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無害な村人のはずが、気づけば魔王扱いされていた  作者: 三日坊主先生


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3/3

勝手にアジトができました。

「こちらです、魔王様」


「待って、本当にどこ行くの?」


ルナリアに腕を引かれ、レインは王都の裏路地を歩かされていた。


騎士団から逃げた後、そのまま強引に連れてこられたのだ。


「安全な拠点です」


「俺の家でよくない?」


「魔王様の居場所を知られるわけにはいきません」


「だから魔王じゃないって……」


レインの抗議は今日も届かない。


しばらく進むと、巨大な屋敷の前でルナリアが止まった。


「到着しました」


「……誰の家?」


門がゆっくり開く。

中には黒い服を着た男女がずらりと並んでいた。

その数、およそ五十人。


全員が一斉に膝をつく。


「魔王様、万歳!!」


「闇の支配者様に栄光を!!」


レインは固まった。


「……え?」


ルナリアが誇らしげに胸を張る。


「私の元部下たちです」


「元部下?」


「昨日のうちに招集しました」


「昨日!?」


仕事が早すぎた。


レインが混乱していると、一人の大男が前に出た。

顔に大きな傷がある、明らかに強そうな男だった。


「俺はガルド。あなたの力を試したい」


「いや試さなくていいです」


「問答無用!!」


ガルドが巨大な斧を振り下ろす。

レインは反射的に影を伸ばした。

斧だけを影に収納する。


ガルドの手には柄だけが残った。


「……あれ?」


レインも困惑した。


「なんか斧だけ消えた」


ガルドの顔が青ざめる。


「伝説級の武器を……一瞬で……」


周囲もざわついた。


「武器の存在ごと消した……?」


「さすが魔王様……」


「いや後で返すから!」


誰も聞いていなかった。


その時、屋敷の奥から悲鳴が聞こえた。


「た、大変です!!」


メイド服の少女が駆け込んでくる。


「地下の魔獣が暴れています!」


「魔獣?」


「この屋敷で封印していた危険な魔物です!」


地面が揺れる。


地下から巨大な咆哮が響いた。


「グオオオオオオ!!」


床を突き破り、巨大な黒い狼が現れる。


部下たちが悲鳴を上げた。


「封印が解けた!!」


「逃げろ!!」


だがレインは首を傾げた。


「……あれ?」


黒狼はレインを見るなり震え始めた。


そして――


コロンッ。


腹を見せて寝転がった。


「……え?」


レインは恐る恐る撫でる。


黒狼は尻尾を激しく振り始めた。


「犬じゃん」


ルナリアが震えながら呟く。


「災厄級魔獣を……一瞬で従えた……」


部下たちが一斉に跪いた。


「魔王様!!」


「魔王様!!」


黒狼まで吠える。


「ワオォォン!!」


レインは遠い目をした。


「……パン屋に戻りたい」

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