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みっくんは言った。


「いいか?身の危険を感じたら、すぐに走って逃げるか大声を出すんだ。躊躇うな、アイツに情けはいらない」


キリリとした表情で言い放つみっくん、マジかっけー!この意外な一面を学校の人たちが見たら、みっくんファンの新規開拓が出来そうだ。可愛いのにカッコいいってさいきょーだよみっくん!

なんてことを考えながら呆けていたので、みっくんの言葉の意味なんて全く分からなかった。


翌日、時間までに支度を済ませ、椅子にちんまり座って待っているときに唐突に思い至った。


集合場所はどこだ!?


無性に焦りが生まれ、あわあわと挙動不審に立ったり座ったりしていると、来訪を告げるチャイムが鳴る。おかんが、はーいと明るい声を上げながらパタパタと玄関に向かうのを横目に、俺は再びあわあわし始めた。


「たっちゃん、お友達よ。イケメン!」

「…みっくんじゃなくて?」

「みっくんはキュートよ」

「だよね」


おかんに声をかけられたので動きを止め、焦りが抜けないまま小走りで玄関に向かう。こんなときに一体誰だ!


「佐久間、おはよう」

「みやい…」

「もう出れる?ふふ、私服かわいいね」

「みやいー!良かった!」

「ん?どうしたの?」

「おれ、おれ、今日の待ち合わせ場所知らなくて…」

「あれ、迎えに行くって言わなかったっけ?」

「…そーだっけ?」

「うん。早く行こ」


待ち合わせは我が家でした。途端にほっとして、知らぬ間に浮かんでいた涙をぐいっと拭う。


「佐久間、泣いちゃったの?可哀想に…ごめんね」

「ううん。ちょっと待ってて」


宮井が頭を撫でて来たので、恥ずかしくてすぐに上着を取りに引っ込んだ。俺ってばこんなことで泣くなんてバカすぎる!みっくんに知られたら一生からかわれるに違いない。


「宮井、どこ行くの?」

「着いてからのお楽しみ」

「ふーん」


とりとめのない話をしながらも、周囲の視線が妙に気になる。宮井王子様は学校だけでなく外でも人気らしく、主に女性から見られる見られる。ちらりと宮井を見上げれば、気にした様子もなく笑顔だ。慣れなのか、単に鈍感なのかは分からない。


宮井は鈍感なのか、というテーマで脳内議論を繰り広げている間に目的地へ着いたようだ。


「…みやい、ここ?」

「うん。俺の家」


あんぐりと口を開け、目の前の超高層マンションを見上げながら意識を彼方へ飛ばしていると、宮井が楽しそうに俺の顔の前で手を振った。


「佐久間、佐久間、戻ってきて」

「え?ここ宮井の家?なにすんの?」

「ちょっと話もあるし、人目を気にしなくてもいいところがいいなと思って」


誰もいないから緊張しないで、と付け足す宮井から聳え立つマンションへと視線を戻し、俺はごくりと息を飲んだ。


続く

誤字等ご容赦ください。

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