勿体無い娘だ

父やおばばもあの娘を絶対に離すなよと何時も口をすっぱくしてくる

私も何処ぞの貴族の娘を貰うなど真っ平御免で、リンに何の不満もないのだが踏ん切りがつかない

きっと今年も白姫様に怒られるのだろう


そんな事を考えながら王に会釈をし厠へ向かう振りをして会場を後にし

迎賓館の厨房、そのすぐ横にある昔ヒバナさんが休憩に使われていたあの部屋に向かった


私は部屋の戸をノックもせず開け、あまり広くない室内に滑り込み膝をついた

そこには料理や菓子を摘み口の周りをベトベトにしている幼な子と世話ばかり掛かると怖い顔をするヒバナさんが待っていた


幼な子は「あ、おじさんだ」と言って食べかけの菓子を私に差し出し

私はそれをあーんと口を開け推し頂いた

私は幼な子を膝に乗せ良い子だと言ってヒバナさんの横に腰掛ける


「見るたびに大きくなりますね」


「そりゃそうでしょう」


ヒバナさんは嬉しそうに笑い、幼な子の鼻をつまんだ


「ご主人はお元気ですか?」


「未だに子供のあやし方が分からず甘やかしてばかり、この子が産まれたら本当にどうなる事か」


ヒバナさんはそう言って膨らんだお腹をさすった

私はそれは大変だと笑い

アカリももうすぐお姉さんだねと私の膝の上の幼な子に笑いかけた


「あんたもそろそろなんでしょう?」


「ええ、もう逃げられません」


私は膝の上の幼な子が差し出す豆を受け取り口に入れる

まるで餌付けだな


「自分が食べ飽きただけよ」


ヒバナさんはそれを見て笑い私に茶を勧めた


「あのチビ、昔からお前の事がお気に入りだったからね、おかげで私はろくに口を聞くこともなかった」


「リン嬢も貴女の悪口しか言いませんよ」


私はそう言って笑い

それでもこうやってヒバナさんの所へ送り出してくれたリン嬢に感謝した

本当に良い子だ


「で、他に何かあった?」


ヒバナさんはアカリちゃんとシュッシュと殴り合うような素振りで戯れる

魔法使いの国で流行っているのだろう


「ええ、ついにおばばが自分はゴブリンの組織から送り込まれた間者だと言ってくれましたよ。私もようやく信頼されたんでしょうね」


幾人ものゴブリンを役人として雇い

ゴブリンの軍を編成し

ゴブリンの組織を頼り国の外のゴブリン達とも連絡を取り

エルフと話をつけ国の外で奴隷として働かされているゴブリンを森を使い我が領内に逃げ込ませた

それに奔走してくれたのはおばばだ

おばばはゴブリンの代表達に大変顔が効きゴブリンにとっては虎の子の闇に溶け込むことの出来る軍団を借りてきてくれたのだ

その時おばばは自分の正体とそして自分が間者だと言う事を話してくれた

さすがにおばばが何代か前のゴブリン代表だったとは恐れ入ったが


「なんでゴブリンにそこまでしてやる?」


ヒバナさんは不思議そうに私を見る


「貴女の国ではそうなのでしょう?だからです」


私が答えるとヒバナさんは馬鹿な蛮族だねと言ってアカリちゃんと笑っていた


「さて、そろそろ帰るよ。あまり遅くなると亭主も姉も心配する」


ヒバナさんは笑ってそう言うとアカリちゃんを抱きかかえ、ほらおじさんにばいばいはと言ってアカリちゃんの手を振った

アカリちゃんは眠そうな目でばいばいと言って手を振り

ひとつ欠伸をした



私は私と同じ目の色をした幼な子と別れ式場に戻り

王の横に侍ろうとした所で白姫様に呼び出され長い説教を受けた


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