お家デート
『キーンコーン、カーンコーン』
いつもの様に学校全体にチャイムが鳴りそれを境に大勢の生徒で学校がにぎやかになる。もちろんほのかのクラスもたくさんの生徒が騒ぎながら帰りの準備をしたり会話したりしていた。
もちろんほのかも他のクラスメイトの例に漏れず早く家に帰るために急いで帰宅の準備をする。ほのかは電車で登校しており電車の時間までに駅まで行かないといけなかった。
「ほのちゃーん、今日も一日お疲れ!」
「わっ、美緒ちゃんってばいつも突然だね。そんなに嬉しそうにしてどうしたの?」
「そりゃあ嬉しいよ。だって今日は金曜だよ?明日から二日間も休みなんだから!」
美緒は教室全体に聞こえるほどの声ではしゃぎ出す。やはり連休ということもあってか周りも同様に騒がしかった。
「ふふっ、確かに休みは私も嬉しいかも。お菓子を作ったり裁縫したり趣味の時間に使えるから。」
「うへえ、ほのちゃんはオシャレさんだね。僕なんて部活するか家の中でゴロゴロとゲームするかしかないよ。」
美緒はそう口にしながらも楽しそうに休日の予定を組み立てていた。もちろんほのかも予定をある程度組み立てているが一つだけ周りに言えない大事な予定があった。
「美緒はどうせ宿題しないつもりなんでしょ。アタシやほのかを見習って少しは勉強しなさい。」
「げぇ、瑠奈ちゃんがまたお母さんみたいなこと言ってる。僕はただゴロゴロしたいだけなのに。」
「そんなのだから毎回赤点ギリギリなのよ。もうすぐテストだって言うのに。」
ほのかの周りではいつもと変わらずに美緒と瑠奈が喧嘩をし始める。これはもはやいつもの流れでクラスのみんなもまたかという顔で二人を見守っていた。
「あはは、二人とも本当に仲がいいよね。流石幼馴染というか。」
「別に美緒とはただの腐れ縁ってだけよ。アタシがいないと美緒は何もしないんだから。」
「ふん、そんなこと言って僕がいないと寂しい癖に。というかほのちゃんには幼馴染とかいないの?」
「えっと、それは何というかその。・・・幼馴染とかはいないかな。」
ほのかは汗を垂らしながら動揺する。ほのかと沙羅が幼馴染だということは二人だけの秘密だ。バレたら大変な目に遭ってしまう。
「ふーん、幼馴染がいないってのもかわいそう。だってそんなの退屈じゃない?」
「ちょっ、美緒ってば勢いよく抱きつくなって言ってるじゃない!まだクラスにはみんないるのよ。」
「いいじゃん瑠奈のケチ。女の子のスキンシップはこれくらい普通だってば。」
二人の漫才を見ながらほのかはスマホで時間を確認する。既にそろそろ下校しないと電車に間に合わなくなる時間だった。
「ええっと、それじゃあ私も予定があるからそろそろ帰るね。二人ともまた明日。」
「うえっ、ほのちゃんってばもう帰るの?!せっかくなら三人でどこか寄ろうよ!」
ほのかが帰ろうとすると美緒は不満そうに頬を膨らませながらほのかをじっと睨んだ。本当はほのかも二人と遊びたかったがほのかには大事な約束があった。
「それが実は今日は色々と用事があって。・・・と、とにかく今は急いでるからまた今度誘ってほしいな?それじゃあ、また来週!」
今も教室の奥から強烈な視線がほのかを襲った。その視線にほのかはびくっとなり、逃げる様に教室を飛び出した。
「ほのちゃんってばあんなに急いでどうしたんだろ?彼氏がいるわけでも部活があるわけでもないのに。」
「さあ、真面目なほのかのことだし習いごとでもあるんじゃないかしら?とにかくアタシ達も今日は早く帰りましょうか。」
「うふぇ、せっかくなら三人で遊びたかったのにな。それじゃあ二人であそぼっか。」
