第二百三十九話
お待たせしました。
第二百三十九話です。
今回は二日に分けて二話ほど更新いたします。
先代勇者の光の種火。
光り輝く渦を前にしたカンナギはそんなことを口にした。
ニュアンスからして、なにかしらの力なのだろう。
「さあ、さあさあ、早く来て。連れてくから」
本人がものすごい無邪気な笑顔なんだよなぁ。
カンナギの年齢は僕には分からないけど、見た目は僕達とそこまで変わりない気がする。
「……どうしようか」
選択肢は限られている。
少なくともここに残っても脱出できるとは限らない。
かといって、カンナギに連れていかれても……その光の種火ってのがなんだかよく分からない。
漠然とした嫌な予感はするけど、ここで動かないという選択肢を取るべきではないのも分かる。
「よし、何が出てくるか見に行こうじゃねぇの」
「おい待てこら」
「お待ちしろ、この野郎」
「ぐへぇ!?」
僕とシエルさんが同時にコーガの肩を掴む。
というより、シエルさんが敬語なのかため口なのか分からない引き留め方をしたことに若干驚きつつ、コーガを睨みつける。
「なんで君も一緒に来る流れなの? おかしいよね?」
「そうですよ。なんでこの方より状況が分かってないんですか? 子供だって分かりますよね?」
シエルさんに聞かれ、おどおどしながらも頷くキーラ。
しかしコーガは、一向に反省した様子を見せず不敵な笑みを見せる。
「おいおい、ここでついて行かねぇ選択肢はねぇだろ。なんとなく分かるが、確実にウサトは面倒なことになる。だがしかし、俺達は関係ねぇからな。後ろから楽しく見物してやろうって腹積もりよ」
「……」
「おっ? おっ? やるか? 受けて立つぞ?」
イラっとすると、コーガが好戦的な笑みを浮かべる。
駄目だ。
挑発に乗るな。ここまで来て、こんなのを相手するのは御免だ。
「どちらにしろ勝手についてくるし、しょうがない。キーラ、シエルさんの近くに」
「え、わ、私ですか」
「すみません。でもその子は、僕達とはほぼ無関係な子供ですから……」
「……分かりました」
そう言うと戸惑いながらキーラと手をつなぐシエルさん。
この人の今までの言動からして、もしかしたら魔王に近いポジションにいる人なのかもしれないな。
まあ、悪い人ではないだろう。
「———君達も来るんだ。ふーん、まあ、いっか」
興味なさそうに呟いたカンナギに、怯えた表情を見せるキーラ。
彼女を隠すように間に入った僕は、なるべく慎重に渦へと足を踏み入れる。
すると、周囲が白い光に包まれたかと思うと、次の瞬間には先ほどいたところとは違う場所に立っていた。
「ここは……」
転移? されたのは半ば壊されたように見える広大な空間であった。
頭上からは、どこから生えたのか知らない植物の蔦が伸び、床には瓦礫が散らばっている。
しかし暗いというわけではなく、部屋の至る場所に淡く輝く石のようなものがはめ込まれ、この広大な空間を明るく照らしていた。
今までいた場所とは明らかに雰囲気の違う空間に、戸惑っていると何かに気付いたキーラがある方向を指さした。
「ウサトさん、あれ……」
「ん?」
キーラが指さした方向を見れば、石造りの棺のようなものが置かれているのが目に入る。
空間から現れるように出てきたカンナギは、その棺へ向かって歩み寄っていく。
「さあ、こっちだよ」
「……」
何が来てもいいように警戒しながら歩を進める。
石造りの棺は固く閉ざされており、中を見ることはできない。
「さあ、開けてみてくれ」
「え、いや、あの……怖いから、嫌です」
これ映画とかで見たことある。
最初に触った人になんやかんやで呪いがついて、えらい目にあうやつだ。
ガチで怯える僕にカンナギは、呆れた笑みを漏らす。
