第零話 目覚め
俺が目覚めた場所は、辺り一面の平原だった。
空は暗く、星が綺麗だった。
自分自身は何を言っているのか自分でも分からなかった。
隣には自分のバックがあり、携帯を取り出すが電波が入っていないことに気づく。
ここは日本なのか?
確か俺は、学校の帰りにゲーセンで遊んでたら....いきなり視界が暗くなって...。
「君は大丈夫かい?」
!驚いた...おっさんだ..サラリーマンか?
突然後ろから声をかけられ驚く。だがサラリーマンの姿よりある光景が目に映った。
「あ...」
後ろを振り返るとそこには何百人もの人が居た。
皆困惑している様子がとって見えた。グループになり不安を拭い去ろうとしているのだろう。だがその表情は暗く焦りが感じとれた。
「なんだ...訳が..」
自身の置かれた状況に対し、不安を隠せなかった。少しの間硬直した。だが目の前のサラリーマンが心配してか気さくにも話しかけてくれた。
「あ〜えっと怪我とかはないよね?えっと私の名前は、森春男って言います。歳は49結婚はしてません。ははは...。」
「えっと..俺...僕の名前は長月秋って言います。一様高校3年です。」
....自己紹介の後少しの間が空いた。
実際お互いこの状況を受け止められないのが原因だろう。春男という人物も自身が置かれた状況に対し不安はあるだろうが目の前の高校生が困っている状況にいるのに大人として何かしなくてはと機転を回した。
「あ、えっと!僕もね目が覚めたらここに居たんだよね!君もかい?」
「はい...僕も目が覚めたらここに居て..ここって日本なんですかね?」
長月秋は辺りを見渡したが周りも今の現状を理解出来ているものはいなかった。
それに加えて小学生らしき人も確認できた。
....いろんな人がいるな...小学生にOLか?それに高校生に....
長月は不安からか同じ高校に通う人間を思い浮かべた。長月秋は、この100人以上もの人数ならもしかしたら友達が入るんじゃないかと思い探しにむかう事にした。
「すみません..友達いるかも知れないので探して来ます。」
「っ!そうか分かったよ!じゃぁまたね!」
長月秋は、森春男にそう告げると別れた。
長月は春男に悪いと思いながらその場を去った。
はぁ〜心臓がバクバクだ。止まらない。知り合いの一人でもいればいいけど...
自分は、見た目や喋り方は無愛想にそして威圧的にしている、それは皆んなにナメられない様にしているからだ。
小学生の時に弱気だった自分はいじめられていた。
だから中学になり喋り方も何もかも変えた。だかそうしたら友達ができなかった。しかも中学の時の癖が抜けなく今でも威圧的な態度で接してしまう。
(嫌だよまったく)
だから同じ高校の友達もいない。だが制服は同じ仲間だ。仲良くできるだろう。今なら。
長月はその様な淡い希望を胸に歩き出していた。
(最悪だよ....根は普通の高校生なんだがな...)
長月秋は仲間を探した。一人だと不安で仕方ないからだ。
居ないか〜。同じ制服....くそ..まぁ都合良くはいないか、
諦めかけている長月秋だったが、ふと視線を向けた先に自分と同じ制服の集団が居た。
「あ...」
思わず出た言葉。
数は16人くらいか?
長月秋は、その集団に向かっていった。
その足取りは軽く軽くスキップをしている様な気がした。
「あれは...長月か?おーい!」
長月秋の知り合いらしき人が長月秋に手を振っていた。
「あれは...たしか佐藤...総気か?」
長月秋も手を振り早歩きで向かった。
うちのクラスの奴は一人...二人だけか。
長月は余りコミュ力が無く他のクラスの人とは話さない。同じクラスでも話さないが。
「長月君もここに来てたんだ!」
「あぁ...確認したい事があるんだけど、この現状について何か分かる事って...ないよな...」
「ごめん...僕達も良く現状を理解出来ていないんだ。荷物は一様あるんだけど携帯の電波がないんだよね。」
「そうか....」
長月はもっとフレンドリーにリア充ぽく話そうとしたが、自身の癖のせいで威圧的な態度に出てしまい後悔した。
「あぁ〜長月君は此処にいる人と面識あるかな?」
長月秋は同じ学校の生徒である人物の顔を見るが違うクラスだったり一年二年の人らしきものも確認できた。
「良かったら自己紹介してもらえるかな?」
「分かった」
周りの視線が痛いが恥ずかしさを隠し自己紹介をした。
「..名前は長月秋、三年。」
長月の無愛想な自己紹介に後輩の態度や表情が変わった。
(なんだ?表情が変わったな..。)
「先輩なんすね。」
年下らしき青年が長月秋に対し低姿勢になった。
長月は高校生なんだから上下関係は気にするかと、思い余り気には止めなかったが自身が先輩に対しても何時も態度でせっしている事を思い出し胸が痛んだ。
「あぁ〜えっとね...三年は僕と長月君だけなんだよね。後は、みんな一二年だね。」
「そぉなんだ...」
そして一通りみんなと自己紹介をし、あいさつは済ませた。
男子10人に女子6人か...男子も女子も接しにくそうな人達だな....
