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43. 女風呂の脱衣所とお乳

(女風呂の脱衣所とお乳)


 お母さんとなっちゃんと昼顔さんは、すぐに来てくれた。

「萌ちゃん、私の友達……、迎えに来たよ」

 なっちゃんは、嬉しい笑顔を振りまいていた。

「迎えに来たじゃないわよ! 夏子ちゃん、どうして学校に来ないのよ!」

「……、学校……、学校、嫌い……、だって、嘘をつく人ばかりだから……、嘘をついてはいけないのよ……」

「誰のことを言ってるのよ……?」

「六年一組のオサムとミツルとショウジとその先生よ…… ねー、和子ちゃん……」

「……、あいつらねー、一緒の団地で小さい時から嫌な奴らなのよー」

「でも、安心して、もう学校には来られないと思うから……」

「……、どうして……?」

「閻魔様に言いつけてやったのよ……」

「えーえー、閻魔様に言うとどうなるの?」

「萌ちゃん、知らないの……、嘘をついたり、悪いことをした人は、舌を抜かれて、地獄に落ちるのよ! だから、和子ちゃん、もう教室に行っても大丈夫よ」

「でも、それって、死んでからのことでしょう……」

「……、そんなこと、ないわよ……、生きている世界がもう地獄なのよ……」

「それは言えているかもね……」

 私は、二人の会話を聞いて驚いた。

 今、まさに今、問題になっている懸案事項のことをさらさらと話していることを……

「なっちゃん、そんなこと誰から聞いたの?」

「おねちゃん知らないの? 私、和子ちゃんの心が分かるのよ。 夕顔かかさんと昼顔かかさんの子供だから……」

「……、それって、読心術のこと……、夏子ちゃん、凄い……、それで私の名前も分かったのね」

「そう言うこと……」

「じゃー、なっちゃん教えて、ショウジ、オサム、ミツルは何をやったの?」

「……、彼ら、酷いのよ……、和子ちゃんが十万円、持っていることを知ると、いじめられたくなかったらよこせって言うのよ……」

「それで三人に渡しちゃったのね……」

「……、それも、毎月よ! 毎月取り立てに来るのよ! 酷いでしょう……、和子ちゃん、お金がないから、食べるもの買えないのよ!」

 やはりそう言うことだったのかと思った。

 でも、和子ちゃんが言わない限りどうしようもない。ましてや、証拠もない……

「でも、それって恐喝じゃないの……? 警察に言ったら少年院送りよ」

 萌ちゃんのはっきりとした適切な意見……

「そんなことしなくても、もう彼らは地獄に落ちているわ……」

「さー、話はうちに帰ってから……、早く行きましょう!」

 母が、子供達を帰るように促した。

「あ、昼顔さん、ありがとうございます。和子ちゃんのお母さんに言ってくれたんでしょう? 今日、学校に来てくれました」

 私は、帰ろうとする昼顔さんを呼び止めた。

「そうかい……、それは良かった。わたしゃ、何もしないけどね……、夕顔がやったことだから……」

「でも、ありがとうございました……」

 当てずっぽうで言ったことが、やはり夕顔さんと昼顔さんのしたことだと分かった。


 校長室での密談は、いじめと言うよりも恐喝問題に終始した。

 警察の少年課に報告する前に、児童三人が登校して来た時に、担任を含めて、聞き取り調査することになった。

 本当のことを言うとは思えないが、まずは聞かなければ始まらない……

 警察の捜査はそれからだ。


 自宅には、それほど遅くならないうちに帰れた。

 店には蒼ちゃんと父がやっていた。

「今日はありがとうね……、昼顔さんに服を着せてくれて……」

「着せたのは、お母ちゃんだよ! それで店に出て大変だったよ。あの美しさだろう……、一時間くらいの行列ができて、たこ焼き焼くのが大変だったよ……」

「そうだよね……、大変な看板娘だね。明日もやるのかしら……」

「……、さー、どうだか……、でも、新しい服、出しておいてよ……」

「分かった……」


 玄関から居間に入ると……

「何やっているのよ!みんな裸で……」

 居間のソファーには裸の和子ちゃんちゃんと萌ちゃんがバスタオルで髪を拭いていた。

 それを母がドライヤーで乾かしていた。

 その横で、これも裸の昼顔さんとなっちゃんは、メロンソーダを飲んでいた。

「おかえり……、早かったわね……」

「もうー、お母さんまで、駄目でしょう……、こんな格好で居間に出て来ては……」

