第一話 師弟探しと癖のある同級生
「どうしよう~」
カリンフォーレは項垂れながら魔法学校の廊下を歩いていた。
「師匠候補が見つからないの、私だけだよぉ~」
苦節三年、名門中の名門魔法学校に補欠入学をした居たはいいものの、四年時に上がるのに必要な師匠を探すことが出来ていない。
(周りは見つかってるのに……やっぱり私が落ちこぼれだからかなぁ~)
因みに私の学校での魔法の通り名、通称魔名は落ちこぼれのカリンである。
魔法は発動は出来るが、最下位に近い成績だ。
(落ち込んでたって仕方ない、次々!!)
上級生は約三百人いるとされている。
その中でも今回を含め50人にお願いをしたのだが、見事に玉砕しているわけで……。
(残ってる募集リストは……)
師弟リスト、この時期に学校の掲示板に毎日張られる師弟募集リストだ。
そこには師弟志願の条件や試験内容が記されている。
(最初の頃よりだいぶ減ってるなぁ~)
最初は掲示板を埋め尽くす程のリストだったが、今ではほんの少しだ。
それはそうだ、ほどんどの生徒が決まっているという事はそれだけ減っているというのは当然だ。
(よし、シア・ハリューセル先輩に手紙を書こう!!)
そうして次の日、私は五年生であるシア・ハリューセル先輩に手紙を書いた。
複数手紙を送るのが学校の伝統らしいが、私はそんな恥知らずな事はしたくない。
一つ一つ、受けたい人に心を込めて贈るのが一番大事だと思っている。
(うん、完璧!! 今度こそ受かる!!)
その日の晩になんとか書き終わり、次の日の授業終わり四年生寮の受付に向かう。
「三年のカリン・フォーレ、シア・ハリューセル先輩にこの手紙をお願いします!!」
「はい、わかりました」
「よろしくお願いします!!」
そう言って私は三年生寮に戻り自分の部屋に入ると、甘栗色の髪を靡かせた同僚のフィオ・ベリオロスちゃんがこちらを向いた。
「おかえり、どうだった?」
「全然だめぇ~、でもでも次に手紙は送った」
「そっかぁ~、次は誰に送るの?」
「五年のシア・ハリューセル先輩にしたの」
「シア・ハリューセル先輩かぁ~」
「知ってるの?」
「知ってるというか、なんというか……」
フィオは気まずそうに口を噤む。
何か彼女に悪い噂でもあるのだろうか?
「何々、教えて!!」
「別に大したことじゃないんだけどさ、私達の学年首席っているじゃん?」
「うん」
私達の学年で学年首席であるティア・スピットの名を知らない生徒はいない。
筆記も実技も満点で入学した天才でおまけに綺麗な銀色の髪に透き通るような白い肌の美人だ。
「あの子がどうしたの?」
「いやぁ~、あの子って悪い噂が目立つじゃない?」
「そうなの?」
「うん、噂だと性格最悪で話しかけただけでボコボコにされたって話だよ。 まぁ、あくまで噂だけで私が実際に見たわけじゃないから何とも言えないけど」
「そっか」
「ごめんね、こんな話」
「いいよ、聞いたのは私だし」
彼女は言わないでおこうとしたのを私が聞いたのだ。
フィナは何も悪くない。
「そんな顔しないでよ、知ってるでしょ? 私は私で見た事しか信じないって」
自分で見たこと以外、私は信用しない。
だってそうでしょ?
自分が見たわけでもなく、他者からの噂を信じるなんて馬鹿らしいとは思わない?
「うんうん、わかってるよ。 それより受かるといいね」
「まずはそこだよねぇ~」
受かった時の事を話しているが、受かるとも限らない。
だってそうでしょ?
優秀な弟子であるティアさんに対して受けようとしている私は落ちこぼれなのだ。
彼女を見る程の優秀な師匠だ。
受かる可能性など万に一つもないだろう。
(っというか、なんでまだ募集してるんだろ?)
