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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 とりあえず、コイツはスルーして下へ進もう。コイツが居る場所がどうなっているのかも知りたい気もするが、間違いなく途中でスタミナ切れで透明化が解除されるだろう。そうなってしまっては、オレは為す術もなく蜘蛛怪人氏にやられてしまうだろう。

 ここは慎重に、音を立てないように下へと降りていく。


 さて、ここら辺まで来ればいいだろう。

 オレは頭上を見上げながら透明化を解除する。蜘蛛怪人氏が降りてくる気配はない。どうやら、なんとか誤魔化せたようだ。いやぁ、鼻が効く奴じゃなくて良かった。

 脅威は去ったという訳で、あの蜘蛛怪人について考える余地が生まれてくる。

 警備用に造られたと思ったのだが、それにしては壁を躊躇なく破壊してくる。幾ら侵入者(オレ)を見付けたとはいえ、思い切りが良すぎる。それとも、そういう命令が既に下っていたのか。

 それに、この施設自体が既に廃墟となっているのに、生物的な特徴を持つ奴が生き延びているのもおかしな話だ。アレはこんな海の底で何を喰って生き延びたんだ? 明らかに陸上特化みたいな姿なのに海中で狩りが出来るような個体なのだろうか。………いや、それとも、生物的なのは見た目だけで中身は機械なのか?

 この施設であんな奴を造り出した上に、もっとヤバい奴も居るかもしれないと考えると笑えてくるな。そんな施設を探索しようとしているオレは、もしかして阿呆なのではなかろうか。


 ………うん。梯子を降りていくだけの作業って暇なんだよな。取止めもなくさっきの奴の事を考えているが、そろそろモンスター遭遇以外のイベントがあってもいいんじゃないか。いつまで降りていけばいいんだ。

 マップを見ると、現在の階層は地下十九階。………あれ?蜘蛛怪人氏が居た所から二階分しか降りてない? いや、そんな筈はないだろう。考えられるとすると、高さがとんでもなく高い階層があるという事だ。

 何だそれ。滅茶苦茶怪しい。絶対に何かあるだろう。ちょっと調べてみるか。



 *******



 マップを見ながら梯子を昇ったり降りたりした結果、地下十八階が矢鱈と高さがある階層だという事が分かった。

 何処かにシャフト外に出る所は無いかと探し回ったが全く見当たらず、そのせいで何度も上下する羽目になった。

 ん? ちょっと待てよ? 地下十八階って事は、あの蜘蛛怪人氏が待機していた階層の真下って事だよな?

 ………あの蜘蛛怪人氏が壁をぶっ壊したのは、そのせいなのか? もしかして、ここから外へ出られるよっていうイベントだったのか?

 でも、アレを倒すなりスルーなりしないと駄目なのか。上で見たスライムとウサギの二体組ならなんとかなったのかもしれないが、オレには無理だ。

 戦うという選択肢は無いとして、透明化でスルー出来るか? 相手は透明化したオレを補足する機能は無いようだし、消費したスタミナが回復すればワンチャンあるかもしれない。

 透明化した上で相手に触れずにスタミナを考慮して素早く脇を通り抜ける。うーん、難易度高いな。

 しかし、アレをどうこうしない限りは外へは出られない。このまま下に降りていけば、何処かに出口があるのかもしれないが、無かった場合は最悪だ。ここまで戻るのは面倒だからな。ものは試しだ。さっさとやってみるか。


 蜘蛛怪人氏の視界に入らない所まで戻ってきた。因みに透明化も気配隠蔽も使っていないが、こちらに気が付く様子は無い。

 ふと思い付いた事なのだが、もしかしてコイツは気配を探れないのでは? 視界に入っていないとはいえ、気配隠蔽を使わなくてもバレてないという事を鑑みるに、気配察知スキルは持っていないとみた。気配隠蔽を使わなくてもいいのなら、消費スタミナに余裕が出る。………まぁ、余裕で持つ訳ではないが、透明化と気配隠蔽を同時に使うよりかは遥かにマシだ。

 いや、気配察知スキルを持っていないと決めつけるのは早計か。もうちょっと近付いてみよう。そうすれば分かる筈だ。


 オレは透明化と気配隠蔽を使ってから、梯子を昇り穴の空いた壁際に躙り寄る。蜘蛛怪人氏はシャフトの外に居るのであり、シャフト内の動向を全て見ている訳ではない。オレが今居る場所は、シャフト外に居る蜘蛛怪人氏からは死角になっている筈だ。

 オレは意を決して、透明化と気配隠蔽を解除。そのまま外に居る蜘蛛怪人氏の気配を探るが、特にオレの存在に気付いた様子は感じられない。蜘蛛怪人氏が発していた警告音も、何処かに移動している音も聞こえないから、多分大丈夫だろう。

 気配隠蔽が必要ないと分かれば、あとはスタミナの回復を待つだけだな。オレは壁に寄り掛かり休憩する体勢に移る。シャフト内という事で足場は悪いが、まぁ何とかなるだろう。



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