急ぎながら教室を飛び出していくほのかを美緒と瑠奈も興味深々に見ていた。普段大人しく慌てる様子のないほのかとは思えない行動だった。
そんなほのかの行動もこの教室の中で一人だけは詳しいことまで知っている。沙羅は走る様に逃げるほのかの背中を満面の笑みで見た。
「は、はあ何とか電車に間に合ったしこれなら沙羅ちゃんとの約束の時間にも間に合いそうだよ。」
無事に電車に乗って磯部町まで来れたほのかは息が荒れたまま自分の家を目指して歩き出す。
磯部町はほのかの住む町でほのかの通っている御園町から電車で二、三十分かかる距離である。
御園町と比べれば断然田舎だがそれでも普通に暮らすには困ることのない過ごしやすい町だった。
「明日から休日ってことはまた今日からずっと・・・。はあ、私の体は無事に持つかな?」
ほのかは独り言を呟きながらも駅から徒歩十分ほどある家までとぼとぼ向かう。
ほのかには一つだけ大きな悩みがあった。それは人によっては贅沢とも言える悩みだがほのかは至極真剣に悩んでいた。
「はあ、とりあえず自分の部屋で休んでから考えようかな。ただいま。」
すぐに家に着くとほのかはそのまま鍵で扉を開けて家の中に入る。一応帰った時の挨拶をするが家には誰もおらずしんとしていた。
ほのかは母親と二人暮らしでこの時間にほのかの母親は仕事をしていた。そのため朝から昼の間はほのか一人でいることも多い。
ほのかはそのまま二階にある自分の部屋へと入る。しかし、そこには本来いるはずのない沙羅の姿があった。
「おかえり、遅かったわね。ほのかがとろいから先に入っていたわ。」
相変わらずの綺麗な容姿で余裕そうに笑う沙羅はまさに絶世の美少女だった。何故かほのかよりも先に家にいてほのかのベットに横たわっている。
「沙羅ちゃんってば勝手に部屋に入って来ないでって言ってるよね。それになんで私より早いの?」
「鍵はほのかママに貰っているから公認よ。まるで私が不法侵入したみたいに言わないでくれるかしら。」
「いや、私に言わずに部屋に入るのは不法侵入では?」
沙羅はほのかの家の隣ということもあり家族ぐるみの付き合いだった。そのこともあって沙羅はほのかの母親とも仲がよく何故かほのかの家の鍵を持っている。
「とにかく学校も終わって落ち着いたことだし今日はゆっくり休みましょう。ほら、ほのかもこっちに来なさい。」
「はあ、結局こうなるの?というか制服は?一度自分の家に帰った方がいいんじゃ・・・」
制服姿のままベットに寝転がる沙羅を見てほのかは心配になる。沙羅はスカート姿ということもあって太ももが見えてパンツもチラッと見えていた。
「そんな時間はないの。私は少しでも長くほのかと一緒にいたいのだから。だから早く来なさい。」
「もう、沙羅ちゃんってば頑固だね。学校のみんなが見たらどう思うことか。」
ほのかは荷物を全て置いてそのまま自分のベットにダイブする。ベットに寝転がった瞬間に沙羅はほのかの胸に頭を置いた。
「ふふっ、ほのかは私だけのものよ。この大きな胸だって私だけが触れるのだから。」
「ちょっと、沙羅ちゃん?いきなり変なことしないで!」
沙羅は変態的な手つきでほのかの胸を触りだす。そんな沙羅を見てほのかは大きな声で叫んだ。
沙羅はいつも放課後になるとこのようにしてほのかにセクハラをしていた。もはやこれが日常的になりつつある。
ほのかも沙羅も部活には入っておらず基本的にどちらかの家で二人で遊ぶ事が多い。その様子は両方の親は微笑ましく見守っている。
ほのかが部活に入っていない理由も沙羅が関係しており、『ほのかが部活に入ったら私と一緒にいる時間が変じゃない。』と沙羅がうるさい為ほのかは部活に入りたくても入れなかった。
