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エルフ救って調子乗る。2



 「もう少しで着くみたいだぞ。お嬢様よ」

 「うむ」


 俺はフレイヤの背中から返事をする。移動中はずっと森だ。足場は悪い。虫はいる。服は汚れるで、俺は早々にリタイアした。歩き始めて1時間でフレイヤに背負ってもらったんだ。でもそこからも大変。1週間だ。1週間野宿しながら、しかも魔物の目を盗みながらの移動だ。正直やってられないし、疲れる。それでも我慢した俺偉いよな。


 「なぁエリス。まだ森だけど? どこにエルフの里あるんだ?」


 案内のエリスに聞いてみる。こいつはなんていうかな、移動中一緒にいて分かったことと言えば、真面目な奴だってことくらいかな。お? なんかファンタジーぽい呪文を唱えだしたぞ、女神がー、とか精霊よとか言ってる。やっぱりそんな存在がいるのかね? と、不思議に思っていたら視界が一変した。森に道が出来て、その先、奥の方では街並みが見える。


 「ん? 予想外だな。木の上にでも住んでんのかと思ったら、ちゃんとした建物だな。むしろ人間の街よりすごくね?」

 「たしかに。森の中を拓いた街だな。建物は木造が一つもないぞ? 人間より技術は高そうだ」

 

 しかも建物は全部白色だ。神秘的だな。しかし、


 「これが瘴気ってやつ? 木が腐ってんな」

 「木だけではありません。そのうち里も腐るでしょう……だからこそ邪竜の討伐が必要なのです」


 ふーん。っと、俺も流石にここまで来たらフレイヤの背を降りて歩き出す。しばらく歩いて普通にエルフの里の中に入る。あれ? この侵入者が! みたいなことになんないんだね。拍子抜け。里に入っても誰にも会わない。微妙に視線は感じるから人はいると思うんだけどなー。


 エリスに連れられ入ったのは小さな家だった。中に入っても何もない……? さらに地下への階段を下りる。暗号? みたいなのをエリスが階段下の扉に向かって呟く。すると扉が開いて、男のエルフが出てきた。


 「エリス様……見つけましたか?」

 「はい」


 そのやり取りを終えると俺とフレイヤも中に案内された。てか様付けって偉いのな。


 地下は広かった。200人くらいは入れそうな、集会場って雰囲気かな? エリスくらい若い見た目のエルフが、50人ほどいる。みんな俺とフレイヤに興味はあるが、声はかけられないって感じだ。


 「ここはなに?」


 俺はとりあえず聞いてみる。


 「同志の集会所です。では皆様に紹介するのでこちらに」


 俺とフレイヤは、みなに見えるよう、中央にまで連れていかれる。何が始まるんだ? と俺とフレイヤが疑問に思っていたところで。エリスが声を上げて


 「聞いてください! 同志よ! 邪竜を倒すことのできる城の主を探し出してきました。こちらの2人がそうです! 時は来ました! 邪竜を倒し、耄碌した年寄り共を里から追い出し、我々の時代を――」


 ん? ん? うん。邪竜を倒すは分かるよ。年寄り共を追い出し?


 「――さぁ! 古き奴らとの戦いの準備を! 深き森のエルフに未来!」

 「「「未来を!」」」


 うん、戦いとか言っちゃってるよ? それ邪竜とのことだよね? エルフ同士で戦うとかって話じゃないよね? 


 「お嬢様よ」

 「うーん。やめとくか?」

 「それが良いと思うぞ?」


 俺とフレイヤがそう決断を出しそうになったところで。


 「歓待しますのでこちらへどうぞ」


 エリスにそう言われた。















 いや! あれだよね。 エルフってやっぱ美人が多いよね。いいと思います! 良いと思います! こう、健康的な可愛さとかじゃなくて、神秘的な美しさってやつ? これぞファンタジーってやつだよ。フレイヤもそうだよ。そうだけど、自分で作ったキャラ、しかも随分と頑張って育てたキャラだからね。もう見慣れてるんだよね。それに比べて初顔のエルフっ子達に囲まれるのは別腹だよ!


 「それではお嬢様は、1人で竜種を何匹も討伐を?」

 「まぁね! 最近じゃ竜なんてソロで倒せる程度のボスでしかないからな! 大きければいいってもんじゃないね」

 「「「「すごいです」」」」


 酒と料理、それに可愛いエルフの女の子達! おいおい、ここ天国じゃねぇの? フレイヤが隣でゆっくりと料理を食べながら、すごいジト目で俺のことを見てくるが……しょうがないだろ! 気分良いんだもん!


