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閑話2 勇者襲撃後の女性幹部達の飲み会


 魔王城に近い街の酒場にて、今日も魔王軍の女性幹部たちが集まっていた。

 しかし、今回はいつもと様子が違っていた。


「・・・・・・」


「そろそろ機嫌直してよ」

「アタシたちが悪かったからさ」

「可愛い顔が台無しですよ」


 膨れているアズサを他の三人が宥めようとしていた。

 彼女はとても怒っていた。


「私だけ二人が生きていることを知らされてない、って酷くない?」


 怒っている理由を口にする。

 二人とは先代魔王の側近と先代【力】の四天王のことである。

 彼女にとって父親のような存在であり、頼れる大人であった。

 二人がいなくなったとき、彼女は涙が涸れるまで泣いたほどである。

 それが最近になって、生きていると判明したのだ。


「理由は言ったでしょう? それはすべてアズサのためだって」

「現に二人がいなくなった後、アズサも立派に成長したじゃない」


 スクレとラストが言い訳をする。

 だが、アズサは納得しない。


「その理由の意味がわからない。二人がいたって、私は成長できたと思う」


 さらに頬を膨らませる。

 クールな雰囲気の彼女が子供のように怒る姿はギャップがあってかわいらしかった。

 だが、そういう意味ではまだ成長途中なのかもしれない。


「いや、それはないと思うわ」

「どうしてよ」


 スクレの反論にアズサが反応する。

 自分が成長できないと思われたのが嫌だったのだろう。


「だって、今も二人のことを考えて子供っぽく振る舞ってるじゃない? そういうところを心配していたのよ」

「うぐっ」


 指摘されたことに気づき、アズサは反論できなかった。

 彼女も先程までの自分の振るまいが子供っぽいと思ってしまった。


「まあ、二人に会えるのは当分先になるわね」

「なんでっ⁉ 生きているのがわかったのに・・・・・・」


 今度はラストの言葉に反応する。

 死んだと思っていた二人に会えると思っていたのだろう。

 だが、現実は非情である。


「だって、アズサはまだ立派じゃないわ」

「そんなはっきり言わなくても・・・・・・」

「大事なことだからはっきり言うわ。アタシたちから見て、アズサはまだまだ子供よ。まあ、可愛いとは思うけど」

「むぅ」


 子供扱いされ、アズサは顔を膨らませる。

 年齢的にはさほど変わらないはずなのに、どうしてそんな扱いをされないといけないのだろうか?


「まあ、子供っぽさから脱却するために頑張らないとね。そのためにはまず恋心をはっきりさせましょう」

「なんでっ⁉」


 いきなりのとんでもない話に驚いてしまうアズサ。

 だが、【色】の四天王であるラストにとっては当たり前の流れである。


「やっぱり恋をして身を固めることが大人への成長じゃないかしら?」

「否定はできないけど、それは関係ないでしょ?」

「関係ないことはないわ。スティフが勇者と対等に渡り合えた理由を教えたでしょ?」

「う・・・・・・」


 ラストの指摘にアズサは何も言えなくなる。

 その顔は赤くなっていた。

 スティフが勇者と対等に渡り合えるほど強くなった理由は「アズサを助けるため」──正確に言うと、「愛するアズサを助けるため」である。

 おそらく本人は無自覚だろうが、アズサに対して愛情をもっており、彼女の危機に身体能力が一気に向上したのだ。

 タケルは同じ男として心の中に事実を留めていたが、同じ戦いを見ていたラストはスティフの変化に気づいていた。

 【愛】という【色】の四天王にとって専門分野の事象に気づかないはずはなかった。

 それを女性幹部たちに話してしまっていた。


「良いわね、愛されるって」

「・・・・・・」


 からかうようなラストの言葉にアズサは顔を下に向ける。

 恥ずかしくて前を見れないようだ。


「でも、その方向性で成長したら、お二人には会えないと思うな」

「「えっ⁉」」


 イスティが会話に入ってくる。

 その内容に二人が驚いていた。


「お二人はアズサのことを実の子供のように可愛がっていましたから、その相手に大して敵意を向けると思いますよ」

「一人はスティフの実の父親だけど?」

「まあ、息子なんてそんなものですよ」


 ラストの反論をイスティはあっさり否定する。

 なんとなく理解できるので、反論もなかった。


「というわけで、また四天王を探すのは面倒なので、二人との再会を諦めてもらいましょう」

「なんでその結論っ⁉」


 とんでもない結論に落ち着き、アズサが驚愕する。

 だが、ラストは至って冷静だった。


「じゃあ、アズサは二人に会いたいが為に愛するスティフの命を捧げるの?」

「そんなこと、二人がするはず・・・・・・」

「「「絶対する」」」

「えぇ・・・・・・」


 言う前に否定され、アズサは何も言えなくなった。

 数の優位にこちらが間違っているのかと考えてしまった。


「まあ、今は一刻も早く立派な大人になりなさい」

「そんなことを言われても、何をすれば良いのか・・・・・・」


 アズサはわからないことを口にする。

 大人になるといわれても、具体的な方法はわからなかった。


「「「・・・・・・頑張れ」」」

「ここまで話したなら、手伝ってよ」


 だが、三人もそっぽ向いて、応援の言葉だけ口にした。

 アズサとしては手助けして欲しいのに、いきなりはしごを外された。

 どうやら彼女が親代わりの二人に会うのは当分先になりそうである。







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