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あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
ハーデース編
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ハーデース編 partー8 ハーデース

「そこはそれ、さっき脱出呪文使っただろ?あれだ」

「あれはMPが必要だ。さっきのでMPは尽きた」

「たった一回でか?」

「ああ、初心者だからなMPは少ししかなかった」

「ヴィーナスはどうなんだよ?」

「私は、そもそも呪文は知らないし」

「ならば神通力を使えよ。それならば無限にあるんだろ?」

「いやなに。最後の城門をくぐったらもはやハーデースの領域だ。我々天上界、一介の女神の力などすでに封印されておるわ」

「あんだとお!?なぜそれを早く言わないんだ」

「聞かないからだ」

「聞くも何も、知らなきゃ聞けないだろが!!」

 侃々諤々(かんかんがくがく)、大広間に響き渡るほどの声でまくし立てる。

 実は、一行を取り囲むようにして、無数の魔物たちがうごめいているのにも気づかない。

 知らぬが仏、能天気な会話を続けながらも前に進む。

「お!前方に何かあるぞ!!」

「あれは、人?……いやハーデース様のようだ」

「なに!ハーデースだと?」

 途端に歩みが早くなって、とうとうハーデースの前に立ったのである。


 玉座に腰を降ろして、一行を出迎えるハーデース。

「よくぞ参った。疲れただろう、そこに電気按摩椅子を用意してある。身体をほぐすがよかろう」

 指さした所には、某メーカーのマッサージチェアが置いてあった。

 どこから電気を引き込んでいるのかは謎であるが……。

「まさか、座った途端。手枷足枷が出て拘束されるんじゃないのか?」

「それはないぞ」

「さらに、電気椅子になっているんだろう?数千ボルトの電気が流れてあの世行きとか。ああ、ここがあの世だっけか……」

「だから違うと言っておる」

「電気椅子と言えば、送電施設を交流直流どっちにするかで、直流を推すエジソン陣営と、交流を推すテスラ&ウェスティンぐハウス陣営とで鍔迫つばぜり合いやっててさ」

「何の話をしている?」

「エジソンは、交流の危険性を訴えるために、電気椅子の公開実験をやったそうだ」

「だから、何の話をしているかと聞いておる」

「結局、自由に電圧を変えられる交流に軍配が上がったのさ。でもさ、本当は直流の方が送電ロスという面では優れていたんだ。技術が発達して、簡単に直流交流変換が容易になって、再び直流送電が行われるようになってる」

「……もういいよ」

 長々と説明を続ける弘美に、耳ダコ状態になったハーデースだった。

 ふと、マッサージチェアの方を見てみると。

「ほほう、これは楽ちんだな」

 イの一番に、その恩恵に預かっていたヴィーナスだった。

 適度にモミモミされて、肩や腰などが揺れ動いている。

「まるで天国にいる気分じゃ!」

 実に気持ち良いという表情をしている。

 天国気分とか、天上人の言葉ではないが。

「おまあなあ!俺を差し置いて、真っ先に按摩椅子に乗っかるとは間違ってないか!?」

「女神とて疲れるんだぞ。日頃から歩くなどしたことないのに、地を掘り進んできたんだ。それに、レディーファーストという言葉を知らぬのか?」

「それは、足腰立たぬほどまで酒に溺れているからじゃないのか?」


「まあまあ、喧嘩するな。あと二台出してやるから」

 というと、下僕の骸骨が電気椅子をさらに二台運び出してきた。

「こらこら、電気椅子と言うなよ」

 文章が長くなるからです。

 新聞紙が字数を減らすために、コンピューターを電算機と呼ぶのと同じです。

「新聞ねえ……。気持ち悪くなるから止めてくれ!」

 マッサージチェアが二台、弘美たちの前に置かれた。

「そいじゃ、遠慮なく」

 ハーデースの御前において、マッサージチェアに身体を委ねる三人。

 ゆらゆらと身体が揺れて気持ちよさそうである。

「なんか、忘れてるような……」

 ヴィーナスがぼそりと呟いた。

 我に返る弘美。

「そうだった!こんなことしてる場合じゃなかったあ!!」

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