表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

入団試験<初戦>

ユーラスト歴471年


 騎士団入団試験当日。僕とルイスは二人で控室にいた。トーナメント制のこの入団試験では上位に食い込んだ人間だけが騎士になれる。その人数はすべての試合が終わるまでは明かされない。決勝まで行かなければ騎士になれない可能性もあれば、準々決勝まで進めただけで騎士になれる可能性もある。しかし今年は恐らく準々決勝まで行かなくても騎士になれるだろうという憶測が飛び交っていた。理由は今年が大きな転換期となるからである。騎士団の騎士とて年を取る。今年はその中でもベテランと呼べる騎士たちの多くが引退する年なのである。そういった年は数十年に1度あるのだが、そこに当たる人はとても運がいい。他の年に比べれば実力は伴っていなくても構わないからだ。だが実力の伴わないものは入団後まもなく騎士団についていけなくなり自ら辞めるという話もよく聞く。結局、この国の騎士団は量より質を重視するために、生半可な実力では騎士になれても長続きはしないのだ。それでも騎士団を目指す人は例年より多く僕たちと同じように15になりたての人も多く見受けられる。

「なぁ、ユーイ。これって出来すぎてるとは思わないか?」

 ルイスがトーナメント表を見ながらニヤリと笑いながら言う。それに対して僕も頷く。

「まさか、僕たちが戦うのが決勝とはね」

トーナメント表の左端に僕の名前『ユーイ』、そして右端に友の『ルイス』の名前。決勝まで行かなければ僕たちは戦うことができないのだ。

「絶対決勝まで行って見せる。だからユーイもしっかり上がって来いよ」

「ああ、わかってるよ。それじゃあそろそろ試合の準備に移ろう」

そういって僕たちは自分の装備の点検を始めた。


 そして1回戦。運が悪く相手は去年の騎士になれなかった候補者の筆頭だった。つまり、前回の大会の参加者の中では最強の男だ。装備は細剣―いわゆるレイピアだった。僕と同じスピード型。同じような戦術である以上相性ではなく実力ですべてが決まる。だからこそ一瞬たりとも気を抜けない。ルールは相手を降参させるか気絶させるか寸止めをすることで勝利となる。そのほかに特殊なルールはない。

 男はレイピアを抜いて構える。僕は鞘に収まった剣に手をかける。互いの剣はもちろん訓練用のものである。

「始めッ!」

審判の声と同時に男は鋭い突きを放つ。その速度は確かに目を瞠る程のものであったが僕はそれを難なく避ける。おそらく今のは様子見だ。かなりの速度だが彼の本気は多分、もっと速い。男の連撃を僕は躱しつつ後ろに後退する。レイピアとは突きと速度を重視する剣であるがために対処が難しい。次の瞬間、男が先ほどまでとは違う予備動作を行ったのを見て僕は瞬時に抜刀する。

キィンッ!

甲高い金属音と共に剣が宙を舞う。それは太陽の光を受けながら地面に突き立つ。宙を舞ったのは男のレイピアだった。僕は男が本気の突きを放とうとした瞬間に抜刀しレイピアを弾いたのだ。僕がそのまま流れの動作で鞘を男の首元に押し当てると男は素直に降伏し僕の勝利が決定した。会場である騎士団演習場は歓声に包まれる。優勝候補が一回戦で無名の参加者にやられたのだから無理もない。序盤の番狂わせに会場の盛り上がりは一気に高まった。


次の投稿は12月7日(日)の予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