第26話 オークランドと円たちの訓練②
翌日、俺は由乃、円、それに磯さんと大和と共にオークと戦いにやって来ていた。
場所は大きな交差点。
今、眼前にいるオークは20匹。
まずは10匹ほどまで減らしてみようか。
「みんなはここに隠れていてくれ」
「了解でーす」
明るく返事をする由乃。
廃墟の陰でみんなに待っててもらい、オークらに近づき風の術で破裂させていく。
「ナ、ナンダ!?」
俺の姿に気づくオークたち。
しかしすぐに瞬間移動し、奴らの背後に回る。
「『ウインドシュート』」
敵はみるみるうちに減っていく。
最後に1匹を華麗に倒し、みんなの下に瞬間移動する。
「おわっ! それ、どんな術だよ?」
大和は俺の瞬間移動に目を丸くしていた。
だが俺はそんなことは無視して、円たちに声をかける。
「じゃあ、行って来てくれ。無理そうなら俺がサポートするからさ」
「おう! 行くぞぉ!!」
磯さんはいの一番に飛び出し、オークに突撃していく。
武器は槍で防具は大盾。
「ふん! 『シールドバッシュ』!」
ドンッ! と、盾でオークを殴りつける磯さん。
殴られたオークは数歩下がり、頭をクラクラさせていた。
「…………」
そのオークに、背後から二本の剣で切りかかる円。
敵はバツの字に切られ、瞬時に絶命する。
「俺も負けねえぞ!」
大和は弓を引き、遠くからオークを狙い撃ち、相手の肩に突き刺さる。
「なんだよ。みんなちゃんと戦えるじゃないか」
「磯さんは別として……お前がいるから突っ込んで行けるんだよ。普通はあんだけ数がいたら、躊躇してやられてしまうのさ」
「ふーん」
由乃も突撃し、オークを豪快に切り伏せていく。
磯さんは盾で由乃と円を守りながら槍で攻撃し、円は敵が怯んだ隙に後ろからバッサリだ。
円は……上位職のローグだな。
ジョブスキル『瞬迅』を発動し、素早い動きで敵の背後に回っている。
防具は動きやすさ重視なのか、忍びのような服を装備していた。
磯さんも上位職……ガーディアンか。
攻撃力よりも防御力が高い、守りが得意なジョブ。
大和は下位職の戦士。
バトルマスターの下位互換だ。
みんなの動きと能力を確認している間に、由乃たちは敵を倒してしまった。
やはりそこそこ強い。
「お疲れ様。みんな」
「ガハハッ! 案外楽勝だったな!」
「じゃあ次は数を減らさないで戦おうか。その方が経験値も多く得られるしね」
由乃らは首肯し、自身らが手に入れたカードなどを確認していた。
戦闘の度に確認して、いい物が手に入れば早く装備する。
そうして少しでも戦力が上がれば、戦闘の効率も上がるというものだ。
「あ、今ガチャ引いたんですけど」
「うん」
「成長増進(大)を手に入れました」
「……由乃、ちょっと引きがおかしいよね。レアカード引きまくりじゃないか」
確率的にSSRを引くのはそんなに高くないはず。
なのにこんな頻繁にレアが出るのは引きが良過ぎるにも程があるだろ。
「……私も同じの手に入れた」
「ガハハッ! 俺もだ」
「あ、俺も……」
「…………」
なんという奇跡。
全員同じタイミングで全員同じレアカードを入手するなんて。
それも成長増進とか、レベルアップに最適のカードじゃないか。
現状、これ以上嬉しいカードはないぞ。
「引きは良くても、引く度にガチャを回しにくくなるのは辛いものがあります。これからもできる限り、良いカードが出て欲しいものですね」
「ああ……そうだよな。うん」
そういやそうだった。
俺以外は1回引くことに、ポイントが倍必要になってくるんだったな。
「ガハハッ! これでガーンと強くなったら、戦闘も楽になるな!」
コクリと頷く円。
リアクションは薄いが、その瞳からは闘争心が伺える。
暗く、黒い闘争心。
「……次のオーク探すよ」
「お願いします」
鷹の目でここより東にオークがいるのを確認し、みな落ち着いた様子で移動を開始する。
気持ちはあるが平常心を保てるなんて、良い状態だ。
一番結果を出せる最高の状態。
次に戦うオークの数は23匹。
俺はみんなのサポートをするだけで、攻撃には加わらない。
「いきます。『狂人化』」
由乃は狂人化を発動させ、戦闘狂に変化する。
その姿を見た大和は、青い顔をしていた。
「こ、こえー……なんだこの子」
斧を担ぎ、先頭を駆け出す由乃。
勢いよくオークを薙ぎ払い、青い血を地面にまき散らせながら突き進んで行く。
「よっしゃー! 俺らも続くぞ!」
円は怯んでいるオークを見つけ、背後から着実に敵を仕留めていき、磯さんと大和は連携を取りながら1匹づつ倒していた。
純粋な攻撃力は、由乃と円が頭一つ抜けている。
まぁ、由乃と比べれば円も1ランク下がるのだけど。
だが磯さんはガーディアンなので、攻撃力の無さを防御力で補っていた。
オークの全ての攻撃を盾でガードし、槍で突き返す。
大雑把な見た目とは裏腹に、キッチリ定石みたいな攻め方をしている。
大和も遠くから状況を判断し、一番援護が必要な場所へ弓を引く。
みんな想像以上にいい戦い方をしている。
これならちゃんとレベルが上がれば、ハイオークにも勝てるんじゃないのだろうか。
俺はみんなの戦いを、笑みを浮かべながらお気楽にそんな思案をしていた。
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