1話 剥奪
薄暗く、石材で組み立てられ、各所各所に置かれた机の上に縫合手術用の道具が山ほど置かれた政府の研究室。
「なぁおい愚かだと思わねぇかぁ〜?アラフォーのおっさん苦しめてさ。な?アラフォーに時間かける必要ないと思うんだ。な?わかるだろ?な?」
「喚くな。」
その研究室のど真ん中に置かれたベッドにうつ伏せで寝かされている、顎髭が生えており、髪型はオールバックで後ろで髪を一本に結んでいる男。そうこの俺ノーブル・スコットという男が背中に埋められた明るく美しく輝く透明で綺麗な施術石を政府の奴らに取り除かれそうになっていた。
「麻酔は必要でしょうか、チーフ。」
「必要ない。大罪人にそんなものが必要と思うか?」
「なぁ悪かったって謝るからさ!でもお前らもどうせ同じ立場になったらぁあっ゛!!」
図星だったのか、はたまた単純にやかましすぎたからか、研究員にチーフと呼ばれていた男は俺の背中に勢い良くメスを突き刺し、ゴリゴリと施術石の裏にメスを食い込ませ、剥がし始めた。
「…ふざけやがって…!」
拳を振りかざそうとしたが、拘束具と麻痺毒に邪魔をされて腕を上げることすら叶わない。そんなことをやっている間にも施術石は剥がされていく。
「わかった!!なんでもするよ!!だから…だから頼むから…!」
「あそこまでのことをして許されると思っているのか…愚かだな…」
チーフは背骨が露出するほど深く背中を掘り、施術石を一気に剥がした。
「…そんな…そんな…!」
研究員達は数秒間軽蔑的な目で俺を睨みつけ、机の足についたキャスターをコロコロと転がしながら研究室のとある1室まで机を出した。
「…さぁどうするんだ?この人権も、生きる意味も、家族も失った俺を。何を取り上げるんだ?」
チーフは冷徹に答える。
「…思考だな。貴様は地下で死ぬまで働いてもらう。」
そういい、拘束具を外してきた。
「迂闊だな。」
俺は体内に残った施術の力をフルに活用し、その場にいた研究員全員をなぶり殺し、天井を破壊して政府の研究所から脱出した。
「麻痺毒なんかすぐに分解できるに決まってるだろ。…さぁ…どこに逃げるか…」
そして無策に、剣の交わる音の響く土地へと向かうことにした。




