体育祭当日
練習していき、体育祭当日になった。二人三脚の練習は、初日に一回転んだだけで、それ以降は上手くやることが出来た。なかなか速くなったと思う。
体育祭も進んでいき、次はいよいよ、クラス対抗障害物レースである。足をひもで結ぶ。倉田君、練習するようになってから一度も目を合わしてくれないな…何かしちゃったかな…そんなことを考えていると一組目は位置に着くように、というアナウンスが聞こえてきた。頑張って練習したんだもん!絶対に上手くいく!!と自分を奮い立たせて、スタート位置についた。
パンッ!スタートのピストルが鳴り、私達は、練習通りに1、2、1、2と走っていった。他の組は倉田の言った通り、カップルでいちゃついてて、ガチで走っているのは私達くらいであった。2位以下に圧倒的な差をつけて、二人三脚は1位でバトンタッチした。
舞は嬉しくなり、満面の笑みで倉田とハイタッチした。倉田の動きが止まった。舞はどうしたんだろうと、顔を覗き込もうとしたら、思いっきり顔をそむけられた。そして、レースの邪魔にならないように後ろに行こうと、足を結んでいたひもを外された。
舞は、足のひもが外れた瞬間、倉田との縁もなくなってしまったように感じた。もとから、私達の関係はさっきの二人三脚のように、無理やりつながれていただけである。それなのに、そのことが酷く悲しくなった。
クラス対抗障害物レースの途中だが、舞は、一人体育祭で盛り上がる校庭の裏へとまわっていった。
倉田は、手のひらを見つめていた。先ほど、触れ合った広瀬の手、それに満面の笑みを思い出し、心臓がバクバクいう。顔だけでなく、耳まで赤くなってきてしまい人目の付かない場所に行こうと、校庭の裏へとまわる。
倉田が、裏にまわると、広瀬が座っていた。泣いているようにみえた。
「どうしたんだよ!どっか怪我したか?なにかされたか?」
「なんでも、ないよ。目にゴミがはいちゃっただけ。」
本当か?と疑っても、広瀬は、本当!としか答えない。
「こんなとこでも会うなんて、縁結びの効果って凄いね。」
広瀬が話を変えた。だが、悲しそうな顔のまま話を続ける。
「さっき、二人三脚のひもが外れた時、縁もなくなった気がしたんだけど…気のせいだったみたい。」
「お前は、縁結びの効果なくなって欲しいのかよ?」
「そう…かな…」
広瀬のその言葉を聞きカーッとなった。
「そーかよ!じゃあ、あの神社行くぞ!」
倉田は、広瀬の手を掴み、歩きだす。
「えっちょっちょっとまってよ、神様が無理って言ってたし。」
「無理だろうとなんだろうと、お前が嫌ならなんとかするしかないだろう!」
「私が嫌じゃなくって、倉田君が嫌なんでしょう!」
「俺はお前と居たいに決まってるだろう!」
…俺今、なんつった…
広瀬がきょとーんとした顔でこっちを見ている。
「いや、今のは、あれ、えっと、違くって、ただお前優しくて、笑った顔可愛くて…って!そうじゃなくて!!いや、俺は、嫌じゃないって言いたかっただけで…」
広瀬の顔が真っ赤に染まる。その顔も可愛くて抱きしめたくなる。てか、抱きしめたい!
「本当に縁をむすびませんか。」
「えっ!?今なんていったの?」
「はっ!?聞き返すか普通!?だーもうくそ恥ずかしいこと言ったのに!もういい!」
「えっいやだって、なんか、告白されたような気がしたんだけど。」
「気も何も告白してんだろ!」
「だって、倉田君、私の事嫌がってたじゃない。」
「嫌がってなんかないだろう。」
「だって、二人三脚のとき体触らないように必死だし、はやし立てられたら凄く否定してたじゃん。」
「そんなひっつけるわけないだろ!男の気持ちを考えろ!それに、はやし立てられた時は、本当にお前と付き合ってるわけじゃないし否定しないとお前困るだろ。あと、恥ずかしかったんだよ!」
「本当に!?」
「本当だから、告白してんだろ!」
広瀬が目に手を当て泣き始めた。
「泣くほど嫌だったか…」
広瀬に手を掴まれる。
「違うの、待って、倉田君は私の事嫌いだとばかり思ってたから…本当に嬉しくて…」
「嬉しいってことは…OKってことか?」
「うん!!もちろん!!」
学校近くの神社は縁結びのご利益があると今日も大盛況です。
終わりましたー!!
商品開発部書いている途中だったのですが、書きたくなって書いちゃいました。
この話は終わりですが、魔法世界における商品開発部の方も宜しくお願い致します。