「死体とか幽霊も入ってないから大丈夫。さあ、早く早く」
せ、急かしてくるなぁ。
ここまでくれば腹をくくるしかないか。
最悪、その光の種火とやらをぶん投げるつもりで、石棺の蓋の隙間に手をいれ持ち上げてみる。
そこそこの重さにちょっぴり驚きながら、無理やりどかす。
「うわ、すっごい力です。オーガみたい」
「素でこれだもんな。やっぱ化物だな」
「私も頑張れば……」
なんだか魔族の方たちから納得いかないことを言われている気が……。
キーラには、あとで注意しておこう。
どすん、と石棺の蓋をどけた僕は、ようやくその中を覗き込むと―――、
「……! これは……」
中にいたのはカンナギと同じ容姿をした少女であった。
着物に似た衣服を着た彼女は、まるで眠っているように目を瞑っている。
しかし、左目からは血の涙のようなものが流れており、それが不気味さを助長させていた。
「なんで、この人に……」
何より目を引いたのは少女の胸に刀が突き刺さっていたことだ。
「僕の籠手の元になった刀の、もう一振り……?」
淡い光を放つ刀―――それは間違いなく勇者が扱っていたもう一振りの刀であった。
「これが君をここに連れてきた目的だよ」
「カンナギ、これは……」
「私だよ。先代勇者が魔王と戦う直前、この場に封印された私の身体がそれだよ」
もう一人のカンナギは、自身が眠っている石棺に腰かける。
「せ、先代勇者って……魔王様と戦った、あの? まさか、魔王様が私をこの場に遣わせた理由は……」
「ほー、面白いことになってきたな」
今思ったけど、この話を魔王軍側のコーガに聞かれて良かったのだろうか?
場合によっては戦闘に発展しそうだけど……こいつの性格を考えると、今襲い掛かられないだけマシか。
そうなったときは、キーラだけは安全な場所に移してあげないと。
「……」
しかし、先代勇者が仲間である彼女を封印したっていうのか?
たしか、獣人の国の隠れ里で、ハヤテさんから聞いた話だとカンナギって勇者の仲間だったって話だろ?
いや、そもそもの問題、確認しておくべきことがあるな。
「この身体は、生きているんですか?」
「生きてるよ。私の身体の時間は止まっているからね」
「……どうして、先代勇者は貴女を封印したんですか?」
「どういうことか分からないけど、あいつは私を生きたままここに封印したんだ。不意打ちだよ、いきなりこの狭い箱にいれられたと思ったら、胸にぐさりだよ? そりゃ、私もびっくりしたさ」
おちゃらけたようにそういうカンナギに、僕はどんな顔をしていいか分からない。
そんな僕に構わず、彼女は同意を求めるように話しかけてくる。
「それも、魔王との戦いの直前にだよ!? もう本当に訳が分からなくないかな!?」
「勇者は、刀を持っていかなかったんですか……!?」
「うん。もう私がいらないくらいに強くなっているとはいえ、さすがに無茶苦茶すぎると思うんだよね。その前に邪龍なんかに、刀の一振りを使っちゃうし」
なんか、情報が明かされるたびに規格外さを増していくな……。
一体、どんな化物だったんだ、先代勇者は……。
「私の身体を解き放てるのは君の持つ、籠手だけなんだ」
「……勇者の刀が元になったこいつが……?」
「うん。気づいていると思うけど、それ、共鳴してるでしょ?」
たしかに、さっきから籠手が微弱に振動してはいる。
なので、カンナギの胸に突き刺さっている刀が本物なのは分かる。
「……」
ここまで話を聞いても、彼女を信用していいか分からない。
僕が知る限り、先代勇者は悪人ではなかった。
そんな人が、自分を裏切り続けた人間ならまだしも、一番の味方であるカンナギに突然そんなことをするだろうか?
