合宿の後はスキー場!!③
「じゃあ最後みんなで一緒に滑って終わりにするか」
「だね。時間もいい頃合いだし」
「や、やっとラストですか……」
「なんだよシロ。もうへばってんのか」
「いつから万屋部はこんなにスパルタになったんですか……」
「お疲れ様ですシロ君」
「美月ちゃんまだ余裕だったりする?」
「いえ…私ももう足が厳しいです……」
「みーちゃんは今日初めてだもんね」
そう言いながら杏果さんは足をボードに固定し終わる。
「よっと、じゃあ先に行って待ってるからみんなも早く追いついてこいよ〜」
そういうと、おさきと言い残し杏果さんはいってしまった。
「あいつを先に行かせると追いつかなくなるんだよな。しかも上級者コースに行きやがるし…すまんが俺も先に行くぞ」
そして部長も行ってしまった。
「僕達も行こっか。冬馬くん準備はいいかい?」
「あ、はい。大丈夫。よっと…」
冬馬はゆっくり立ち上がりバランスを取る。
「美月ちゃんも行こっか」
「は、はい!」
「ゆっくりでいいからね」
こうして冬馬達3人もゆっくり出発するのだった。
「杏果!ちょっとスピード落とせよ!あと上級者コースはいくなよ!」
「わかってるよ、ったく最後はかっ飛ばしたいとこなんだけどな〜」
杏果さんはブレーキをかけつつスピードを落とし残りの3人を待っている。
「もうじきかな〜。誰が初めに来ると思う?」
「ん〜…優斗か冬馬くんかな。美月ちゃんのスピードは見てきたから美月ちゃんが一番ってのはないと思うな」
「私もシロかな〜。あいつ午前中で速度の出し方にびびってなかったら私に追いつけるはずだからな。そのあとはみーちゃんで後ろから優斗が見てるって感じじゃないかな」
杏果さんと部長は次に誰が来るのか予想し合っていた。
しかしその予想のドラマが外れた。
一番最初にきたのはまさかの美月ちゃんだった。しかもすごいスピードで。
「うわぁぁああ!!!のいてください〜!!!」
「美月ちゃん落ち着いて!!ゆっくりハの字にして減速を…!!!」
「部長!杏果さん!美月ちゃんの速度が止まらないんです!」
「あれやばいんじゃない!?琢磨なんとかならない!?」
「なんとかって言ったって…!」
美月ちゃんはそのままのスピードで杏果さんと部長をぶっちぎってしまった。
「やばい、追いかけるよ!」
「わかってる!」
先にいた杏果さんと部長は全速力で美月ちゃんを追いかけた。
「みーちゃん落ち着いて!ゆっくり!ゆっくりハの字にして!」
「む、無理です〜〜!!」
「このままだとコースアウトするぞ!」
「かくなる上は…みーちゃん!尻もちついて!」
「ふぇ!?」
「尻もちついて減速するの!」
「む、無理です〜!!怖いです〜!!」
「大丈夫!雪だから痛くない!このままだともっと痛くなっちゃうよ!」
「わ、わかりました〜!」
美月ちゃんは思い切って体重を後ろにして尻もちをついた。というより背中からいった感じだった。
それでもなんとか減速し、コースアウトせずに済んだがコースはじの雪溜まりに思いっきり突っ込んでいた。
引っ張り出した美月ちゃんはきゅー…と言って目を回していた。
そこからはゆっくり全員で降りてなんとか入り口のロッジへと辿り着くことができた。