「ふふ、これは仕方のないことよ。今週も私は頑張ったしストレスだって溜まっている。このストレスを発散するにはほのかしかないのだから。」
「うっ、だとしてもこれは恥ずかしいし何度やっても慣れないというか。」
初めてほのかと沙羅がこのような関係になったのは中学生の頃だった。沙羅がほのかにストレスの悩みを相談したことによって今のような関係になった。
元々沙羅は中学の頃から真面目で秀才。その分周りから注目され期待されストレスを溜め込んでいた。沙羅は普段から優等生の沙羅を演じておりかなりの無理をしていた。
だからこそほのかだけが沙羅の癒しだった。唯一純粋に沙羅のことを思い沙羅に優しくするほのかは沙羅には欠かせなかった。
そしてその中でも沙羅はほのかのことを性的に見ており時々ほのかに変なことをするようになってしまった。
今もその関係が変わることはなく付き合ってこそいないがずっと一緒にいて殆ど付き合っているようなものだった。
「とりあえずいつものをしなさい。私はもう疲れて仕方ないわ。」
「はいはい、ただ親がいないとはいっても静かにしてね?」
「フッ、それは誰に言っているのかしら。私がそんな惨めな声を出すとでも?」
ほのかは少し心配気味に沙羅の体を揉み始める。沙羅はキリッとした顔で佇んでいるがほのかにはもう嫌な予感しかしなかった。
ほのかはよく沙羅の体の疲れを取るために体をほぐしてマッサージしているのだがそこには大きな問題があった。
「じゃあ、最初は背中からいくよ?」
「ん、やっぱりほのかのマッサージはいいわね。ひうっ。」
ほのかが沙羅の体を揉み出すと沙羅は少し高い声を出しながら小さく体を震わせた。
沙羅は体が他の人よりも敏感でほのかが少し触るだけで感じていた。そのせいかえっちなことをしてるわけでもないのにえっちなことをしている感じになっていた。
「ひゃう、やっぱり疲れてる時のマッサージは効くわ。んん。」
「あ、あのもう少し音量下げてくれないかな?何というかご近所に勘違いされそうだから。」
沙羅はいつもの余裕を保とうと必死だが既に今の沙羅には威厳などなくただの弱々しいネコだった。
沙羅の声は少しずつ大きくなりかなり息も上がっていた。沙羅のやらしい雰囲気に耐えられ無くなったほのかは咄嗟に沙羅の体を揉むのをやめた。
「今日はここでおしまい!もう十分休めたでしょう?」
「・・・なんだか早くないかしら。もう少しほのかのマッサージを堪能したかったのに。」
「えっとそれはまた今度にしてくれないかな?それに宿題もしなきゃだし。」
不満そうな顔で沙羅はほのかを見つめるが今のほのかにそんな余裕はなかった。それに今のままではまずいと思ったほのかは路線を変更することにした。
ほのかは自分の椅子に座り教科書とノートを開く。
「ふふ、それなら私がほのかの勉強を見てあげるわ。私にかかればこんなものすぐ終わるのだから。」
沙羅は髪を靡かせながらカッコいいポーズを取って優しく笑った。沙羅が勉強を見てくれるなら頼もしい他なかった。
そもそもほのか自体頭もよくテストも基本的には学年で上位十位に入るほどだった。ただそれも沙羅のおかげといってよく沙羅はそれほどに人に勉強を教えるほどの才能があった。
ほのかは早速教科書を開き問題を解き始める。そんな中、沙羅はほのかの耳元でこっそりと囁いた。
「この勉強が終わった後はまた二人で遊びましょうね。それと今日は泊まっていくから。」
「う、うん。それは善処します。」
沙羅の一言にほのかは顔を真っ赤にしながらもじもじとする。ほのかの前だけでは沙羅は欲望全開かつ我儘だった。
そんな沙羅に呆れながらもほのかは今の楽しいひと時を嗜むのだった。