「しょうがないだろう……、洗面所は狭いんだから、居間で、服を脱いでお風呂に入ったんだよ」

「もうー、ここは女風呂の脱衣所かー?」

「いいさー、朝子だって、小さい時は裸で蒼ちゃんと家中走り回っていたよ……」

「そんな、小さい時の罪のない話はやめましょう……」

 やはり母は家の中では、どんな格好でいても、咎めないおおらかな性格なのだ。

「ちょうどいい時に帰って来たねー、朝子、交代だ……、夕飯の支度が残っているから……」

 母は、私にドライヤーを渡して、キッチンに行ってしまった。

 私は、順番なのか隣にいた和子ちゃんの長い髪にドライヤーを当てた。

 萌ちゃんは、なっちゃんの横に座ってメロンソーダをとった。

「今度、みんなでスーパー銭湯行かない……? 露天風呂が森の中にできていて、プールみたいに広くて最高に楽しいわよ!」

「……、へー、この家のお風呂よりも大きいのかい?」

「比べものにならないくらいに大きいわよ!だって、何十人も一度に入れるくらいよ!」

「そいつは凄いね……、入って見たいね……、気持ちよさそうだ……」

 昼顔さんは、スーパー銭湯に興味深々だ……

「おねえちゃんは、行ったことがあるの?」

 なっちゃんが訊いた。

「あるわよ……、スーパー銭湯でしょう。二回か三回くらいしかないけど……」

「歩いて行けるの?」

 それには萌ちゃんが答えた。

「行けないわよー、車でないと……」

「遠いのね……」

 なっちゃんは、飲み干したコップを置くと、昼顔さんの膝に乗ってお乳を飲み出した。

「な、夏子ちゃん、まだお乳飲んでいるの……?」

 萌ちゃんが、目を丸くして言った。

「……、え、そうよ! 美味しいわよ!」

「夏子ちゃんて、赤ちゃんね……」

「……、あら、萌ちゃん、知らないの……、大人の方がおっぱい好きなのよ!ととさんなんか、いつもお乳、お乳って言って、夕顔かかさんのお乳飲んでいるから……」

「えー、ほんとなの?可笑しい……、でも、昼顔さん、お乳出るの……?」

「……、出るよ……」

「……、私も飲んでいい……?」

「いいさ……、こっちにおいで、二つあるからねー」

 萌ちゃんは、もう一つのおっぱいを口の中に入れた。

「……、ほんとうだ……、お乳が出てくる。……、美味しい……」

「もうー、みんな、何やっているのよ!お乳はいいから、早く服着なさい!」

 私はつい叫んでしまった。赤ちゃんもいないのにお乳が出ることを子供達に知られたくなかった。

「……、和子ちゃんも、こっちに来て飲んでみて……」

 萌ちゃんが、大発見をしたように和子ちゃんを呼んだ。

「私、知っているわよ。昨日も飲んでいたから……」

「……、ほんと、凄い……、暖かくて美味しい……」

「でも、私も、お乳、飲みたい……」

「……、じゃー、こっちに来て、私と交代よ……」

 なっちゃんが、和子ちゃんにもう一方のおっぱいを譲った。

「もうー、何やってんのよ……」

 この光景に言葉が見つからず、ただ立ち尽くすしかなかった。

 そして、大きなため息をついた。

 その時、母がキッチンから出て来て叫んだ……

「さー、ご飯よ! 服を着て、テーブルに餃子を並べるのを手伝って……」

 今日は餃子だ……、子供達はようやく服を着出した。

 母の作る手作り餃子は、特別に美味しい……

 今日の夕食は、それに加えて、お椀の焼き豚ラーメンと野菜サラダとご飯だ。焼き豚も母の手作りで、母の得意料理だ。

 我が家としては、早い夕食を子供達と母と私で食べた。今日は父と蒼ちゃんは、店が終わってからだ。


 夕食後……、私は萌ちゃんを送っていくことにした。

「……、先生、私も今日は萌ちゃんと帰る……」

「……、いいけど、和子ちゃんは、お母さんがまだ帰ってないから、先生の家で泊まっていってもいいのよ」

「……、でも、帰るわ……、お母さん、私と一緒にいたかったみたいだから……」

「……、そうね……、じゃー、お母さんに電話してから、送っていくわ……」

「え、えー、みんな帰っちゃうの? じゃー、私も送っていく……」

 なっちゃんが、みんなと離れがたそうに言った。

「じゃー、私も送って行こうかね……」

 夕顔さんも来てくれると言う。これは心強い……

 それで、みんなで夜の街に繰り出した。


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