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不死身の少女とSCP  作者: 白髪 九十九
アメリカ支部編
65/80

Case58 幽霊ヒッチハイカー

「……てことで悪いのは全部荒戸です」

「うん、後でそれなりの処罰は下ると思うから」


遥か上空。

超高速での飛行中で私は夏華さんと電話を行っていた。

空を飛んではいるものの、風は一切感じないし、こうしてポケットから電話をかけることができる。


「これってSCP-1475-JPですよね?」


SCP-1475-JP。オブジェクトクラスSafe。

椅子に座ったものは固定され、ノースカロライナまで飛ばされる。

発射時に炎が出たり演出は豪華なものの、実際の危険性は少ない。

飛行中には外部からの加害的な干渉がなくなる為バードストライクなどの危険もない。


「うん、おそらく間違いないと思う」

「てことは、ノースカロライナに行くんですよね?2時間くらいですか?」

「2時間18分後と予測してる。それまでにアメリカ支部の人に連絡は取っておくわ。こっちの任務は他に回しておくから、しばらくアメリカ支部の手伝いをしてもらえる?」


アメリカ支部か。

確かに、日本の他にもたくさんの支部があると聞いていた。とはいえ日本ほどの設備はないようだが。


「わかりました」

「それじゃあ、あっちに着いたら財団の車があるからそれを探してね」


色々と不安なところはあるが、夏華さんがいうなら間違いはないだろう。

あとは、鍋を食べれなかったことが悔やまれるが。


空を飛んで2時間と少し。

ようやく地上が見えてきた。


「アメリカって言ったら凄く都会のイメージがあったけど、意外と殺風景なんだ」


辺りには砂漠。

今にも馬に乗ったカウボーイが走ってきそうだ。


「とりあえず、近くに財団の車が……」


ない。


「あれぇ?」


ない。

どこにもない。

ノースカロライナに着いたら迎えの車があったはずだけど。

夏華さんに限って連絡ミスや着地場所の計算ミスはないだろうし。


「とにかくどこかに…」


目立つ場所はないだろうか。

目印になるような……。


「あっ……看板」


砂漠の中にあるオレンジ色の看板。

派手な文字で……【Welcome to South Carolina】


「Welcome to South

Carolina……?!?!」


サウスカロライナに来てますけど……?!

ノースカロライナじゃなくてサウスカロライナに来てるんですけど……?!


「………てことなんですけど」


夏華さんに連絡。

困ったら夏華さんだ。


「……偶にそういう事があるっていう連絡もあったね」


どうやら私は凄く運が悪いようだ。


「今、アメリカ支部の職員に連絡はしてる。けど、到着は明日になるかもしれないわ」


明日か。結構時間がかかるようだ。


「南の方に小さな村があるみたい。外部の人間に寛容な村だから止めてもらえると思うわ」


まさか、部屋で鍋を食べていたらアメリカでホームステイをすることになるとは思わなかった。



********************



南に歩くこと数時間。

その街は本当に友好的な街だった。

研究中にとある事故に巻き込まれ、ここまで来たと言ったらタダで宿屋に泊めてもらうことができた。

まあ、別に嘘はついてない。

人為的な事故だが。

財団の職員用の服を着ていたというのも、説得力を増してくれた要因だろう。


「ありがとうございます。何から何まで」

「いいっていいって。困った時はお互い様だから」


優しい……!

人の優しさに久しぶりに触れた気がする……!


ふと、受付の奥からチラリと青年の顔が覗く。

大学生くらいだろうか……?

こちらを睨んでいるようにも見える。


「あっこら、ヴァニス!」


ヴァニスと呼ばれた青年は、隠れるようにして奥の方へと逃げていった。


「あの子は…?」

「すまないね。いつもは愛想いいんだけど」


私が何か気に食わないことをしてしまったのだろうか?

無償で泊めてもらうことか。それとも外の人間にそこまで好意的じゃないのか。


「そういえば、お姉さん。研究っていったってどんな研究だい?こんなとこ何もないだろうに」


お姉さん……!

何と良い響きだろうか。

まあ、それは置いておいて。

研究か。まさか本当のことを言うわけにはいかないし。

だからって何も言わないのも泊めてもらう立場として申し訳ない。


「ちょっとオカルトの研究を……あまり詳しいことは話せないんですけど」


こんなところだろうか。

オカルトなんて不審に思われるかもしれないと思ったが、それを聞いた宿屋の人の反応は思ったより真剣だった。


「ていうと……あれかい?幽霊ヒッチハイカーかい?」

「幽霊ヒッチハイカー?」


都市伝説か何がだろうか?

