お互いに利のある関係を考えてみよう
「では、我が村と交流するのはいかがでしょうか?」
「交流ですか?」
カルティさんからの提案に僕は首を傾げる。
理解できていないのがわかったのか、彼は説明を続ける。
「魔王城が現れたことはもうどうしようもありません。ですが、敵意がないのを示すことは今からでも遅くはありません」
「というと?」
「我が村と交流することで人間に敵意がないことを示すのです」
「なるほど」
彼の言いたいことをようやく理解できた。
交流することで友好関係を結んでいると周囲に見せるわけだ。
だが、気になることがある。
「それでどのような交流をするんですか?」
「さぁ?」
「決まってないんですか?」
提案した側が何も考えていないとは思っていなかった。
てっきり何か考えがあると思っていたのだが……
「当然でしょう? いきなりの出来事だったんですから」
「……そうですね」
完全にこちらのせいだった。
いきなり魔王城が現れたのに、交流の案など考えられるはずがない。
一瞬でも否定しようとした自分を恥じた。
「とりあえず、交流と言えばまず商売だと思いますが、難しいでしょうね」
「そうなんですか?」
いきなり難しいと言われてしまった。
商売は交流をする上で有効な手段だと思ったのだが……
「こんな近くにあるのに商売できるような商品があると思いますか?」
「あぁ、なるほど。手に入るモノは似たようなものになるから、商品にはならないわけですね」
「そういうことです」
商品が似たようなモノになれば、商売をする意味はない。
むしろ利益のために値段が上がるので、状況的には悪くなるのではないだろうか?
「タケル殿の魔法で他の場所からモノを移動させることは可能でしょうか?」
「できないことはないですが、商売できるほどの量を移動はさせられないです」
「この方面でも難しそうですね」
「さて、どうしたものか?」
色々と考えてみるが、なかなか難しい。
僕の【領域操作】を使って他の場所から商品を運ぶことも可能だろうが、あまり多い量を移動はさせられない。
さらに遠距離だとその分使用魔力が増大するので、現実的でもない。
「お互いで商売が難しいのであれば、共同で商売を考えた方がいいかもですね」
「ほう、どういう感じで?」
僕の言葉にカルティさんが興味を示す。
別にそこまで大したことは考えていない。
「お客さんがお互いではなく、外部になるだけですよ。お互いなら商品が似通って売れなくても、外部であればどこかに需要がある可能性があります」
「なるほど。たしかにその通りですね」
「こちらは魔族相手に、そちらは人間相手に商売をすれば良い感じにできそうですね」
共通の特産物を作り、それぞれの種族に売りさばく。
片方しかいないときより、単純計算で倍の売り上げになるわけだ。
まあ、商売がそんな簡単な話ではないことはわかっているのだが……
「まあ、その売る商品がないわけですけどね」
「そうなんですよね」
カルティさんの指摘に頷くしかなかった。
いくら商売の形を思いついても、商品がなければ意味がない。
とりあえず、売る商品を考えないといけないわけだ。
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