STORY29:交差する運命
貿易都市ハーケンス。
海産業も盛んで、船が出入りしている貿易もほどほどではある。
海の幸ってのがあるのか?少し楽しみだが、その前にここでの【困り事】がないか探すことが優先だろう。
「駐車スペースをGPSで割り出しています・・徐行しています、お待ちください・・。」
魔導自動車ってホント便利だな・・。
駐車スペースに止まる。
「停止しました、お疲れ様でした。」
みんなが降りてドアロックがかかる。
クロエは首を回している。
アドーは腰を逸らしている。
クリスは肩を回した。
オレは黙ってエルのほうに手をスッと差し出す。
エルはツーンとしながらも手に指を絡めてガッチリ組み付いた。
なんだか安心するというか、温かい手。
向こうに4人組の冒険者のようなのがいる・・・
顔とかはよく見えない。
困り事といえば事件などだ。
自警団のような詰め所に事情を説明して事件などがないか聞いてみた。
「あまり危険なことはおすすめできない、そういう仕事は自警団の仕事だからな?正義の味方のつもりだろうが危険すぎる、看過はできんな。」
エルは鼻息ふんふんひくひくしながら
「ケチ!アンタたちにでも手に負えないときどうすんのよ!」
「だめなものはだめだ、一般人にそういうのさせるとこっちも困るんだよ。」
自警団の連中は断固として断ってくる。
断られてしまう。
困ったな・・この国は自警団とか治安維持が弱いんだが
なぜか冒険者ギルド的なものがないんだよな、ガバってるというか。
だからレフラルドのような忖度が起きたり
王都のような暴挙が通るし・・
ビギリニアのような魔物にも対応しきれなくなったり。
この国で生きるためにはより強くならないといけないという話だ。
地方でなんらかの勢力が治安を維持したり秩序を保ったり。
グレイベルン要塞、レフラルド教団、王都親衛隊、そしてハーケンス自警団。
ビギリニアはそういうのが唯一ない。
ただレフラルドは不正な秩序だったし王都はなにか王子が悪さしてたり。
「みんな、こうなれば聞き込みで回ろう。」
「あの時計塔の時間で12のとこに両方の長短の針が重なったらここにもう1度集まろう。」
時間を決めることにした。
「とりあえず、哨戒活動に長けたクロエ、アドーとクリスで1組、オレはエルと。」
なぜこうなったか、王都のことがあってエルを1人にしたくないし。
アドーも1人するのが怖かったから。
クロエは?心配ではあるが一番慎重に周りが見れるから・・というのも酷ではある。
なんか割り切れないように思えるが、クロエだけ雑にしてないか自身に罪悪感を感じた、今でも仲間として大事に思っているはずなのに・・。
クロエに申し訳ないという気持ちを表情で伝える。
なんとなくクロエは無言で頷いているのを見て、オレが納得したことにする。
「作戦開始、慎重にな?やばかったらあとがどうなるかわからんが自警団も巻き込んでいくしかない。」
ここの自警団が役に立つかはどうかとしてそういう機関を利用するのも視野に入れる。
あとで怒られるとか、人が死ぬとか誘拐されるよりはマシだ。
オレとエル組でさっきの4人組が話していた街人に問いかけることにした。
「こんにちは。ちょっとききたいことがあります。」
街人は挨拶を返し、キョトンとした。
「こんにちは、なんだい?このへんの人じゃないね。観光かい?」
オレは問うことにした。
「いえ、観光というよりは旅しているものです、最近ここで困り事や事件はありませんでしたか?」
少しほっとしたような表情で
「最近人さらいがいたんですが、旅の方に救ってもらいました。おかげでこどもも帰ってきましたよ。」
こども・・?人さらい・・?
やはり解決後か?
EP2【消えたこどもたち】のクリア後ってことでいいのか?
オレは問いを続けた。
「犯人ってのはどうだったんですか?人さらいの正体は?」
「魔物ですよ、魔物。怖いですね・・最近街にも魔物が入ってくるんですかねと。自警団も仕事してほしいものです。」
魔物?たしかにあの原作ではプレイヤーが魔物退治するはずだが、じゃあ仕向けた人間が捕まっていないとおかしい。魔物だけハイドーゾはありえん。
「人は捕まりませんでしたか?」
街人は親切に
「いえいえ、協力してくれた傭兵の方々と冒険者の4名さんですね。魔物が集団の仕業っぽいですけど。」
おかしいだろ、魔物は人をさらう習性ってあるものか?
基本知性があってもこどもだけさらうって?
下衆な魔物は女もさらうが。
ゴブリンとかオークは女をさらうがこどもはさらわない。
思考を巡らせる・・・。
「被害者には若い女性とかはいませんでしたか?」
「さぁ?こどもだけだったきがします、ウチもこどもだけで妻はさらわれていません。」
???
街中にいる女性1人たりとも手を付けないとなると・・・
「いい忘れてました、どうやら身代金だのなんだのって・・」
魔物が率先して金?何に使うんだ?魔物が人間の社会に使う通貨なんか求めるか??