 「くっ、お嬢様の弱点が既にエリスにバレていようとは……」

 「気にするな! フレイヤ。別に騙されたわけでもなし」

 「しかし……」

 「これは様子見だよ。様子見」


 お、エリスも来やがった。気分が良いんで今なら何でも聞いてやるぞ? さぁ話すがよい


 「お嬢様。楽しんでおられますか?」

 「うむ、それで話すことがあるだろ? さっきの演説はなに?」

 「はい、実は――」


 エリスの話は簡単だった。邪竜とか言ってたのは、里の守り神。しかし、それも何百年前に怒りを買ってこの森のエルフは滅びの運命。瘴気はエルフへの罰。当時から生きてるエルフは粛々と罰を受け入れて、滅ぶつもり。でもエリス達若い衆は滅ぶ気などない。じゃあ里を出ればいいのでは? 実際そうなりそうではあったらしい。でもそこで、怪しさ満点の女神様のお告げだ。この里で崇められてるのは邪竜=守り神さん。じゃあ女神様って? エリス達のグループが崇める神様だそうで……うん、この里では多分邪教だよね? 貴方たち? まぁとにかくお告げがあったものだから、さぁ大変。

 邪竜倒せるの? → じゃあ出ていく必要ないじゃん → 代わりに年寄り共出て行け! ってことかな?


 「はい、正義感のフレイヤさん。正義はどこにありますか?」

 

 俺は聞いてみる。


 「さぁな、里の問題だろう。まぁエリス達は少し短絡的すぎる気もするがな、竜に関しては守り神かどうかなど、お嬢様が気にしても仕方あるまい。害になっているのであれば倒して悪い事もないだろう」

 「それもそうか」


 竜倒すだけでクエスト完了してくれればいいけど、それ以外だったら面倒すぎるからやりたくないなー。


 「まぁ、そんなことは後で考えればいいか! 酒だ! 飲むぞ! 城に酒ないんだもんな! 今が飲み放題だろ!」

 「お嬢様よ……」












 さて結局3日は飲み呆けていた俺だが、これでもゲーマーだ。ボス戦には興味はある。宴会を切り上げてやってきたのは、エルフの里からさらに2日歩くと見えてくる祭壇だ。うん、祭壇だな。巨大な祭壇だ。その上に黒い鱗を持つ竜が鎮座していた。案内のエリス、それにフレイヤと木の陰から観察する。


 「10メートルってところか? まぁまぁだな」

 「いけそうか? お嬢様」


 行けると思うよ。ゲームだったらな! でもなー、ギミック理解ゼロだろ? ヒーラーなし初見突破とか相当LV差がないと出来ないだろう……誰か勝てなくていいから戦ってくれねぇかなー。捨て駒的に……ギミック見たいんだが……


 「いや……」


 だがそこで俺は気づく、これはゲームじゃない。異世界の現実だと……ということはだ……俺が勝つに決まってんじゃん! 何考えてたんだろうな! 俺の強さを証明するために出てきた当て馬さんにゲームの常識持ち出してたよ! 俺バカじゃね?


 「楽勝だな」

 「流石はお嬢様だと言っておこう」

 「もっと褒めて」

 「可愛いなお嬢様は」

 「だろ。超絶美少女だからな」


 さてさて、では本気出しますかね。


 「よっと」


 俺は自分の身長よりも大きな盾を出す。レイドドロップ品の真紅の盾(10)だ。10は強化値。俺の服以外での、課金の殆どが詰まっている。盾で受けるとダメージカット率80%のぶっ壊れ。まぁPVPじゃ重すぎて使えないんだが。そして同じシリーズの真紅の剣(8)タンクでここまで武器強化してるやつ希だからね? 俺凄い方だよ。鎧や兜も同シリーズだが、表示はアバター優先なので俺の見た目はパーカーファションのまんまだ。


 「す、すごい装備ですね……」


 エリスが尊敬の眼で俺を見てくる。そうだろう、そうだろう。この装備はPVEだと現時点最強だったからな。しかも何をとトチ狂ったのか、セット効果で全スキル、クールタイムが50%offだ。次のアプデで弱体濃厚って言われてたからな、アプデ前で良かったよホント。


 「スキル構成も変えとかないとな」


 スキルは通常時はオールマイティな構成にしてある。PVEもPVPもソコソコ出来るくらいのだ。でも今回はPT専用の構成に切り替える。攻撃アップ系はほぼなし、防御とヘイト管理に特化した構成だ。完璧だね。流石俺と言いたい。


 「流石俺。さて、異世界ドラゴンキラーにでもなるとしますか」

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