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悪役令嬢の覚醒

 テンプレ、テンプレート。

 そのまんま。

 王道。


 くふふ、っと持ち上がった口角や笑い声は隠せない。


 いや、隠す気もない。

 全くもって、微塵もない。



 何故ならローゼンマリアこと、アルファベルト公爵令嬢はこの世界の悪役令嬢だ。そう、ローゼンマリアの前世の私がはまっていたあのゲームの悪役令嬢だ。


 思い出したのはたまたま風を引いてくしゃみを盛大にかましてしまったのがキッカケだった。


 爵位もちの令嬢らしからず鼻水がたらりと垂れてしまい、その鼻水をみたママがよく呆れてた。懐かしさで笑ったその時にきづいたのだ。


(ママ?お母様じゃなくて?)


 記憶の違和感。

 しばらくしてそれが今のローゼンマリアの記憶ではなく、前世で私だった人物の記憶だと言うことを理解した。


 それからだ。この世界は前世の私の記憶の中ではゲームの世界であるということ。自分は悪役令嬢の立ち位置であることを思い出した。


 だからローゼンマリアは記憶の中のゲーム同様、悪役令嬢として振る舞おうとおもいたったのだ。


 元々ローゼンマリアはどこか令嬢になりきれずにいた。そのせいでこの貴族世界の窮屈さに辟易としていた。加えて自身の家が高位も高位な貴族の中の貴族。まさにキングオブ貴族なせいで、さらなる窮屈で重圧感満載の王太子妃として婚約者の座にぶちこまれてしまっていた。その悲しい運命に、心から悲しみまで抱いていたのだ。

 ローゼンマリアは正直いって王子がどんなにイケメンだろうとスパダリだろうと、興味はなかった。むしろ、そんなキラキラした物語のような人物のとなりにいるだけでも気疲れしてしまう。ざっくり言ってしまえば王子は苦手だった。だからローゼンマリアの前世のゲームの記憶とは違い王子を避けて避けて避けまくって、力の限り王子をよけていたのはもしかしたら無意識に前世のゲームの記憶が滅亡を避けていたからかもしれない。


 けれど悪役令嬢の立ち位置を思い出したのはもはや神の思し召しとしかおもえない。これはローゼンマリアにしてみれば人生をかけた最大のチャンスだ。今まで王子を避けまくって来たが、これからは悪役令嬢としてふるまえばいい。そうすれば必然的に王子からローゼンマリアを避けてくれるようになるのだ。そしてその行く末はローゼンマリアにとってご褒美になるのだ。


 なぜなら悪役令嬢たるもの行く末は1つ。

 その身の破滅である。


 破滅と言えば、貴族としてその席を抹消。

 王太子との婚約は破棄がテンプレだ。


 一見すれば栄光とも呼べる地位からの転落。


 なんとすばらしいことか!


 ローゼンマリアは感動にうち震えた。


 幸運な事にこの世界での悪役令嬢の末路は既にしっている。そこに、生命の危機はない。

 それならば全く問題ない。

 喉から手が出るほど今すぐにでも破滅したい。


 窮屈なこの貴族世界からぬけだせて、王太子妃であることの無駄なプレッシャーからの解放。それは全く微塵も貴族にも王太子にも未練も執着もないローゼンマリアにしてみればご褒美以外の何者でもない。


 ローゼンマリアは悪役令嬢である自分をしって、婚約破棄へと流行る気持ちを何とかして収め、ニヤつく頬をパシンと叩き意識を集中させた。


 なにがなんでも悪役令嬢、全うしてみせる――!




 こうしてローゼンマリは悪役令嬢道を突き進むことを撰んだ。


 自らの破滅の為に。

お久しぶりですの方もはじめましての方も、よろしくお願いします。


本文は書き上げておりますが、手動で掲載していくため掲載時間は不定期になってしまう事をご了承下されば幸いです。


よりしければブクマ、評価よろしくお願いします。

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