表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建する  作者: コバチ
第7章 大発明?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
70/334

第66話 石の価値

 第二実習洞の再調査が始まった日、俺たちは洞窟ではなく資料室にいた。


 あの青い鉱石が何なのか。

 昨日の検証で、ただ珍しいだけの石ではないことはわかった。

 なら次は、記録を当たるしかない。


 机の上には、鉱物誌と魔道具素材の記録集が積まれている。


「……これだわ」


 最初に声を上げたのはセレナだった。


 古い工房記録の一節。

 そこには、青灰色の鉱石についてこう書かれていた。


 魔力の通りがよく、熱を入れた後も性能低下が少ない。

 ただし個体差が大きく、加工が難しい。


「昨日の石に近いな」


 俺が呟くと、今度はナディアが別の本を開いた。


「こちらも見てください。青輝石です」


 記述は短い。


 青輝石。

 希少鉱物。

 深部産出品ほど魔力反応が強い。


 その一文を見た瞬間、東の石切り場が頭に浮かんだ。


 違法採掘されていた青く光る石。

 あれが、ただの希少石ではなかったとしたら。


「ハル領の石切り場を思い出したのね」


 セレナに言われ、俺は小さく頷いた。


「無関係とは思えない」


「でも、似てるだけじゃ足りないわ」


「わかってる」


 だから俺たちは、その足で工房へ向かった。


     ◇


 工房担当の教師は、資料を見るなり棚の奥から小さな布包みを取り出した。


「学院保管の青輝石標本だ」


 中に入っていたのは、青白い小さな欠片だった。


 昨日の石と並べると、色味は近い。

 だが、完全に同じではない。


 教師は簡易測定具を使って、二つの反応を見せた。


 まず標本の青輝石。

 魔力を流すと灯りが点く。

 強いが、わずかに揺らぎがある。


 次に、昨日の青い鉱石。


 同じように魔力を流した瞬間、灯りは鋭く立ち上がった。

 しかも揺れが少ない。


「……近いが、こっちの方が安定してる」


 教師が言った。


「青輝石と同系統と見るのが自然だろうな」


 胸の奥が強く鳴った。


 やはり繋がっている。


「先生、これがそんなに大きいんですか」


 俺が聞くと、教師は即答した。


「大きい。反応が強いだけの石なら他にもある。だが、強くて、熱に耐えて、通りが素直なら話は別だ」


 セレナが静かに頷く。


「素材の前提が変わる」


「そうだ。今の魔道具は素材に縛られてる。そこが一段上がるなら、作れるものも変わる」


 明かり。

 送風。

 加熱。

 今まで高価すぎたり不安定すぎたりしたものが、少しだけ現実に近づく。


 それは工房だけの話じゃない。

 生活そのものを変えるかもしれない。


 けれど、同時に別のことも見えた。


「……厄介ですね」


 俺が言うと、教師は少しだけ笑った。


「価値があるものほど面倒だ。騒げば人が寄る。掘れば争いも呼ぶ」


 その言葉は重かった。


 ハル領の未来になるかもしれない。

 だが、扱いを間違えれば火種にもなる。


「もしハル領の石切り場に同じ系統の層があるなら、どうすべきですか」


 教師はきっぱり答えた。


「まずは掘るな。記録と採掘跡を洗え。確信のないまま動けば、石に領地が振り回される」


 その通りだった。


     ◇


 自室に戻ったあと、俺は机に向かった。


 青輝石。

 深部産出品。

 同系統の可能性。

 そして、軽々しく動くなという警告。


 見えてきたのは希望だけじゃない。

 危うさも同じだけあった。


 新しい紙を出し、父への文面を考える。


 書くべきことは一つだけだ。


 東の石切り場の記録と、違法採掘が行われた場所を静かに洗い直してほしい。


 もし相手が価値を知った上で掘っていたなら、狙った場所には理由がある。


 俺はゆっくりとペンを走らせた。


 青い石は、ただの珍しい石じゃない。


 領地の未来を変えるかもしれない石だ。


 だからこそ、急ぐにしても、急ぎ方を間違えちゃいけなかった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

続きが気になったら、ブックマークで応援いただけると執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
他投稿者と同様 読み進めている時の違和感が強すぎる‥ 楽しみな物語ですが、一度ここで離れる人は多いかなと感じました。 それこそ積み重なった綻びってやつかなと
65話と同じ会話があって違和感がある、前日にした会話またする必要ある?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