49話 繰り返す悲しみ
しばらく見ていて腹が減ったので本を戻し、図書館を出る。
レストランへ向かおうとすると、友里がこっちへ来る。
友里の後ろに小川が見えた、奴はライフル銃を持っている。
止めろ……、友里、逃げろ!
達之は走って友里の元へ向かおうとする。
「止めろ!友里!逃げろ!」
友里は達之の声の意味が解らないまま立ち止まってしまい、小川に背後から腹部を撃たれ、血を流し倒れてしまった。
小川は無言でその場を立ち去った。
達之は友里の元へ着き、友里の上半身を両腕で支えながら、
「友里!しっかりしろ!」
友里はまだ生きていた。しかし、視線がおかしくなっていた。
「達……之お……兄ちゃん、ごめんね、こう……なっ……ちゃ……て」
瀕死の重傷だった。友里は涙を流しながら、
「お……兄ちゃんに……会い……た……い、ごめ……ん……ね……」
友里は安達に謝罪を残して達之の両腕の中で動かなくなった。
「……友里……」
達之は血のついた両腕で友里を地面に寝かせた。
……どうしてこうなってしまった、そう思いながら、メールが入り見ていく。
[渡辺友里死亡確認、享年八、死因腹部を撃たれ射殺]
胸が痛みながらメールを見ると、
『安達君に別れ言えなかったね』
ケイとマイが出てきた。
『そして、安達はその事を知らないままだ』
「……黙れよ」
達之は静かに怒る。貴様らが強いたゲームに殺されたんだ……。
『渡辺は聴覚過敏でヘッドホンをしている。しかし、学校では事情を理解してくれる同級生はほぼいなかった。いじめに遭い、事情を知らない大人達に叩かれ悩んでいた。ある日、家で薬を飲みオーバードースした』
そう喋って、達之は疑問に思った。あの時、いじめは無かったと言っていた。友里も隠してたのか? それとも、安達の様に記憶を奪われていたのか?
そう考えていると、
『死体処理しとくからな』
そう喋り、ケイとマイはいなくなった。
「……友里、すまない。俺いくから……」
友里の遺体を残しレストランへ向かった。
死亡
渡辺友里(享年八 腹部を撃たれ射殺)