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厳かな雰囲気の中、私はウィルフォードにエスコートをされながらバージンロード歩く。
ヴェール越しに見える参列者の数が多くて、少し驚いてしまったが、なんとか神官長の居る中央まで辿り着いたのだった。
「この度は、おめでとうございます。
寺院はウィルフォード・ネイトピア第三王子殿下とフェアリエル・クリーヴランド公爵令嬢の婚姻を祝福します。こちらの婚姻証書に記名をお願い致します」
差し出された紙にウィルフォードが記入をし、次に私が記入をするのだが、緊張しているせいか、少し字が震えてしまったのはご愛嬌だ。
「おめでとうございます。
お二人は晴れて夫婦となりました。
それでは、誓いのキスを」
ウィルフォードがヴェールを上げてくれる。
すると、私の緊張が伝わったのだろう。
ふっと微笑み『大丈夫だ』と囁いたのだ。
そして、ゆっくりと近づいて来るウィルフォードを見つめながら、私もゆっくりと瞳を閉じたのだった。
「皆様、祝福の拍手をお願い致します」
拍手が聞こえる中、私達は手を取り微笑み合う。
するとウィルフォードが『右から三列目を見てごらん』と囁くので、私は目を向けたのだ。
すると、ラウル、ミレット、それに変装したベティニアまでいた。
まさか、参列してくれるとは思ってもみなかったので、嬉しい驚きで目を見開いてしまった。
それから私は、ヴェールで見えなかった、参列者の顔を眺める。
兄、メルティア、アグネス、アルマが祝福の拍手を送ってくれていた。
そして、兄の隣にいる父は、やっぱり泣いていたのだ。
それを今度は母が宥めている。
陛下や王妃様、たくさんの方々が、笑顔で私達の新しい門出を祝ってくれているのだ。
こんなに嬉しい事はない。
喜びで胸がいっぱいになる。
「ウィル?私、本当に幸せだわ。
これは、夢じゃないわよね?」
「ははっ。夢な訳ないだろう?
たとえ夢だったとしても、何度でも同じ夢を見続けるさ」
「・・・それって、結局夢じゃない?」
「そうだけど、そうじゃない。
幸せになりたいと夢見る事で、一生懸命に頑張れるだろう?
だから俺は、何度でもフェアリエルを望むし、君から望まれる男でいたいと思っているよ」
「ふふっ。
そうね、私もそうありたいわ」
そうして私達は手を取り合い、二人で一緒に、初めての一歩を踏み出したのであった。
そして数年後・・・
「ウィル?
畑を見てくるわね」
「ああ。
今日は寒いから程々にな」
今日は外交の合間に、瞬間移動のマジッククレーで田舎の家へと来ているのだ。
・・・結婚してから4年。
毎日、充実した日々を送っている。
そろそろナスが収穫出来そうね。
秋ナスって美味しいのよね。
どうやって食べようかしら?
そんな事を考えながら、一休みする為にガーデンベンチへと腰掛けたのだった・・・。
眩い光の中、子供が庭先で走り回って遊んでいる。
私はその様子を見守り、幸せからか目を細めた。
ずっと、思い描いていた光景が、そこにはあったのだ。
「・・・フェアリエル?
風邪を引いてしまうから、中へ入ろうか?」
ウィルフォードがそう言って、ブランケットを肩に掛けてくれた。
「・・・ええ、ありがとう。
私、寝てしまっていたのね」
「最近、眠たそうだが、体調は大丈夫か?」
心配をしてくれているウィルフォードに『大丈夫よ。それより、幸せな夢を見たの』と伝えた。
「どんな夢なんだ?」
私の肩を抱き、愛おしいという顔で問いかけてくれる。
そんなウィルフォードに、私も愛おしさが溢れていく。
きっと、人生が終わるその時まで、幸福な未来へと思いを馳せるのだろう。
だから私達は夢を見る。
これから訪れるであろう、まだ知らない幸せに出会える事を願って・・・。
「ふふっ。それはね・・・」
後日談を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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今、連載中の物が、ひと段落してからの更新になるかと思いますので、少し期間が空いてしまいますが、気長にお待ち頂ければ、幸いです。
それと、連載中の【灰色王子の観察日記】も是非、よろしくお願いします。




