表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道探偵ナツメ事務所  作者: 吉田 晶
第4話 ―死に損ない狂騒曲―

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/104

第4話  ―死に損ない狂騒曲― ㉒

「見事だよ、レディ――」


 女の顔から、瞬きが絶えた。


「死霊術と解剖学に対する深い造詣、さらには、瞬時の判断力も抜群だ」


 呼吸が止まり、ついには心臓の拍動すら消え失せる。


「寡聞にしてナツメ・カナワの名に覚えはないが、凡百の魔道士ではあるまい」


 罪なきオリビアの身体を操る存在が、片手だけで優雅に一礼した。


「我こそはリオネル=ロス。

 死霊を友とする外法の師にして、穢れを纏う左道の家、

 なれど魔道の一学徒として、汝の技量に惜しみなき敬意を捧げよう」


 時代がかった口上の裏に、ナツメは死霊術師の強烈な矜持を感じ取った。


「こいつは御丁寧にどうも。ま、名前くらいは憶えといてやるよ。

 ――もう二度と会うことはないだろうけどね」


 ナツメのそっけない返事に、リオネルはわざとらしい瞬きを返して、


「それは残念だ。ならば永訣の手向けに忠告を――

 私のような存在には、軽々しく触れぬことだ」


 言うや否や、リオネルは【魔力吸収】を発動させる。

 この魔道は、集塵機のように周囲から魔力を吸い集めるだけでなく、注射器の

ように接触した箇所から直に吸い上げることも可能である。

 無論、後者の吸収速度は凄まじい。常人であれば一瞬で魔力を吸いつくされ、塵芥と化すだろう。 


 しかし、ナツメは常人ではない。

 この世界の外から来た存在であり、その身には一片の魔力も宿していない。

 ゆえに、リオネルがいくら必死に魔力を吸い上げようとも、ナツメはどこ吹く風。 

 わざとアクビなど披露して見せる。


 この時、ナツメは油断していた。

 彼女にとって、およそ魔道士なんてものは、

 「ジャンケンでグーしか出せないネコ型ロボット」

 せいぜいその程度の存在であった。


(負ける要素なんて、どこにもないでしょうが……)


 だが、その慢心こそが――

 ほんの数分後、魔道探偵を窮地へと追い込むことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