28. 呪符の完成
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13時に1話投稿しているので、読み飛ばしにはご注意ください。
わたしは自室に戻り、早速呪符の作成に取り掛かった。
ポイントは「貫く」こと。
変換対象となる単語と《変換》という魔法語のつながりをどうやって持たせるかよくわかっていなかったが、《魔力》と《光エネルギー》を線でつなぎ、その線で第一円のなかにある《変換》を貫くことでつながりを持たせることができると考えた。
この場合、第二円に書かれるのはまず変換対象だから作成する呪符は1枚でいい。
まずわたしは第一円に《変換》を書き、第二円の上部に《魔力》、下半分に《光エネルギー》と書いた。そして、《魔力》と《光エネルギー》をつなぐように中央に線を引く。その際、《変換》の文字を真っ二つにするように第一円も貫いて線を引く。
第三円に《規模[65 b]》《位置[0 r]》を記入し、発動キーも書いて呪符を完成させた。
わたしは呪符を手に持ち、発動キーを唱える。
「《光よ》」
すると、呪符は煌々と部屋を照らす光を放った。
成功だ……。
わたしは飛び上がって喜んだ。こうかもしれないと予想したものがカチリとはまった時の快感は、本当に癖になる。
そういえばこれいつまで光り続けるんだろう。
そう思って呪符から手を離すと、徐々に光を失っていき消えた。
なるほど、魔力を常に注いでいないと光らないわけだ。
これは魔法具を作るとなると、魔力を溜めておく機構も必要になりそう。さながら電池のようだ。
さらに魔力に溜めてしまうと常に光り続けるのは問題だ。
任意に消せるようにしないといけない。
魔法具として実装できるのはまだまだ遠そうだ。
(でも、これで一歩前進、だよね)
そう思っていると、部屋の扉が開いた。
両親とカリーヌ先生が入ってきたようだ。
「突然食堂を出ていくから驚いたぞ、クレア。食事中に席を立つものではない」
「ジャック様の言う通りよ。それで? 何か思いついたのね?」
「お父さま、お母さま、カリーヌ先生。聞いてください。発光魔法の呪符が完成しました!」
そういってもう一度呪符に魔力を流し、発動キーを唱える。
ランプの炎だけで照らされて薄暗かった部屋が、再び明るくなった。
「これは……、本当に光っている……」
「ジャック様、あなたのご令嬢は天才です。こんなに早く完成させてしまうとは……」
「カリーヌ先生、それは違います。こんなのはただの偶然です。天才とは1%のひらめきと99%の努力です。偶然のひらめきに頼っているだけでは天才を名乗れないと思っています。もっと努力しなければ。それに、まだ照明魔法具が完成したわけではありません。これは第一歩です」
「でも、大きすぎる一歩だわ。クレアちゃん、あなたが発光魔法を開発したときから、あなたは魔法学を大きく前進させるとあたしは思ったわ。そしてそれはおそらく間違っていない」
そんなにすごいことなのだろうか。
わたしの目標は変わらない。物理学でこの世界の魔法を解き明かすという目標だ。
それにまい進していく中でこうやって称賛されることもあるだろう。
でもきっと多くの反対の声を受けてしまうのだと思う。現況を変えるということには反対されるリスクが伴う。
と、そこで今まで黙っていたお母さまが口を開く。
「クレアちゃん、まずは呪符の完成おめでとうね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「でもね? お父さまが言わなかったかしら。食事中に席を立ってはいけません。せっかくのお料理が無駄になっちゃうじゃない。わたしたちも突然出ていったクレアちゃんを探すのに部屋を出たんだから、4人分のお料理が無駄になったのよ? 後で料理長さんには必ず謝っておきなさい」
「は、はい……。申し訳ありませんでした……」
「謝るのは料理長さんよ」
「は、はいぃ……」
お父さまよりもお母さまの方が厳しいのではないかと最近は思う。
手に握った呪符はそれでも部屋を煌々と照らすのであった。
怒られてしまいました。
「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」とはトーマス・エジソンの有名な名言ですね。この話を書くときに調べて知ったのですが、これの真意は「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になる」というものらしいです。まぁ、それはその通りですよね。努力だけですべてが解決するわけではありません。
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