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不死身の少女とSCP  作者: 白髪 九十九
カオス・インサージェンシー編
34/80

Case33 号泣する竹林

カオス・インサージェンシー施設は遠目から見ても東京ドーム数個分の大きさがあり、私の場所からはその一端しか見ることができなかった。


施設への入り口は東西南北の四か所に分かれ、それぞれ

北 私 久馬 シュレン

東 ブロア 星影優希

西 クリス 王

南 流美郷 シュレン・マスチット ヴァルト


とそれぞれの機動部隊が配属された。


私は現在、北の搬入口前の数メートル先で突入時間を待っている。


「あと5分ですか…」

「そんなに緊張しなくていい。いつもの任務と同じようにすればいいんだ」


いつもの…と久馬さんは言うがこんなに大きな任務は初めてだ。

緊張しない方がおかしいだろう。


「足手まといになるようだったら切り捨てるから」


シャネルさんは人前ではツンツンモードらしい。


「大丈夫です。任せてください!」


絶対にアイリを取り戻す


突入まであと5分


********************


南攻略組


「なぁんで!私が!久馬様と一緒じゃないの!」

「うちに言われてもなぁ……」

〔落ち着いて!〕


突入まであと4分


********************


東攻略組


「最後まで笑って生きようぜ!なぁ皆!」


それに答える男たちの声。


「……」


突入まであと3分


********************


西攻略組


「あーあ。もう時間になっちゃうねぇ。嫌だなぁ」

「なら逃げればいい。誰も責めない」

「冗談だって。相変わらず怖いなぁ」


突入まであと2分


********************


財団本部


「時間です」

「そうね。こっちも持ち場につきましょう」

「……はい」


突入まであと1分


********************


カオス・インサージェンシー日本支部。


何処か。


屋上から垂れ下がった手錠。

そこに両手を拘束された赤いワンピースの少女。


その近くにはモニターを覗く美形の男と、近くに立つ筋肉質な男。


「わお、来たみたいだね財団の連中。予想よりだいぶ早かったけど、こちらも準備はOKって感じなんでね」

「ユ……リ…?ヤドカリさん……?」


アイリは疲労し切った喉で微かに声を出す。


「君を取り戻しに来たんだろうね。SCP-120-JP-1を封じ込める術がないから、早々に解決しないと財団の施設がぶっ壊れちゃう」


アイリの瞳には光が宿っておらず、飯は与えられていないのか脚は酷く痩せ細っている。


「さて、何人死ぬかな〜?」


********************


北攻略組。


私達の足は施設に侵入してわずか数秒で止まっていた。


「体が重い……!」


施設内に入った瞬間感じたのは重圧。


「これは……重力装置…?いや、それにしては不可解な負荷のかかり方」


単純に体が重いと言うわけではない。

まるで、何かから押さえ込まれているような。


「隊員は3人ほどで組となり、周囲でSCPオブジェクトの捜索を!」


久馬さんの一言で30人ほどいた隊員はすぐさま3人組となり周囲へ散っていった。


「あ、あれ」


突然、私は徐々に体が軽くなっていくをの感じる。


「SCPに対する免疫が効いてきたのかもね。私達は相変わらず重いままだから」


人が少なくなったシャネルさんが通常モードで考察する。

となると、やはりこれはSCPの仕業だと言うことだろうか。


「……来たね」

「どうしたんですか?」


久馬さんは私達の奥にある曲がり角を指差す。


「足音。聞こえない?」


耳を澄ませると、確かにそこにはヒタヒタと裸足の足音が聞こえる。

そして、それと同時に体が重くなるのを感じる。


「この重力の重力源で間違いなさそう」

「そうだね」


二人は曲がり角に向けて拳銃を構える。


ヒタヒタと近づいてくる足音。


そこに現れたのは5歳くらいの少女であった。


「近づかないで!」


少女は声を荒げる。


「帰って!治療の邪魔をしないで!」


少女の声はどこか泣いているようにも聞こえた。



********************



東攻略組