聞いたことがない。


「ここら辺に出るヒッチハイクする幽霊だよ。おっかない見た目をしているが、ヒッチハイクを無視した奴は殺されちまうんだとよ」

「でも、噂ですよね?」

「実際幽霊を見たって奴がいるんだよ。それに、何人かの人間が謎の死を遂げちまってる」


間違いない。SCiPだ。

今まで財団が見つけていないのだろう。

これ以上の被害を出す前に何とかして収容しなければ。


「あの、もしよかったら私が見ましょうか?」

「うん?いいのかい?危険かもしれないぞ」

「まあ、私一応そう言うことには詳しいので」


泊めてもらった恩もあるし。


「そりゃあ願ってもねぇや。車はうちのやつを貸そう」


それはありがたい。車の免許は持っていないが、一応乗れるくらいには訓練してある。


早速だが、私は車を借り幽霊ヒッチハイカーが出るという街道まで車を走らせていた。

周囲の街道は車が通れるくらいには整備されており、私の拙い運転でもどうにかなっているようだ。

既に時刻は10時を回っており、車のライトだけが頼りの夜の帳。


というか、これ警察とかに話しかけられたらやばいんじゃないだろうか。

私無免許だし。

まあ、その時は流さんみたいに潜入してるエージェントの人が上手くやってくれるのか…?

こんなことで前科一犯とかごめんだが。


「と……ここら辺かな?」


宿屋の人の話によると、幽霊ヒッチハイカーはここら辺の道に現れるらしい。

その様子は、あまりにも悲惨な姿をしているらしい。

なんとも恐ろしい姿だ。

そして、もしそれが彼らの言うとおり幽霊だとしたら、その死因は。


そこで私は考えるのをやめた。

いや、やめざるを得なかった。


車のライトが異様な姿を写したからだ。


両目は抉られて血が流れており、赤いワンピースはビリビリに破かれ腹部には穴が空いている。


「あれが……幽霊ヒッチハイカー……」


車のライトがその恐ろしい姿を写している。

あまりにも無惨であまりにも悲惨なその姿を。


「とにかく、車に乗せれば……」


女性がゆっくりとこちらを見る。

穴が空いた瞳がこちらを呆然と見つめる。



最初は困惑した瞳。




そして、それが一瞬で憎悪へと変わった。


「…………ぁ……?」


前が見えない。

急に視界が全て消えた……?



何がおこった……?


「……ぅ……ぐぁ…?」


瞳への激痛。

そしてすぐに腹部への激痛。


「い……だぁ……なが……?!」


信じられない激痛で体が動かない。

液体が垂れる音がする。出血してる……?

いつやられたんだ…?