高間千という人物は自分から見たら特にやばい奴だって分かる。女子に対してさっきからいかがわしい視線を向けている。
女子もそれに気づいている見たいだけど。
まぁいいや。
「あの〜長月君は佐藤総気君と同じクラスなの?仲良いなって思って.,」
そう話したのが女子の中で女神的存在だと男子達が目の前で話し顔を真っ赤にした人条冬だった。
「クラスは違うよ俺がAで佐藤はC。佐藤とは部活で一緒なだけ。」
「酷いな!友達だろ?」
「ん?なんだって?」
そのやりとりを見て周りが笑っていた。少しはみんなの緊張が取れ表情に余裕が出来て来ていた。
「さてこれからどうしますかね〜。」
佐藤がそう呟くと、ある物体が地平線からこちらに向かって来ているのが分かった。
「なんだ?あれは...馬?」
他のグループも気づき騒めきが大きくなっていった
その馬は近づいてきてやっと確認出来た。それは馬車だった。
一頭ではなく約三十は確認出来た。
「馬車か?結構いるな」
救助の人か?でもなんで馬車?
馬車が長月達の前までくると、馬車の中から一人の女性が出てきた。
「転生者さま!乗ってください!安全な場所まで案内します!」
長月はある疑問が頭をよぎっていた。
この女性の服装..日本の奴じゃないな。それに顔つきからして西欧人だ...。それに転生者?なんだ?
長月は自身の置かれた状況が複雑になっていき余り考えない様にした。考えたら頭がパンクするからだ。
そして長月を含む、この場の人達が固まっていると、変わった服装の女性が大きな声で話した。
「説明は後でします!魔物に襲われる前に早く!」
その様に言われ長月達やその他の人達は、重い足取りで馬車に乗った。
皆半信半疑で馬車に乗るのが確認出来た。
16人も馬車に乗れるわけはなく、長月達は二つに分かれた。
分かれる際、佐藤の行動に違和感を覚えたがまぁ..余り考えない様にした。
佐藤の側に女子が6人と男子が一人で佐藤を含め8人、俺達は男子が8人とで僕を含め9人。
まぁ女子と話したかったというのはあるが僕は女子と話した事ないからな..ふ..
長月が馬車の中で突然笑い出し周りの男子が少し驚いた様子だった。
(流石に引かれたか..突然ニヤける癖直さないとな....)
だが男子達の反応は〜
笑った、クールだな、かっけぇ、といった評価を長月に向けていた。
「それでは出発!」
外では、全員が馬車に乗り込んだらしく馬車が動き出した。そしてこの馬車にあの西洋の女性が乗ってきた。
「ふぅ..」
西洋の女性は疲れたのか、空いている席に座った。そこは長月の隣であり長月は、その行動に戸惑いを隠せなかった。
長月は、疲れて胸元を羽織っている姿を見ていた。長月は固まってしまい女性から目を離せなかった。
動け!僕の身体!何をしている!動け動け動け動け動いてよー!!
これじゃあ変態じゃないか!
長月の女性を見ている姿は、側から見れば、女性を睨み付け明らかに警戒心を露わにしていた。この行動は男子高校生達からして見れば、頼もしかった。
突然馬車に乗せられ、しかも何処に行くかも分からない。不安は拭えなかった。だが長月の存在は、頼もしかった。女性は腰に刀らしき物をぶら下げており、強気に出られる勇気はなかったが...長月は違った。
(長月さん!最高です!。)
(頼りにしてます。)
(先輩....。)
長月に対する印象と評価が上がって行く。
「ん?」
変わった服装をした女性が、長月の視線に気付く。その視線は、警戒心を露わにしているものであり釈明が必要と感じた。
「あぁ〜と、突然失礼したね。私はエマ・アルヴィナって言うんだ。」
突然の自己紹介に長月は困惑した。自己紹介!やばい!返さないと!
