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其の二 セブン(2020年9月)

チャットサイトで晒され、Twitterには様々なリプを付けられた女性、なつきと遭遇した暁。

彼はなつき自身が望んで今の状況となったのか否かに関心を持つ。

一方、目立つ行動をする暁に対し、彼女を守る者が動き出す。

〈遭遇〉

(気に入らないね)

 セブンはあるTwitter垢のプロフィールのTLを見ながら舌打ちをする。

 彼は表ではフォロワー1,000人を超える趣味垢を持っている。しかし最近は裏垢である無一朗の活動に時間を取られていることにイラつきを覚えている。

 おおよその事は「姫」から聞き把握している。

 暁という男から何度もDMが来たことや、その暁はMMと因縁があるかのような話をしたこと。

 結果的に彼女は暁をブロックしたが、暁は裏での攻撃が出来ないことから、表での攻撃を繰り返している。

 最新のツイートでは、彼女とMMにブロックされていることを煽っている。特にMMに対し、表に出てくるよう煽り立てている。そこに彼女を攻撃する他の垢が便乗し、結果的に伸びてしまう状況となっている。

(そろそろ、こちらから動くか)

 セブンは暁の垢をフォローする。

 無一朗は裏垢であり相互含め基本的に裏垢女性とのやり取りのみ。「属性」のある女性を晒すなどしており、暁は同類と見做すだろう。

(都合の良い事に無一朗は彼女をフォローしている)

 セブンはなつきの守護者を自認しており、他の裏垢に紛れ彼女の垢をフォローしている。そんな彼の喫緊の悩みは2つある。

 1つはMMという垢。プロフも何もない彼女しかフォローしない異質な鍵垢を彼女はフォロバしている。Twitterの画面上のフォロワーの並びが、フォローされた順なのか否かは分からない。しかし先般のチャットでの晒し以降に増えた裏垢の類に混ざるMMもその時に増えたフォロワーであると考えられる。

 一方で彼女は裏垢の類は一切フォローしていない。だからこそ、この無機質なMMの存在は目立つし気になるのだ。気にしたセブンが様子を聞いても、「味方の人」の一言であり詳細は何を聞いても答えない。正直なところ、セブンは彼女の知性や資質には懸念を持っている。

 遊びとはいえ例のサイトにいた属性。溢れるメールに返信する生真面目さ。そして流出した画像の扇情的な姿。本音としては危ない要素しかない。

 しかし彼女自身がMMを味方という以上、これ以上の口出しも、手出しも出来ない。

(うちの姫はあれでなかなか頑固だ笑)

 そのような状況に若干の歯痒さを感じつつ、TLに目を戻す。目下、どうにかすべきは執拗に攻撃を繰り返す暁である。

(さてさて。釣られてくれよ?)

 セブンは監視しつつ暁からのアプローチを待っていたが、数分で男はあっさりとDMを送りつけてきたのである。

(この男は何なんだ?)


〈正体〉

暁:

アンタもあのなつきって女を狙ってんの?

暁:

垢見る限り同じ晒し界隈の人間だろ?

一緒にやろうぜ?


 本音として、セブンは暁のような人間は好まない。同じく晒しを行うセブンが言える筋合いはないのだが、頭から彼女を晒し好きのメスと決めてかかっている。メスというのもここ数ヶ月で、彼女が何度も浴びてきた言葉だ。晒し界隈では当たり前の言い方も、今は虫唾が走る。女をただの暇つぶしの玩具程度にしか思わない。そんな男と何を話すのか?

 しかしセブンは冷静に男とのやり取りを続ける。連日、DMが来るのだ。少しでもこの男を理解しなければ、彼女のリスクを把握出来ない。


暁:

ああいうタイプは一度堕ちれば後は簡単だw

あんなサイトでお遊びしてたんだからな

暁:

良い体してるが頭良くないよな?w

俺がアイツを知った時の祭は終わったはず

でも相変わらず画像配りをしてるよな?w


(そうなのだ。彼女は相手の要求が限度を超える前に画像を渡している)

 セブンが把握しているなつきなりの護身術。あまりに過度な要求や執拗な相手に対しては画像を渡す。それで大半の男は自分の「言う事をきいた」と満足する。

 彼女ようなネットで晒す女性は他にも居り、男達も1人に関わり続けることは少ない。

 セブンもアドバイスを送った経緯はあるものの、彼女が画像を渡すことが一部の男の執着を招いているのではないか。そんな懸念を持ち続けていた。

 おそらくこの暁もそのうちの1人。聞けば仲間のような存在を増やしている。通常、晒す側の人間が徒党を組むことは少ない。自身のみっともない性癖や怪しい行為を人に語ることはない。それに普通は独占欲があるだろう。

(この男は何なんだ?)

 そんなある日。

暁:

あの女には味方がいるだろ?M君の他にもw

掲示板のセブンとかいうHNの男。

こっちがホントの大物よね?掲示板によく名前が出るよな?それに変人?

「姫」とかおかしな言い方だよなwww


(もう良いか笑 このままくだらない話を聞き続けるのも最早限界だ。)


セブン:

私よ?

暁:

んん?

セブン:

私がそのセブンだよ。

あんたは何が狙いだい?お姫様に何をするつもりだ?


(さて。どう来る?流石に失せるか?動向が掴めなくなるのは少々痛いが。しかしこれ以上は・・・)

 返信を待つ。あるいは返信は来ないかもしれない。

暁:

マジ!?マジでアンタがセブン!?

ウソなら怒るぜ???

マジかーっ!w俺、ツいてるなw最高だww

セブン:

はい?

暁:

仲良くやろうぜ?wアンタもこんな裏垢だろ?

やることやってんだろ?

しかも同じ女がオキニだw気が合うだろ?

よろしく頼むぜ?アニキwwwwww


(この男は何なんだ?)


 セブンが暁に対し正体を明かす数日前。

 セブンが掲示板で公開しているアドレスに1通のメールが届く。彼はTwitterの垢は明かしていない。セブンは自身のチャットルームに入りつつ、界隈を眺めている。

「はて?」

 常に冷静なセブンもそのメールの件名に、体温が上がるのを自覚する。

 その文面はセブン自身、人の事を言える立場ではないが、若干芝居がかっている。あえて人柄を分かりにくくしているのかもしれない。お互いこんな界隈に染まった人間だ。素性は少しでも隠したい。

 しかし。

 本名を晒したとはいえ、彼女の漢字名を知る者は自分以外にいないはず。このメールの主はそれを知っている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【件名】

MMより

【本文】

唐突な連絡、申し訳ない。

貴方のことは那月から聞いている。

貴方は本当に那月を守る者か?

そうであれば、話がしたい。

僕はMM。

那月を守る者だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


セブンはTwitterの趣味垢から彼にDMを送信する。

(さすがに無一朗では印象が良くない笑)

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