もしかすると、実はカンナギがとんでもない悪人でそれを封印したのが勇者だって考えられる。
「とりあえず、カンナギ本体を縛ろう」
そこまでの可能性を踏まえた僕が最初に出した結論は、危なそうなカンナギの身動きを封じることであった。
これにはもう一人のカンナギも慌てだす。
「ちょっと待って! お願い待って!!」
「すみません。ちょっと縛れるもの探してきてくれますか?」
「なんで私を縛ろうとしている人のために、縛るものを探してこなきゃいけないの!? おかしいよねぇ!?」
やはり駄目か。
かといって縛るのに都合のいいものなんてここにはないな。
周囲には瓦礫しかないし。
「あいつただでさえ動けない奴を動けなくしようとしてるぞ」
「うわぁ、人間って怖いんですね……」
「用心には用心を重ねる……なるほどです」
後ろの呟きをスルーする。
慌てて立ち上がり、僕の前に飛び出してきたカンナギ。
彼女の表情はとても焦っているように見えた。
「き、君の性格上疑うのも当然だけど、私は君を害するつもりなんてないんだ! むしろ、君の力になりたいと思ってる!」
「え……いえ、いらないです」
「そんなこと言わないでよ! まずは私の話を聞いて!」
ちょっとだけかわいそうになってきたので、話を聞いてあげることにする。
まだ疑ってはいるけれど、カンナギの言葉を嘘と判断するのは早いかもしれない。
「この際、カンナギの身体はどうでもいい! でも、君には勇者の光の種火を受け取ってほしいんだよ!」
「その、光の種火ってのはなんなんですか?」
……。明らかに気になる言葉があったけれど、これは追及するべきか?
まずは光の種火とやらについて聞いてみるか。
「光の種火は、先代勇者の持つ魔法の源。それを君が持てば、先代勇者と同じ魔法を使えるようになるんだ」
「……そんな都合のいいものを信じろとでも?」
「都合のいいものなんかじゃないよ。むしろ必然さ」
そう言って、カンナギの胸に突き刺さっている刀に手を添えるもう一人のカンナギ。
「この刀は勇者が何千、何万もの戦いで使い続けてきたものだ。彼の戦いの記憶、全てが刻み込まれているといっても過言じゃない。その中には当然、彼の魔法の記憶と、その力の一部が備わっている」
「……僕以外の方には預けられないんですか?」
そういう力に心惹かれないと聞かれれば嘘になる。
でも、僕がそういう力を持つのは明らかに分不相応だ。
例えば、先輩やレオナさんが光魔法を使えるようになれば、それこそ無敵だ。
少なくとも殴る蹴るしかできない僕よりもずっとうまく扱えるはず。
「それは無理だよ。他人の魔法系統を植え付けるなんて荒業、普通の人間じゃ耐えられるはずがない。そうだね……吸血鬼が人間を同族に変える手順によく似ているね」
以前、ネアが冗談半分で言っていた吸血鬼を増やす方法というやつか。
そう説明されても普通に嫌だな。
「君がこの力を手にすれば、カズキとスズネと君で魔王を倒せるんだ。君の望んだ、平和な世界をもたらすことができるんだよ?」
「……平和な、世界」
たしかにカンナギの言う力を手に入れれば、先輩とカズキ、レオナさんの力になれるだろう。
しかし、それで本当にいいのだろうか。
まだ、何か大事なことを見落としている気がしてならない。
何気なく、背後のコーガたちへと視線を向ける。
「……」
「抜いてみろよ。絶対面白いことになるだろうし」
「いや、止めてくださいよ!? なに魔王様の敵が強くなるのを見過ごしているんですか!」
「ハッハッハッ」
「このっ、おバカ軍団長っ! なんでっ、貴方はっ! 自分の私情優先なんですか!!」
笑うコーガを、げしげしと蹴っているシエルさん。
そんな彼女の傍で、不安げな視線を僕へ送っているキーラ。
彼女の視線を受け覚悟を決めた僕は、カンナギへと振り返る。
「———とりあえず、貴女を起こします。力を受け取るかどうかはその後に決めます」