ブロアの部隊は通常、テロリスト制圧部隊という面もあり、全員丈夫な防護スーツに身を纏っていた。

それに対して星影の部隊は比較的軽装。

対SCP戦において逃げるという選択肢がある以上重鈍な防護スーツは不必要と考えたのだ。


そんな彼らを待ち受けていたものとは。


「……竹?」


施設の中にあったのは竹林。

それも、室内の温室で育てられた竹林だった。


「なんだぁこれ?普通の竹か?」


ブロアは構えていた銃を下ろし周りを見る。

他にオブジェクトの気配はない。

竹が餌…という可能性は少ないだろう。


「他に…何もいなそうだな」

「となると、この竹自体がSCPの可能性が高いですね。触らないようにいきましょう」


ブロアと星影は互いに頷き、なるべく竹から離れて竹林を進む。


しかし、そんなに甘いはずがない。


「ほ、星影隊長!」

「どうした?」

「きゅ、急に田中が竹に!あぁ……」


そこにある光景。


地面から生えた竹に体を貫かれる隊員の姿。


いや、これは。


「お、お前もその体どうしたんだよ?」

「え?」


声の掛けられたその隊員は体から竹が生えていた。


「え」


隊員の驚嘆の声。その声が届かぬ間に体が竹に貫かれる。


「総員走れ!」


その合図で機動部隊は走り始める。

その間にも次々と隊員は竹へと変わっていく。


何故、異常性が発現した?

影響範囲に入ったから?

場所系のSCiP?

それとも竹を周囲に影響を?

だとしたら効果範囲が広がっていくんじゃないのか?


いや。

異常性を受けているのは僕の部隊だけ。

……胞子か?!


「口を塞げ!肌も極力隠せ!」


竹が胞子なんておかしな話だが、何かしらの物質を空気中に撒いてるのだろう。


「あったぜ!扉だ!」


私とブロアは扉を体当たりで壊し、施設の廊下へ体を飛び出す。


「とりあえずここまでくれ……ば…」


星影の瞳に映ったのは、重いスーツで走るブロアの部隊。

そして、大量の竹。


「……僕が異常性にもっと早く気づけていれば」


星影だけがいち早く口を塞ぐことができた。


だとしても彼が生き残れたのは奇跡に近いのだろう。


何故なら、他に彼の部隊は残っていないのだから。

*御館 友梨のSCP勉強のコーナー*


「このコーナーでは、私、御館 友梨が画面の前の皆様と一緒にSCPを勉強していくコーナーです!今日の先生はこちら!」


「こんにちは、星影優希です」


「優希さん!よろしくお願いします!」


「はい。今回紹介するのはSCP-2934『マジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな』だよ」


「……え?」


「それがオブジェクト名」


「えぇ…変わってますね」


「そうだね。かなり変わってる部類だね」


「部類ってことは他にもあるのか……」


「SCP-2934はとある夢を見せる機械だよ。その夢というのはンドレッツ・ゲガという人物が自分を助けてくれるというもの。ンドレッツ・ゲガはそれを利用して選挙活動をしていたみたいだね」


「おお!かなり好印象では?」


「毎日見せられるんだよ?」


「……あー」


「問題なのはその装置。女性の死体を未知の方法で改造したものになってる」


「え…死体を使ったんですか?」


「使ったというか、殺したというか…」


「……マジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな!」


SCP-2934

『マジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな』




「SCP-059-JPの頭が高い小人」はdoragon akitsuki作「SCP-059-JP」に基づきます

http://ja.scp-wiki.net/scp-059-jp @2014


「SCP-132-KOの号泣する竹林」はCubic72作「SCP-132-KO」に基づきます

http://ko.scp-wiki.net/scp-132-ko @2013


「SCP-2934のマジかよ、ンドレッツ・ゲガ最低だな」はButtfranklin作「SCP-2934」に基づきます

http://www.scp-wiki.net/scp-2934 @2016

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