かろうじて視界が開けていく。

私の異常性だ。どうにか瞳が復元したらしい。


「なっ……」


私が瞳を開いた時。

そこに写ったのは目の前で私を睨む幽霊だった。

このような悍ましい生物には慣れていたつもりだったが、凄惨な姿をした人間が睨んでくると言う光景に思わず体がすくんでしまう。


しかし、それも一瞬。

座っている姿勢から腰を深く下ろし、幽霊へと蹴りを喰らわせる。

この距離で顔面に喰らわせれば、気絶とはいかなくても数秒の時間は稼げるだろう。

だが、私の予想は大きく外れた。

私の足は幽霊をすり抜けたのだ。


「くっ……!当然と言えば当然か…!」


相手は霊体だ。

こちらの物理攻撃を効いていない。


それを見た幽霊はすぐさま首元へと手を伸ばす。

だが、近づいてくるのであればこちらにも武器はある。


左手に集中する。

身体中の全ての力を凝縮するように。

少しづつ光を帯びていく手で、近づいてくる幽霊の腕を掴む。


「……っし!掴める!」


幽霊は完全に不意を突かれたのが、慌てて私の手を離そうと車外へと逃げ出す。

私の腕は幽霊は引っ張られ、前方のミラーに衝突する。

当然、私は幽霊ではないので車外に逃げた幽霊を掴み続けることはできない。

だが、一瞬離れてしまえば。


私はブレーキを思いっきり踏み込み、その場から遠ざかる。


「はぁはぁ……。勝てる相手じゃない。少なくとも私1人じゃなす術がない……」


幽霊ヒッチハイカー。

私の左手を使えば掴むことはできるものの、それを除いても彼女には有り余る力がある。肉弾戦で私が敵う相手ではない。


「でも、なんで急に襲ってきたの……?」


宿の人の話によると、幽霊ヒッチハイカーはヒッチハイクに応じなかった人物に攻撃をするという話だ。

だが、彼女は私の姿を見た途端に攻撃を仕掛けてきた。

何故だろうか。


その後どうにかこうにか体をボロボロにしながらも、車を宿に戻した。

宿の人に車が血だらけになってしまったことに必死に謝罪したが、逆に心配されてしまった。


「すみません!お借りした車をこんなにしてしまって!」

「いや……それは問題ないんだが。どっちにしろ廃棄する予定のものだったし。だが……これあんたの血じゃないのか?体は…?」

「えっと……私頑丈なので!」


まあ、我ながら下手くそな誤魔化し方だとは思ったが。

なんとかなったようだ。車は後で財団に補償してもらうように頼んでおこう。


私は、借りている部屋に戻りベットで横になる。

財団の職員の服は丈夫な素材とは言え、かなりボロボロになっていたので(というか外に出るのも躊躇われるくらいには肌が見えていた)、宿の人から服を借りた。

何から何までお世話になりっぱなしで申し訳ない。

せめて明日の財団が到着し次第、幽霊ヒッチハイカーの収容くらいは行おう。ちょっとした恩返しくらいにはなるかもしれないが。


とにかく、さっきの怪我は治ったものの、疲れがすごい。

戦闘中は興奮によるアドレナリンの影響で疲れや痛みはかなり軽減されるらしいが、こうして何もかも終わった後だとかなりな倦怠感に襲われる。


「ふぅ………」


大きくため息をついたところで、扉が開く音がする。

鍵はかけていたはずだから、宿屋の人だろうか?

私はベットから起き上がり、その人物の方を見る。


「あれ?…君は?」


そこにいたのは何から何までお世話になっている宿屋の主人さんではなく、先程こちらを覗いていたヴァニスという青年。


「……襲う気?!」

「ちげぇよ!!」


違うようだ。

お世話になっている人の子供とは言え、そういうことをする人にはそれなりのお灸を据えてやろうかと思ったのだが。


「ごめんごめん。どうしたの?」


とにかく、何の用だろうか。

何か問題があったならば、宿屋の人が来るはずだ。


「あの…あんた……」


ヴァニスは震えながら、私を見る。

それはどこか怯えているような。もしくは怒っているような。


「どうしたの?」


ヴァニスは、服を取り出す。私が着ていた白い服。

彼は、胸元にある財団のマークを指さした。


「あんた……奴らの仲間なのか……?」

*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「星影です。よろしくね」


「よろしくお願いします!」


「今回紹介するのは、SCP-3338。「オタマトーンはあなたのルームメートになりたいです~」。オブジェクトクラスはEuclid」


「オタマトーンってアレですよね?可愛い楽器のやつ」


「うん。それに可愛らしくて無害なオブジェクトだよ。SCP-3338は、オタマトーンで一人暮らしの元へ突然現れるんだ。友好的に接していると無くしたものを見つけてきてくれたりするようだよ」


「異常性も可愛いですね!」


「財団の実験によると、長い間生活しているとミニオタマトーンが現れることが確認されてる。ミニオタマトーンは"おばちゃんワありがとう"というメモを咥えてくることもあったそうだ」


「飼いたい……!」


「友梨ちゃんはもう同居人には困ってないんじゃない?」


「…それもそうですね!」


SCP-3338

『オタマトーンはあなたのルームメートになりたいです~』




「SCP-3338のオタマトーンはあなたのルームメートになりたいです~ 」はZyn作「SCP-

3338」に基づきます。

http://www.scp-wiki.net/scp-3338 @2017


「SCP-1475-JPの標的はノースカロライナ」はsemiShigUre作「SCP-1475-JP」に基づきます。

http://ja.scp-wiki.net/scp-1475-jp @2016


「SCP-1337の幽霊ヒッチハイカー」はAdminBright作「SCP-1337」に基づきます。

http://www.scp-wiki.net/scp-1337 @2011

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― 新着の感想 ―
[良い点] 既に財団による確認後のやつでしたか。 本部オブジェクト胸糞系筆頭SCP。今回の少年はまさか大罪博士の目撃者…なのか? [気になる点] 左手がSCiP無力化するんだっけ?もっかい読み直します…
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