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いざ城へ

「ちょっと一矢……流石にこれはマズいんじゃない?」


「そう?」


「何でまた王都に戻って来るのよ!」


 一矢達は再び王都にやって来ていた。


 まだ朝早いと言うのに多くの人々が行き交う大通り。


 その商人達に紛れて戻って来ていた。


 その横にある開店準備中の店と店の間、薄暗い路地裏で二人は額を合わせて話していた。


「いや、まだ王様に会ってないし」


「はぁ? 何言ってんの。もう無理だって! どっかの偉い人には断られて、刺客まで送ってきたのよ? 会えるわけ無いでしょ!」


「だから俺が直接会いに行くよ」


「どうして? どうしてそこまでして会いたいの?」


「王様がどう言う考えなのか知りたいんだよ。魔族と仲良くする気があるのかどうか。自分で確かめたいんだ」


「だって……砦に居た討伐隊も王様が送ったんでしょ? 魔族と仲良くする気なんてあるわけ無いわよ!」


「魔族の討伐は単純に安全のため、って事も考えられないかな?」


「結局一緒でしょ?」


「チッチッチッ」


 一矢は指を振る。


「全然違うよ。だって魔族と争わずに交流出来ると分かったら?」


「戦う必要がない?」


「そういう事」


 エイミーは疑いの眼差しを向ける。


「そんなうまくいくかしら」


 一矢は肩をすくめる。


「さぁ? だから会いに行くんだよ」


 エイミーは見詰める。


「あんたは本当に思ったら行動するタイプよね」


「惚れ直したか?」


「あきれ直しただけ」




 一矢達は夜の路地から内壁を眺めていた。


「あんまり見張りは居なさそうだね」


 一矢は内壁の上に目を凝らす。


 等間隔で兵士の影が通り過ぎていく。


「安心したわ。てっきり昼間に正面から、とか言うのかと思ってたわ」


「俺もそこまでバカじゃないよ」


「それで? おバカじゃない一矢はこの内壁をどう越えるのかしら?」


「天才・一矢様が用意したひみつ道具がこちら」


 長いロープの先端に鉤爪がついている。


「見てください、この洗礼された形。ちょっとサビが浮いてて、今流行りのダメージ加工。お値段そのまま、今買ったらもう一本付けちゃう」


「良いから。どうすんの? それ」


「ちょっとひとっ飛び上に引っ掛けてきて」


「言うと思った」


 エイミーは一矢からロープを受け取る。


 一矢は路地から顔を出し、誰も居ないことを確認する。


「今がチャンス。お願いします」


 エイミーはため息をつくと駆け出す。


 ジャンプすると同時にハーピーの姿に戻って羽ばたく。


 ロープが降りてくると一矢は内壁を登り始めた。


 一矢が上まで登るとエイミーがロープを回収する。


「それで、ここからどうするの?」


「我に秘策あり。任せなさい」




「絶対無理!」


 一矢の肩の上に乗ったハーピー姿のエイミーが言う。


「大丈夫。俺がジャンプしてから羽ばたくんだぞ」


「無理だって。お城まで、すっごい遠いって」


「無理かどうかはやってみれば分かる。行くぞ」


 一矢は助走をつけて内壁から飛び出す。


「ヒィ〜」


 エイミーは一矢の両肩を足で掴んで羽ばたく。


 一気に半分の距離を飛んだ。


「重〜い」


 より一層エイミーは羽根に力を込める。


 それでもどんどん高度は下がっていく。


『壁にしがみつくか、一回下に降りるか』


 一矢が悩む。


 一矢達の下から急に突風が吹いた。


 その風に乗って一矢達は城の屋根へと辿り着いた。


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