35. 照明魔法具の実験回路作製 ★
電池部分ができたので今度は回路設計に入ります。
18時に2話同時投稿しているので、読み飛ばしにはご注意ください。
結局、マギコンデンサは余っていた2個の鉱石で挟んで持ち帰った。
マギオンを充填したマギコンデンサは、ひとりでに魔力が熱に変換されるといったことはないようだ。
おそらく、もう片方の銅板が逆符号に帯電 (帯魔?) しているため、マギオンが発散できないんだと思う。
魔力をためる機構についてはこれで良さそうなので、次に照明をオンオフする機構の実験をしよう。
わたしはノートに書いた回路図を確認する。
わたしが考案した回路はこうだ
あまりにも簡単だが、とりあえず最初の一手としては十分だろう。
スイッチ部分は原始的な、銀板を2枚の銀板で挟んで導通を取るものにしてもらった。
銀板を持ち上げると回路が切れるというやつだ。
電池となるマギコンデンサがはまる部分は、バネが仕込んであり、バネで押さえつけて導通を取るという形だ。
魔法陣は後書きとなる。
これは木の板に描くことにした。
木の板を横断するように溝を掘り、そこに魔法陣がはまる部分の配線をはめ込み、隙間に糊を流し込む。
糊が固まったら、研磨して銀の配線が露出し、かつ全体がたいらになるようにする。
そうしたら、木の板に魔法陣を描く。
気を付けないといけないのは、銀の配線が魔法陣の第一円に接触するように魔法陣を描くことだ。
わたしの予想では、魔法陣というのは第一円からマギオンが流れ込み、その後第二円、第三円と伝播していく。
つまり、第一円に配線が接触していないと起動しないかもしれないのだ。
魔法陣が描けたらひとまず回路は完成だ。
後はマギコンデンサをはめるのみだが、マギコンデンサ1個では、さすがにスペースが余ってしまうので、残りの2個を作ってしまおう。
またメイドを呼んで銅板を持ってきてもらい、ささっとマギコンデンサを作製する。
今度は右手の指と左手の指でマギコンデンサを挟むようにして、右手に魔力を集中し左手には魔力がない状態にする。こうすることで、体を通した回路ができるが、右手はコンデンサの方へマギオンを流そうとするので、マギコンデンサにマギオンが充填されていく。
新しく充填したマギコンデンサも回路へ組み込み、完成だ。
電流と同じく、スイッチを入れていない状態、つまり回路がつながっていない状態では、マギオンも流れないようだった。
ドキドキしながらスイッチを入れる。
結果は……、嬉しいことに木の板が光った。
まさか一度で成功するとは思わなかった。
発動キーを唱えていないからもしかしたらマギオン流が流れても魔法が発動しない可能性もあったけど……。
わたしは驚きながらも実験結果をノートへまとめておく。
ひとまず、実験が成功したことを喜ぼう。
これで、照明魔法具の完成に一気に近づいたはずだ。
今後は、見た目も重視して、たとえばあの鉱石の精錬した宝石を発光部分に用いるとか、いろいろとアイデアが浮かんでくる。
後は、魔力を光エネルギーへ変換できるのだから、逆も可能なはずだ。
そうすれば、今は人の手でマギコンデンサを充電しているが、太陽光での充電が可能になる。
回路を工夫すれば、昼のうちにマギコンデンサを充電して、夜になったらスイッチを入れ替えて照明にする、なんてこともできるかもしれない。
夢は広がる……。
ノートに実験結果やアイデアをまとめた終わったくらいにアニーが夕食に呼びに来た。
そうだ。どうせ実験結果を報告するんだし、夕食時には、この実験回路も持っていこう。
食事が始まってすぐ、お兄さまがわたしの持ってきた実験回路に気付いた。
「あれ、クレア。それはなんだい? 魔法陣が描いてあるようだけど」
「これは、発光魔法で照明魔法具を作るための装置です。今日の報告はこれにする予定でした」
「え、もうできたの? つい最近発光魔法の呪符を完成させたって言って喜んでた気がするんだけど」
「いいえ、カリーヌ先生。これはまだ実験回路です。ただ、自慢ではないですが進捗はかなりいいと言わざるを得ません」
「それは素晴らしいわね。で、どこまで進んだの?」
「このスイッチを入れると、木の板が光ります。この技術の根幹は、動力源として使っているものです。マギコンデンサと名付けました」
わたしは実験回路のスイッチを入れて、木の板が発光する様をみんなに見せた。
「発動キーも詠唱してないのに、魔法が発動するなんて、聞いたこともないわ……」
「わたしも最初は驚きましたよ、サラお姉さま。失敗するとばかり思っていました。わたしは、この現象は先ほども言ったマギコンデンサにあると考えています」
「マギコンデンサとはいったいどのような代物なんだ?」
「はい、お父さま。マギコンデンサとは、魔力を伴う微小な粒子、素粒子といいますが、それをためる装置です。わたしはこの素粒子を魔粒子、マギオンと名付けました。お父さまに手配していただいた鉱石をカットし、銅板で挟んで糊で固定しています。マギコンデンサの片方の銅板に魔力を流し込むようにすると、マギオンが片方の銅板に充填されます。一方で、もう片方の銅板からはマギオンが不足した状態となっていきます。これを銀などの魔力の良導体に触れて回路をつなげるとたまっていたマギオンが放出され流れると考えています」
わたしはここで一息ついた。
「流れたマギオンは反対側の銅板までたどり着こうとするので、間に挟まっている魔法陣にも魔力が流れ、無理やり魔法を起動させるのだと考えます。一方で、スイッチを入れていない状態では回路がつながっていませんので、マギオンは流れません。マギコンデンサにたまったままになります」
「マギコンデンサがどうして例の鉱石を間に挟んでいるのかがよくわからないのだけど」
「カリーヌ先生ならご存じかと思いますが、例の鉱石は精錬する前は魔力を通さない絶縁体です」
「えぇ、そうね」
「マギコンデンサは魔力的に絶縁されている必要があります。銅板同士が接触していてはマギオンが流れてしまうためです。魔力は空気ですら微妙に導通するようですし、本来ならマギコンデンサをこの鉱石の中に埋め込むのが一番いいですね」
「あの鉱石にそんな使い方があったなんて……。クレアちゃんが魔法学界で発表できるようになったら、魔法学は飛躍的に前に進みそうね。」
「先生が発表してくれてもいいんですよ?」
「それはダメ。盗用になってしまうでしょう。あなたが気にしなくても、あたしが気にするの」
まぁ、それはそうだ。
前世でも学部生時代はボスから盗用だけは絶対にするなと口を酸っぱくして言われたっけ。今となっては当たり前の感覚だけど、若いころは引用と盗用の区別がついてなかったりするものね。
その後は、わたしの実験回路についてが主に夕食の話題となるのであった。
図に出てきた回路に描いてある魔法陣には、日本語が書いてありますが、クレアのノートには魔法語で書いてあると思ってください。さすがに一つの文字体系を作るのは無理でした。デザイン能力があればなぁ。
そろそろ第一章が終わりに近づいてきました。章立てはしていませんが、第一章が終わったら目次を章立てするつもりです。
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