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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 溶け落ち穴が空いた壁から姿を見せたのは、紛うことなき怪物だった。

 まず見えたのはヒトらしき頭部、ザンバラ頭に顔の中心に鎮座する巨大な一つ目。口は耳まで裂けている。

 何かを探すかのように頭部をグルリと回し、そのままシャフト内に身体を入れてくる。オレの場所から見えたのは上半身だけだが、見た感じでは腕が四本あり、赤熱している壁を平気で掴んでいるのを見るに熱に強いのかもしれない。

 怪物氏はシャフトをの上下を見渡し声を発する。


『標的………視認、不可。熱感知、不可。魔力感知、不可。目標、消失(ロスト)。警戒態勢へ移行』


 怪物氏はそれだけ呟くと元の壁の中へ戻って行った。どうやら見逃されたようだ。視認不可とか言ってたし、初めて光亡き者の外套が役に立った気がする。今までの奴等は目だけで追っていた訳じゃないからな。

 視認、熱、魔力感知とか言ってたし、オレはそのどれにも該当しないのだろう。

 さて、怪物氏に見付かってしまったが、このまま上に戻るつもりはない。消費SP(スタミナ)が多すぎる故に全く試していなかったが、あの壁の外を通り過ぎるだけなら透明化したまま梯子を降りるのは訳無いだろう。幸い(?)、SP(スタミナ)消費は行動時に消費するのであって、時間で消費する訳ではない。あの壁の外に居るであろう、怪物氏の姿を観察してみよう。


 うお。やっぱり、スタミナ消費が結構キツイな。でも、あの壁を通り過ぎて離れる程度には残るだろう。そろそろ、怪物氏の空けた穴付近だ。切れ目から覗いていた状況から察するに、壁の近くに居るのだろう多分。


 壁穴から少し下の方まで下ってきた。恐る恐る穴の方へ振り返ってみる。

 そこには、先程の怪物氏がこちらを見据えたまま待機していた。警戒態勢とか言っていたが、全く微動だにしない。流石に後ろの方は見えないし見に行くつもりはないが、前側から見ても大分異様だ。

 頭部はさっきの見てくれのまま。上半身はヒトで、腕は四本。下半身は機械に接続されているようで、蜘蛛のように足が何本も横に飛び出している。足も機械の物や生物のような足、ヒトの腕等が混じっている。蜘蛛のように足が全部で八本という訳ではなさそうだ。

 蜘蛛みたいな見た目といえばダーマ氏を思い出すが、あの蜘蛛人とは大分違う。

 こちらの暫定蜘蛛人氏は人為的に造られたようだな。軍事施設という事だし、警備用に造られたモンスターって所だろう。これが一体だけならいいんだが、多分こんなのがそこらにウロウロしているんだろうなぁ………。いや、もっとヤバい奴が居るのかもしれない。まぁ、その時はその時で何とかしよう。



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― 新着の感想 ―
[一言] 暫定蜘蛛人氏、夜には会いたくないなと思った。
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