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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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24

今日から二週間のお休みです。


私はと言うと、まだベッドの上でゴロゴロとしています。


久々の朝寝坊よ!


・・・と、その時。


【トントントン】

部屋をノックする音が聞こえて来たのだ。


「お嬢様、もう朝ですよ?お仕度の準備に参りました」


サーシャが来てしまった・・・。


「サーシャ、まだ寝たいのよ。もう少し経ってからでいい?」


「今日は王宮での食事会になります。皆様、もう準備に取り掛かられておりますよ」


・・・・・・!?


「そうだったわ!大変じゃない!?すぐに起きるわ!」


「はい。それと本日のお召し物は、こちらのドレスで如何(いかが)ですか?」


スプレーグリーン色のスレンダーラインでとても春らしいドレスだった。


「初めて見るドレスね。とても綺麗だわ」


「奥様が用意してくださったのです。こちらで準備を進めさせて頂いてもよろしいですか?」


「ええ。お願いね」


それからは手際よく準備をしてくれる。

髪型はアップだと大人っぽくなり過ぎるので、ハーフアップにしてもらい、毛先を巻いてもらった。


食事室へ行くと、みんな既に準備が終わって、軽食を取っていた。


「おはよう。寝坊したのかい?」


「おはようございます、お兄様。少し寝過ぎましたわ」


私達の様子を見ていた母と父が声を掛けてくれた。


「そのドレス、良く似合っているわ。本当に妖精の様よ」


「本当だな。ベルの見立ては間違いない!

王宮ではなく、みんなで何処かに出かけようか?」


「・・・あなた、それはまた今度にしましょうね」


母が父を(たしな)めたところで、私は父に問いかけたのだ。


「もうそろそろ出かけますか?」

「そうだな。エルも、軽く何かを食べていきなさい。

馬車の準備をさせよう」


執事を呼んで指示を出す父。

その後、みんなで馬車に乗り王宮へ着いたのだ。


そして親族会の会場には、既に陛下達がいて父と挨拶を交わす。


「今日は、(みな)良く来てくれた。ゆっくりしていってくれ」


「ご招待いただき、ありがとうございます。お言葉に甘えて、楽しませて頂きます」


「ふむ。

それと、フェアリエルちゃん、待っておったぞ!

ウィルフォードとは仲良くやっているか?たまには、わしの所にも顔を出してくれたら嬉しいぞ」


陛下は私に笑顔で話し掛けてくれた。

確かに、王宮へ行っても王妃様とウィルフォードにしか会っていない。


「陛下、お言葉ありがとうございます。是非、今度お伺いさせていただきますわ」


「待っとるぞ。それにアディエルは随分と(たくま)しくなったな。

どうじゃ?王太子の側近にならんか?」


だが、その言葉に父が反応した。


「陛下、アディエルはダメですよ。公爵家の跡取りとして、教育している最中なので」


「ベンジャミン、そう冷たい事を言うな。選択肢は、いっぱいあった方がいいじゃろう?」


陛下は、さも当然の様に勧誘してくる。

それに、父だけだと断り切れないと思った兄が口を開いたのだ。


「陛下、お誘い頂きありがとうございます。ですが、今は父に付いて学んでいる所なので、そちらに専念しようと思っております」


「そうか。では、気が変わったら、いつでも言うのじゃぞ」


それから、陛下の後ろには王妃と王太子、ウィルフォードがいた。


第二王子は留学先から帰って来なかったのだろう。

王太子妃は半年前に第一王子を出産している。

今回は産後の為、欠席との事だ。


その時、ウィルフォードと目が合った。

今日は紺色に金糸の刺繍がされているフォーマルスーツだった。


お互いに微笑み合い挨拶をする。


「ごきげんよう。ウィルフォード様」


「やぁ、フェアリエルは今日も美しいな。それと、いつもみたいに呼んでくれていいよ」


愛称呼びを提案してくるが、流石にみんなの前では恥ずかしいので辞退をしたのだ。


するとウィルフォードが()ねる様に『そうか』と言い『では、一緒に庭園へ行かないか?』と、にこやかに誘って来る。


「はい。ご一緒致します」


そうして私とウィルフォードが部屋を出ようとすると、兄が話しかけて来たのだった。


「エル、どこに行くの?」

「ウィルフォード様と庭園へ行って参ります」


兄は一度、ウィルフォードへ視線を向けると、口を開いた。


「・・・そう。分かったよ。

ウィルフォード殿下、エルをよろしくお願い致します。」


「ああ。もちろんだ」


そして、ウィルフォードにエスコートをしてもらい、二人で庭園へと向かったのであった。


「今日から学園が休みでしょう。ウィルは何かするの?」


「特には決めていないな。君は?」


「私はね、来週アグネスの家に遊びに行くの。

とても楽しみだわ」


「それはいいな。楽しんでくるといい。

それと、気になる事があるんだが、アイディア帳に書いてあった【瞬間移動】とはなんだ?」


私は思い付く限りの事をアイディア帳の最終ページに走り書きをしているのだが、そんな所まで見ているとは思わなかった。


「そうね、簡単に言うと、王宮にいる私が、一瞬で自宅に帰れる事かな。

それがあれば、移動時間を気にする事はないでしょう?

・・・でも、原理が分からないので、作るのは不可能に近いけど。

ついつい欲しくて書いてしまったのよ。それにしても、よく見ているのね」


「ああ、君のアイディアは面白いからな。

・・・だが、なるほど。

確かに、あれば便利な道具だ」


そう言って、顎に手を当てて思案し始めている。


「実現出来ればよかったのだけど、これは難しいから、また違うのを考えてみるわ」


そろそろ親族会も中盤に差し掛かる頃だろう。

私達は会場へと戻る事にしたのだった。


会場からは楽しそうな声が聞こえる。


この一年間は色々と変化のあった年だったけれど、とても楽しかった。

また今年も、みんなが元気で楽しく過ごせるように、と願うフェアリエルであった。




【アディエル視点】


今日は年に一回の親族会だ。

王宮へ着き、エルとウィルフォード殿下が話している事にビックリした。

毎年二人は挨拶だけで、それ以外、互いに近づかない。


僕もだが、父も気が付いている。

・・・二人が上手くいっていない事に。


だが、今日の二人は全く違った。

仲の良い友人以上の関係に見えたのだ。


何があったのか・・・。


だから、2人で何処かへ行こうとしている所を見た時は、思わず声をかけてしまった。

何事もないエルを見て、大丈夫だと思ったから送り出したのだ。


もちろん、上手く行っているのなら、それでいい。


だが、エルを傷つける様なら、その時は容赦しないよ。


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