ティアさんを見る程の師匠だ。
既に優秀な弟子を取ってもおかしくないはず、なのに未だに残っているのに違和感があるのだ。
まぁ、考えたところで始まらない。
私にできる事を精一杯やるだけだ。
「考えてても仕方ないし、今日はもう寝るよ」
「そっか、電気消した方がいいよね」
「うんうん、今日もやるんでしょ? 目が悪くなったら大変だもん」
「ありがと、でも寝れなかったら遠慮なく言ってね」
「うん!!」
就寝準備をし、布団に入る。
しかし、緊張しているせいか眠れない。
視線をフィオに向けると、真剣な表情で本を読んでいる。
彼女がここまで真剣になる理由は妹のリリナちゃんの為だ。
リリナちゃんの身体は深刻な病魔に侵されているらしい。
何かは詳しくは聞かなかったが、彼女の為にフィオは魔法学院に来たと言っていた。
治癒魔法の研究をして、リリナちゃんを救う事が彼女の目的だといっていた。
魔法学校に入学して研究をして妹を救うのが彼女の目的なので寝るまを惜しんで勉強しているのだ。
(今日は無理してなさそうね)
偶に無理をするので、見ていないと前なんか倒れてしまったことがあるので心配だ。
だが、今回は心配無さそうなので私は瞳を閉じ、眠りについた。
次の日、私の元にシア先輩から手紙が送り返されてきた。
面接をするので、私の研究室に来てくださいとの事だった。
五年生になると、自分の研究室を持つことを許される。
これは自分の魔法研究を行い、六年の卒業試験で発表するのだ。
それぞれの魔法を自分なりの研究結果や実践を行い、それを卒業試験として結果を見せるのだ。
そうして支度を済ませ、シア先輩の研究室へ向かう。
「カリン・フォーレです!! 面接に来ました!!」
「は~い、入ってぇ~」
研究室に入ると、隅っこの方で女の子が本を読んでいた。
(ティア・スピット)
暗い中でも綺麗に輝く銀色の髪と雪の様に透き通るような瞳をした我らが首席様ティア・スピットその人だ。
その他には誰も見当たらない。
はいる前は確かに声がした。
周りを見渡すが、他にも誰もいなかった。
「ティアさん、シアさんを見なかったかしら?」
ティアに問いかけるが、彼女は何も答えない。
「ティアさん? お~い」
(聞こえてないのかな?)
「ティアさん?」
「うるさい聞こえてる。 師匠なら後ろ」
「え?」
そう言って振り返ると、紅髪に帽子をかぶった女性がいた。
「もう、バレちゃったじゃない」
両手を腰に当て、むくれたようにティアを見てそう言った。
「全く、驚かせようと思ったのにぃ~」
「師匠、そういうことしてるから僕以外弟子いないんじゃない?」
「君、誰のおかげで君以外の妹子が居なくなったか忘れたの?」
「師匠の奇行に嫌気がさしただけでしょ?」
「約1年ついて来てくれた子が、君が入った瞬間私に嫌気がさす事なんてあるかな?」
きつい言葉で言うティアに厭味ったらしい言い方でシア先輩は応戦していた。
「えっと……」
「あぁ、ごめんなさい。 面接だったわね」
「はい、よろしくお願いします!!」
「それじゃそこに座って頂戴」
「は、はい!!」
緊張する。
面接は何度も受けたのに、未だになれない。
鼓動がバクバクで吐きそうだ。
「緊張しなくていいからね~」
「は、はい!!」
「それじゃ、面接を始めます」
「よろしくお願いします!!」
そう言うと面接が始まった。
面接は大体、簡単な自己紹介と得意な魔法、自分の長所と短所など様々な事を聞かれる。
この面は対策済みだ。
問題はその後、個人の問題だ。
それぞれの個人の面接ではその面接官独自の質問が行われる。
これが一番の難題だ。
「はい、ありがとう。 では個別質問しますねぇ~」
「は、はい!!」
「君は好きな本はある?」
……どういう意図があるのだろう?
魔導書の本と答えるべきなのだろうが、彼女の事をあまり調べてないのでどんな魔法が好きでどんな魔導書が好きなのか調べていなかった。
「す、好きな本ですか?」
「魔導書でも小説でも何でもいいわ。 自分が一番好きな本を教えて」
一番好きな本……。
思い浮かんだ本は「魔女に憧れて」だ。
魔女に憧れた少女は魔女になる為に魔法学校に入るお話だ。
「本当に、何でもいいんですよね?」
「えぇ、なんでもいいわよぉ~」
「……「魔女に憧れて」っていう本なんですが、知ってますか?」
これ以外一番は思い浮かばなかった。
っというか、これ以外を私は一番にすることが出来ない。
私がこの学校に入りたいと思う原点だからこれだけは譲れない。
「ふ~ん、なる程ねぇ~」
それはどういう事なのだろう?
合格なの?
不合格なの?
「わかりました。 今日の面接はこれにて終了となります。 試験結果は追って連絡します」
「は、はい!! よろしくお願いします!!」
そう言って私は部屋をでる。
言えることは言った。
これで駄目なら仕方ない。
そう自分言い聞かせ、帰路に着くのだった。
おはようございますからこんばんわ、ユウキです!!!
今回は異世界成り上がりファンタジーを書いてみました!!
これからこれを連載するので、どうぞよろしくお願いします!!




