三年前
1.2土埃が舞い、遊具が壊された公園に少女は立っていた。
「どうしよう、先輩が化け物に拐われちゃった。
先輩が私を守ろうとしたせいで。
私先輩を助けたい。でも、どうしたら……」
すると、辺りがセピア色にそまった。
【じゃあ、ミミネと契約して、魔法少女になって、この世界を救おう♪ 】
とピンク色ウサギに羽が生えシルクハットをかぶりふわふわと飛んでいる生き物が目の前に現れ、少女に言った。
「なにこれ、しかもなんで、私が魔法少女になって世界を救わなきゃいけないの!」
すかさず、その生き物は
【ならなきゃ、今拐われちゃった先輩さんも、助からないし、世界も、終わるよ。
それに先輩さんのことが好きで告白するつもりで、人気が少なくなるこの時間に先輩さんを公園に呼び出したからこんなことになったんでしょ。
なら君が助けるために魔法少女になる必要がある。】
少女は、「え」、「うーん」「でもなー」としばらく言っていた。
【早く決めてよ】
急かされ、少女は決意した。
「わかった。魔法少女になる!」
その生き物は笑い
そしてすぐに、
【それじゃー、いくよー
マジカルチェンジ♪レボリューション☆】
と言い、ピンク色の光がその少女を包み込んだ。
1分後、その光は薄くなり、
そこには髪がピンク色に染まり、うさ耳が生え黒いシルクハットのヘッドドレス
首にはピンク色の宝石のチョーカー
白いブラウス
黒いパニエスカート
ピンク色の羽が生えた編上げ靴
の少女が立っていた。
【よし、変身終わったね。
それじゃあ、先輩さんを助けに行こう。】
そう、うさぎが言った後に
「でも、先輩がいる所がわからない……」
【それは問題ないよ、
ミミネには、エネミーがどこに入るかわかるから。さあ、ついて来て。】
と言って公園を飛び出した。
「うあ、ちょっと待って。」
と言いながら少女はうさぎの後を追いかけた。
そして、そこには壊された遊具しかないように思えたが、
それを横から見ていた者がいた。
それは黒猫である
と言っても、野良猫じゃない。首輪がついているから。
「また契約が取られた、もーダメだ。今度こそ本当に、やめさせられる!」
近くに人はいない
これを言っているのはこの猫であり、さっきの少女と、契約するはずだった。
が、よこからあのウサギが取っていったのである。
「あはは、もう、わたし何人くらい契約、人に取られたのかな、年5、6回やってるから、そしてこれをここに飛ばされて、もう5年やってるから、あはは、30回は軽く超えてら、
もー笑うしかない笑」
と言いながら笑い続ける。
この猫かれこれ5年はこの仕事をしていた。
しかし、5年間一度も契約を取れたことがない。
ここ1年はヤケクソであった。
これで取れなかったら、上から仕事辞めさせられる。
それが、さっきウサギに取られた仕事である。
「しかも、あのウサギ、わたしの横通り過ぎるとき
「おまえは引っ込んどけ」
て言ったし、わたしが出てこないように足止めされたし、性格ワルなによ、わたしがさきに声かけようとたんだけど、
あと、片付けてから、行きなさいよ。」
そう、ぐちぐちと愚痴をこぼしながら、壊された遊具を魔法で直し、抉られた地面を平らにならす。
その後に猫は首輪を外し、どこからかわからないが、辞職届を出しそれの中に自分の首輪を入れ
「バイバイ、上司」
空中に投げた。
普通なら、猫の近くに落ちて来るはずだか、それは淡く光り消えた。
5年も契約を逃し続けていた為
この猫は疲れてしまった。
そして、もう契約を取ろうとすることが面倒と考えるようになっていた。
「でもなー、国に帰れないなー
辞職表と備品送り返す資金もらったけれど、
帰る為に必要な物あの上司くれなかったし、多分ワザとだな。
もうここでただの猫として暮らすか。」
この猫は帰ろうにも帰ることが出来なかった。
理由はいくつもあるが一番の理由は、
一度も魔法少女と契約をしたことがないからである。それが全ての原因であり、理由でもある。
「あ、あ、うん、ニャー、ニャー」
悲しいかなもう完全に諦めきっている。
もう猫として生きる気満々である。