これはにおうぞ。
魔物単体で金を求めるなんてありえん。理由は魔物で仮に擬態できたとして、人間社会で通貨を使うか?
あるいは人間社会に馴染もうとするならまず、悪事を働くことすらせず、労働したりするんじゃないのか?あくまで仮定ではあるが。
これは人間黒幕説あるな・・・根拠としてはまだ弱い気がするが。
自身が生きようとした結果、改変された原作シナリオによりもはや疑ってかかることに慣れてしまっていた。
本来プレイヤーとしてシナリオ、誘拐事件は魔物を盾にして抵抗する男がいて、そいつは騎士志願の剣士だったはずだ。
最悪その剣士が主導してたから捕まっているはずなのだが・・・。
「あ、色々ありがとうございます。失礼します」
オレはエルと一緒に踵を返した。
「エル、珍しく静かだったな、どうした?」
するとエルは繋がったままの手を上げる。
「こんなん、恥ずかしいじゃない。」
頬を赤く染めていうんだが、いい加減慣れてくれ。
というか、オレもなんでこんなずっと繋いでんだ???
エルはなんか脚をギュッと閉じているようだった。
???
まぁ考えないフリをすることにした。
こっちゃ真面目にやってんだがな・・・エルはなに考えてんだ。
色々聞いて回ったが、アレ以上に有力な情報はなかった。
しかしさっきからつけられてる気がするな。
時計が12のとこに長短の針が重なったようだ。
規定の場所に集まることにした。
クロエから話をきくことに
「見た感じ、廃屋のようなとこに地下道があってそこの先になにかありそうでした。単独では迂闊と思い情報だけ持ち帰ってきました。」
「ありがとう、一回そこにいってみようか。」
アドー、クリスコンビからは
「4人組の冒険者の話、銃という飛び道具、剣、斧、ナックルで自衛する障壁使いみたいなのが組んで事件を解決していたって!なんか話では強そうだったよ?」
「バランスは悪くないな。魔法職が前にでている構成だしな。」
話だけだがクリスは推測している。
「もうないと思うが、確認してこよう、廃屋、案内してくれ。」
クロエは頷いて
「承知致しました、こちらへ。」
誘導に従い、オレらは案内されるがまま廃屋を目指す。
廃屋が見えたころ、なにか声が聞こえる。
「ストップ、みんなどっかに身を隠してくれ。誰か来る」
複数名の男の声とくぐもった感じの女性の声だった。
???
オレは耳を傾けつつ、その先を見ている。
「お前、嗅ぎ回ってる連中の仲間か?」
手を拘束されているようだった、紫の髪の毛でボブカット、ライフルのようなものが背中にホールドされている。
「はなせっ!そんなやつはしらない!」
「ゲヘヘヘ、もう1人女いたな?お前をダシにしてもう1人釣るエサになってもらおうか?!」
男は2~3名いるようだが・・?
「今頃仲間は探しているだろうなぁ・・?ねぇちゃんよぉ?」
ライフル女は手が使えないので抵抗ができないようだ。
クリスは今にも飛び出しそうになっているが
「落ち着け、クリス・・今出るとうやむやになる可能性がある。」
そうだ、これはまだ事件が残っているということだ、偶然にもそれを確証するなにかが得られそうだった。
みんな廃屋の中に入っていく、間違いなくこの廃屋を使うか?それとも地下を使うか?
入ったのを確認した、今なら後をつけられるはずだ。
「みんな、まずは様子をみて、廃屋内を調査しつつさっきの女性を救出かつ、地下の内情を知りたい。」
全員うなづいた。
このときはさすがにエルも真剣な目で周りを見ている。
ん?紫の髪の毛とライフル・・・?
ひょっとすると勇者PTの【ロミア・スネイプ】だったか?
プレイヤーではないがプレイヤー陣営のストーリー参加キャラだ。
要は物語に関わるキャラとして存在している勇者PTの面々の1人。
残りの3人が【ロビン】と【ゴードン】と【ミーリス】ってことだから
実質プレイヤーというよりストーリーキャラか?
実際のプレイヤーはまだ見つからず。
本来はそのメンツはプレイヤーの進捗に合わせて進行するはずなのだ。
プレイヤーはいないかもしれない、なぜかそう思う。
ただ悪い想定として
いつオレだけが【転生者】だと錯覚していた?
しかし1つだけ思うこと、オレ以外に転生を匂わせるやつがいない。
オレが単純に雑なだけなのか?
他はもっとうまく順応できているのか?
考えても埒が明かないとは思う、もう考えてもムダだから・・
最悪自身と周りが幸福であればそれでいい、そう思うほうが楽だから。
幸福とは、難しい定義だったようだ。
ついにプレイヤー側のNPCだったキャラが登場?!!
ただここでは人間としていきていることは読者さんこれまで見てきてみんなわかってるよね??!




