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あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
アポロン編
13/52

第二章 プロローグ

 プロローグ


 ナレーション

 再び天上界。

 オリュンポスの頂きにそびえ立つ神殿の玉座に鎮座するゼウス。

 神々の王。全知全能の神。神と人間の支配者。

 ゆえに彼の意志は掟であり、気まぐれは運命と言われる。

 彼はまた大変な浮気者であった。

 姉であり妻であるヘラの目を盗んでは行幸を重ねていた。

 その姿を変えて……。


 ゼウス

「ところでディアナ。最近ヴィーナスの姿が見えないが知っておるか?


 ナレーション

「神のネクタルと神の食物アムブロシアを口に運びながら、壇上から見下ろすそこには天空の女神アルテミスことディアナがかしこまって傅いていた」


 ディアナ

「存じませぬ。ヴィーナスとは犬猿の仲であります」

 実は知っているが。ここは黙っていた方がいいと黙っている。


 ゼウス

「うむ……。そうであったな。

 ところで、例の件であるが、どうやらヘラに知られてしまったらしい」


 ディアナ

「……と申しますと、ファイルーZでございますな」


 ゼウス

「その通りじゃ。

 どこから秘密が漏れたのかは判らぬが……」


 ディアナ

「……ヴィーナスだよ」

 そう思うが口には出さない。


 ゼウス

「おまえも知っていると思うが、わしゃあヘラには頭が上がらん。

 今頃、わしの計画を潰そうと、策を巡らしているに違いない。

 何とかならんか?」


 ディアナ

「ヘラ様が、ファイルーZの存在をお気づきになられたとなれば、必ずやその対象を拉致監禁なさる可能性がございます」


 ゼウス

「だろうなあ。

 そうじゃ、お主。

 時の充まで、ボディーガードとして、そのもののそばに参っておれ。

 いいな」


 ディアナ

「御意にございます」


 深々と頭を垂れて玉座を離れて退室するディアナ。

 神殿の入り口にディアナが出てくる。

 そらをつと仰ぎため息をつきながら……。


 ディアナ

「参ったな……。

 ヘラ様のお気持ちも判るし、ゼウス様の意志には逆らえない。

 それもこれも、あの飲んだくれのせいだ。

 ともかく御意が下った以上従うまでだ」


 暗転


 ナレーション

 ところ変わってここはゼウスの妻ヘラの神殿である。

 壇上に怒りくるった表情のヘラがいる。

 いらいらと壇上を右往左往している。

 そこへ一人の神子が駆け込んでくる。


 神子 D

「ファイルーZの居所がわかりました!証拠写真も、ほれこの通り。

 と写真を手渡す。


 ヘラ

「(写真を受け取って)でかしたぞ。

 (しばらく写真を眺めてから)

 アポロン! アポロンはおらぬか」


 ナレーション

 そこへ神子を右脇に抱えるように連れ添い

 その手は神子の胸元をまさぐっている)

 左手にカクテルグラスを捧げ持つようにして、アポロンが登場する。


 アポロン

「お呼びですか? お母さま」


 ヘラ

「用があるから呼んだのです。

 しかしその格好はどうにかならんのか」


 アポロン

「これ? 可愛い娘でしょう。すぐそこでひっかけました」

 と神子の衣装の胸元をはだけると豊かな乳房が露になる。


 神子 E

「……」

 乳房を露にされて恥ずかしがっている。


 ヘラ

「さすがゼウスの息子。血は争えないか……。

 まあ、それはどうでもよい。

 おまえに命令を与える。

 この写真の娘を拉致して我が元へ連れてくるのじゃ」

 と指先で写真を弾くと、それは宙を舞ってアポロンの手へ、


 アポロン

「(写真を眺めて)この娘が何か?」


 ヘラ

「どうやら次の浮気の相手のようだ」


 アポロン

「ほほう。相変わらず女に手を出されているのか」


 ヘラ

「人のことを言えた身分か!」

 とアポロンが抱えている神子を見つめて。

「まあ、いい! とにかく、その娘が十六歳になるまえに拉致するのじゃ」


 アポロン

「十六歳というと成人する前ということですね」


 ヘラ

「そうだ!」


 ナレーション

 天上界では、十六歳を成人として扱い、それ未満の婦女子には手を出してはならないという暗黙の了解があった。

 それはゼウスをしても破ることのできないものだった。

 ゼウスは運命管理局が管理しているファイル。

 これから生まれ出る予定の人間達の中でも、絶世の美女として生まれる運命となっている娘のファイル。それをファイルーZとして、時の充まではと管理しているのであった。


 アポロン

「拉致ねえ。わたしだってただ働きは遠慮したい。もし私の気に入ることになれば……」


 ヘラ

「ああ、かまわぬ。妻にでも何にでもするがよい。ゼウスにだけは、いいようにさせなければよいのじゃ」


 アポロン

「ならば、結構。では、さっそく」

 神子を抱えたまま退場。


 ナレーション

 さて諸君もご存じの通り、このアポロンはゼウスの最初の浮気の相手とされるレトが産んだ双子の一人で、姉(妹?)がディアナである。

 なぜか彼が恋する相手は悲劇を迎える。

 月桂樹となったダフネ。

 ヒヤシンスの花にまつわる美少年ヒュアキントス。

 他にもシビュレーやカッサンドラーなどなど。

 それがゆえに常に新しい恋を求めてさまよう。

 なお、アポロンとはディアナ(ダイアナ)と同じく英語名。


 役者は揃った。


 ゼウスの命を受けたアルテミスことディアナ。

 かたやヘラの命を受けたアポロン。

 この兄妹とヴィーナスを交えて、物語は波乱の様相を呈してきた。

 さて、これらの神々の下。

 我らがヒロイン。

 相川弘美ちゃんの運命は?

 期待が膨らむ中、第二章がはじまる。

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