雲郷、閉ざされしトイレ![その2]
※トイレ内での出来事です。
ちくしょぉ……。この技は使いたくなかったぜ!
さて、雲郷が使用を拒む”技”とは!?
トントン トントン
ノック!!!!!!!!
雲郷、トイレをノックした!!!!!!
「「「ほぉ……。トイレノックか……。確かにこの技は、トイレを使用しているものを焦らせる技……。しかし! 我らは、本当に用を足すもの!!! それが終わるまでは、開けられん!!!」」」
なんと固くは羅生門! こちらは地獄であちらは天国!
しかし、雲郷も負けていない! ただのトイレノックではなかった!!!
「待て、兄者! このノックただのノックじゃねえ! よぉく聞いてみろ!」
ショウがそう叫ぶ。
トントン ツー トン ツー
(((モ、モールス信号!!??)))
「「「お、恐るべき男……。ただのトイレノックと思わせて、モールス信号を送るとは……。だが! それには1つ弱点がある!!!!!」」」
(((我らは、モールス信号が分からない!!!)))
なんと!!! トイレこもり隊はモールス信号が分からなかった!!!
つまり読めない!!! どうするのだ!? 雲郷!!!
「いや……兄者……。おかしいんだ。俺、このモールス信号、なんて言ってるか分かるんだ! どうしよう兄者ぁ!?」
チュウがそう叫ぶ!
「落ち着け!!! チュウ!!! 我らにモールス信号は読めるはずがないのだ!!!冷静になれ!」
タイは、震えた声でそう、たしなめる。
「いや、兄者、俺もこのモールス信号読めるんだ……!」
ショウもなぜか読めているようだ。
「そ、そんなはずは……
「「「モ、レ、ソ、ウ、ダ。ア、ケ、テ、ク、レ。」」」
「なにぃぃぃぃぃ!?」
なんと、タイにも読めた!!!!!
それも、そのはず! この雲郷のモールス信号、ただのモールスしんごうではない!
打ち方、打つ点、リズム、音程などを細かく調整し、まるで言葉を発しているかのようなモールス信号となるのだ! 数々のトイレを乗り越えて会得した、この雲郷のモールス信号を人はこう呼ぶ!
“モーラス信号”と!!!!!!
また、このモーラス信号を打っている時の雲郷は、まるで天女が踊っているかのような美しさと儚さを感じるらしい……
「「「ぐぅぅぅっっっっ!!! 我ら、トイレを愛し、尊ぶ者! ここまでトイレを深く求めるものに無礼な行いはできない……!我々の負けだ……雲郷……。」」」
そう言い、トイレこもり隊は急いで用を足し、トイレ引きこもり隊はトイレの扉を開けた。
扉の前で、待っている雲郷とトイレに深く一礼をし、三人はトイレを後にした。
まったくよぉ……。この技は、トイレをしている者を著しく焦らせる技、だから使いたくはなかったぜ……。それにしてもよぉ、なんて美しい一礼だ。敵ながら敬意を示すぜっ!
雲郷は、トイレこもり隊がいた方向に、美しい敬礼をした。
美しい敬礼をしたその尻は、しっかりと漏れていた。
雲郷、勝利!!!