「長月秋」
初対面の人に対して明らかに失礼な対応に長月自身後悔した。あぁ〜!!!何故それしかでてこなかったぁぁ!!しかも美人な女性だぞ!!あぁ....。
長月は燃え尽きる様に身体の力が抜けた。
「あぁ〜長月君だね?よ、よろしくね?」
名前を言った後長月は、突然ため息を突き出し正面を向いた。エマは、睨む事は辞めてくれたが長月の威圧的な態度に凄い人が来たと感じた。
そのエマの戸惑っている反応に男子高校生達は感心した。男子高校生達からしたら武器を持っている相手にその様な態度を取っているからだ。
長月は、自分の所為で空気が悪くなっているのではと思い、エマに様々な事を聞こうとしたが。
な..何を聞く?いい天気ですね!...違う!こ...此処は。
「この馬車は何処に向かっている?」
馬鹿!!安全な所って言ってたじゃないか!分かっている事に対して質問をする馬鹿が何処にいる!....いや?待て?具体的な場所を聞いた程にしよう!もし安全な場所って返されたら紳士的に具体的な場所を聞き出そう!
長月は自身を落ち着かせエマの返答を待った。
「あっ安全な所だよ?」
「具体的な場所だ..。」
エマが話し終わった瞬間に長月が聞き会した事によりエマと周囲にいた高校生達は長月の威圧に驚きを隠せなかった。
なっなんなんだ!こいつは!本当に転生者か?だとしたらなんだこの威圧的な態度は!本来なら恐怖や心配でおとなしくなるはずなのに!
もしかして長月秋は元いた世界ではそれなりの地位にいた人物?貴族?王族?..いや服装はそこにいる人と同じだし....いや!まてよ!学生なんだ!学生なら服装は同じなはず!きっと権力者の学生なんだ!だからこんなにも威圧があり、肝も座っているんだ!
ならそれなりの対応をしなくちゃ....。
エマは、姿勢を正し、長月に対して身体を向けて話した。
「向かっている場所は、王都パールシィと呼ばれる場所です。そこで皆様の衣食住を提供します。」
エマの対応が長月に対して丁寧になり、長月はその姿をみて自分もそれなりの対応もしなければならいと思いジャケットのボタンを閉め、ネクタイを直し、脚を組み胸を張った。
ん?なんか違うな....まぁいいや。
自身で良い姿勢とは、と考えた結果この様な姿になった。
それを見たエマは、驚いた。
あ....本物だ...王族の人だ...。
余りに美しい姿勢と長月の王族とも取れる威圧にエマは確信した。
「王都パールシィと言っていたが、此処は日本ではないですよね?何処ですか此処は。」
「.......」
エマは、長月の姿に見惚れ長月の言葉を聞き逃していた。
「聞いているのか?」
「は!あっすみません!もう一度お願いしてもよろしいですか?」
あぁ〜私とした事が!こんな不祥事を〜!!
長月はもう一度同じ事を話した。
エマさん、可愛いな。
長月はそんな事を思った。
「此処はニホン?という場所ではないですね。此処はフレン王国。ニホンという国?地域は聞いた事がないですね。」
「そうか、ありがとう。」
「いぇいぇ」
様に落ち着いた感じにエマは少し驚いた。
(転生者ならもっと動揺するんだけどな..変わった人。」
だが長月の頭の中は、パニック状態だった。
....え!日本じゃないの!しかも日本という言葉は基本エマさんは聞いた事がない見たいだし。
その後長月は特に喋る事が思わなく、着きまで寝る事にした。
実際妙に疲れていた。長月は崩れる様に眠りについた。
その姿を見た高校生達も寝る事にした。
エマも着くまで時間があるので軽い睡眠をとる事にした。
高校生やエマは長月の印象が只者ではないという確信を持った。
馬車の窓から光が入り長月は目を覚ました。エマや高校生達は眠っていた。長月は外を見てみると外は朝であり自分がどれ程眠っていたのかわからなかった。
何時間眠っていたんだ?身体の疲れは取れてないから二、三時間くらいな?
長月はその様な事を思っていると、外から声がした。
「そろそろ着くぞー!!」
その声に、この場にいたものは起きた。
「早いですね長月先輩。」
高校生の一人が話しかける。
「今起きた所だよ。」
後輩達は緊張が薄れたのか無駄話をしていると、馬車が止まった事を感じた。それと同時にエマが馬車からおりた。
「皆な様も降りてください!」
その言葉と共に馬車を降り辺りを見渡すとそこは、おしゃれなレンガ造りや木造建築の家が立ち並び、地面は石で舗装され、此処の住民らしき人物が歓迎し街は祭り状態であった。そして街の奥から見える大きな城は、この世とは思えない綺麗な城だった。
長月も予期せぬ現状に驚きを隠せなかった。
「本当に何処なんだ...ここは..」