第27話 オークランドと円たちの訓練③
あれから1週間。
雨の日も風の日も、オークを狩り続けていた。
自分自身も戦闘力を高めるために、みんなが戦い終わってから一人で狩りをする毎日。
特に疲れるなんてことも無かったし、自分のステータスが上がっていくのが無上に嬉しかった。
そして今日も、日が暮れる頃まで由乃たちは戦闘を繰り返し、気持ちのいい疲労感を覚えているようだ。
「そろそろ帰ろうか」
「おう! そうだな」
俺は空間の扉を開く。
見た目は小さなブラックホールのようにも見える。
2メートルほどの高さに2メートルほどの横幅。
「司のこれ、便利過ぎるだろ」
大和は扉を潜りながら、ボソッと呟いた。
「ふっふーん。司くんは普通ではありませんからね。特別ですからね。こんなことぐらい序の口ですよっ」
胸を張って由乃が、どれだけ俺が優れているのかを語ろうとする。
俺は嘆息しながら由乃を扉に押し込んだ。
「もういいから、さっさと帰ろう」
「えー。もっと司くんの素晴らしさを語りたかったのにぃ」
「それを止めてくれって言ってるんだよ」
「口が止まらないぐらい素晴らしいんですよ」
「それは由乃の口が軽すぎるのが問題だな」
扉の先は磯さんたちのアジト、中学校跡の玄関口。
結界は貼られていて、周囲に敵の気配はあれど、入ってはこれない様子だ。
「オーシ。どれぐらい強くなったか確認するか!」
みんな磯さんに従い、ステータス画面を開く。
まずは大和の能力。
大和はステータス画面を指でスライドさせ、こちらにステータス情報を飛ばしてきた。
大和 武文
LV35
ジョブ 戦士
HP 350
MP 116
攻撃力 175
防御力 116
敏捷 92(+10)
魔力 81
運 92(+46)
ジョブスキル
チャージ
武器スキル
弓 34
アクティブスキル
心術Ⅱ 2
鷹の目Ⅱ 11
探索Ⅰ 20
パッシブスキル
運増加(大)
敏捷増加(小)
毒耐性(中)
麻痺耐性(弱)
成長増進(大)
上位職に比べれば、その能力は見劣りするが十分に強くなったのではなかろうか。
続いて、磯さんのステータスだ。
磯嶋 永吉
LV39
ジョブ ガーディアン
HP 1365(+137)
MP 390
攻撃力 312
防御力 780(+390)
敏捷 195
魔力 195
運 195
ジョブスキル
大盾
武器スキル
槍 35
アクティブスキル
盾Ⅲ 37
防御Ⅰ 17
挑発Ⅱ 21
パッシブスキル
HP増加(小)
防御力増加(大)
怯み軽減(中)
HP吸収(微弱)
成長増進(大)
やはり上位職は強い。
それにガーディアンの専用スキルもちらほら獲得しているようだ。
しっかし、ガーディアンに驚くぐらいピッタリなスキル構成だな。
うん。理想的で素晴らしい。
次は円のステータス。
南 円
LV42
ジョブ ローグ
HP 840
MP 420
攻撃力 462(+231)
防御力 336
敏捷 840(+84)
魔力 420(+42)
運 378
ジョブスキル
瞬迅
武器スキル
二刀剣 39
アクティブスキル
風術Ⅲ 18
回復術Ⅲ 11
潜伏Ⅱ 19
パッシブスキル
攻撃力増加(大)
魔力増加(小)
敏捷増加(小)
成長増進(大)
二刀流Ⅳ
攻撃力が磯さんと比べてもやはり高い。
それに何と言っても敏捷値。
敵の背後に目にもとまらぬ速度で回るあの速度、半端じゃないな。
そして最後は由乃。
天野 由乃
LV45
ジョブ バトルマスター
HP 1350(+135)
MP 450
攻撃力 675(+338)
防御力 450
敏捷 360(+36)
魔力 315
運 360
ジョブスキル
ハイパーチャージ
武器スキル
斧 40
アクティブスキル
水術Ⅱ
狂人化Ⅳ 29
警戒Ⅱ 3
パッシブスキル
HP増加(小)
攻撃力増加(大)
敏捷増加(小)
自己再生(中)
成長増進(大)
由乃も大きく戦闘力を上げてきた。
これなら、俺が彼女に養ってもらうえるのも近いのかも知れないな。
いや、養ってもらわないけどさ。
「ガハハッ! これならハイオークども相手でも負けねえんじゃねえか!?」
「そうですよね! これなら……これなら」
「ダメ」
「え?」
自分たちの成長した能力値に喜んでいた磯さんと大和。
だが、それを否定するように、円が冷たい声で口を挟む。
「ハイオークを相手にできる程度じゃダメ……私たちが倒さなければいけないのは、オークキング」
「……オークキング?」
「ああ……オークランドの……トシマのエリアマスターだ」
なるほど。
オークランドを支配する、オークたちの王。
それが今回倒さなければいけない相手なのか。
円はオークキングの名を出し、憎しみに燃える表情をしていた。
そんなに恨んでいるのか。オークキングを。
「っ!」
円は自分の右側の顔……ガーゼをかぶせている部分を左手で押さえる。
俺は回復術をかけてやろうと考え、円に近づく。
「その傷、俺が――」
「触らないで!」
「……円?」
円は俺をキッと睨み付けて走って校舎の奥へと消えてしまった。
以前にも回復術を使ってやろうと思ったが拒絶されたんだが……
今回は特に激しく拒絶されてしまった。
彼女の過去に何があったのだろう。
俺は切ない気持ちで彼女の心境を考えていた。
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