「……。うん、それで構わないよ。私も自分の身体で話したいからね」
カンナギは僕の言葉にやや安堵した様子だ。
その安堵が、本心からのものであってほしいと願いながら僕は、先ほどから振動しまくっている右腕を掲げる。
「えーっと、どうやるんですか?」
「右腕で掴んで引き抜けばいいよ」
「治癒魔法をかけながらやった方がいいんですか?」
「ううん。見た目は刺さっているように見えるけど、実際は違うから。遠慮なく引っこ抜いていいよ」
とはいうけども、見た目がっつり突き刺さっているんだよなぁ。
恐る恐る、籠手に包まれた右手を刀へと近づける。
刀に纏われている淡い光が、カズキの魔法と同じような光へと変わっていくのを目にしたその瞬間―――まるで磁石に引き寄せられるかのように、ガチィィン! という連結音と共に籠手が刀へと引っ付いた。
「なっ!」
笑みを浮かべたカンナギの姿が掻き消えると同時に刀から籠手へ流れ込むような幾本もの光の線が伸びてくる。
頭の中で警鐘が鳴る。
僕の中で何かが書き換えられるような感覚に苛まれる。
何かが、起ころうとしている。
●
ネアに魔力の痕跡を辿ってもらい、遺跡の中を進んで行く。
邪魔な壁とかレオナさんが破壊してくれるけど、まだウサト達とも合流できてはいない。
「……おかしいわね」
「どうしたの? ネア」
床に手を添えながら首を捻っている彼女に声をかける。
もしかして、魔力の痕跡が途絶えてしまったのだろうか?
そんな不安の混じった声に、彼女はこちらへ振り返った。
「空気中に漂っている高密度の魔力が、ほとんどなくなったのよ」
「えーと、それは悪いことなの?」
「いえ、魔力酔いの心配がなくなるからいいことなのでしょうけど……問題はこの巨大な遺跡の中に漂う魔力が、何に使われたかってことなのよねー」
「やはり、我々が引き離されたことに関係しているのだろうか?」
ネアのその言葉に、周囲を伺っていたレオナさんが彼女へと話しかける。
「多分ね。でも、それだけの魔力を要するって時点で、とんでもない魔法か魔術が使われたってことよ」
「痕跡の方はまだ追えるか?」
「そっちは問題ないわよ。むしろ邪魔な魔力がなくなって追いやすくなったわ。……とりあえず、魔力の残滓はあっちに続いているわね」
ネアが指で差し示した方向に再び進み始める。
ブルリンの背に手を置きながら私も歩を進めると、先ほどから落ち着きのないフェルムの姿が視界に入り込む。
「フェルムは、皆が心配?」
「は? んな訳ないだろ」
また意地張ってるなぁ。
分かりやすい反応に苦笑しつつ、私も正直な心境を口にする。
「私達は心配はしてるけど、慣れちゃったところもあるかな」
「嫌だな。そんな慣れ……」
「同感だ」
聞いていたのか、前を向いていたレオナさんもフェルムの呟きに同意する。
「……心配はしてないのは本当だ」
「うん」
「でも、あいつら目を離すと何かやらかしてないか不安にはなる。特にウサト」
「「分かる」」
思わずネアと声が被ってしまうほどに納得がいってしまった。
痕跡を追っていたネアは、顔を青ざめさせながらこちらを振り向く。
「こうしている間にも、ウサトはまた訳の分からない技を作り続けているかもしれないって想像したら……」
「いや、さすがにこの短時間じゃありえないだろ」
「いいえ、さっきも治癒爆裂波とか訳の分からない極みみたいな技作ってたじゃない! あんなのいつ作ったのよ!」
そう憤るネアに、レオナさんが言いづらそうな顔をしながら話しかける。
「あー、ネア。治癒爆裂波なる技は、魔王軍の戦いが終わってから少し経った後に作ったものだと思うぞ。私との手合わせの最中に編み出していたんだ」
「そんな早くに!? あ、あああ、あの脳筋! 隠していやがったわねぇぇ……! そしたら治癒爆裂弾も!?」
「それは……多分、先ほどの戦闘中に」
「ホワァァァ!?」
頭を抱えるネア。
傍から見ているとウサト、また新しい技作ったんだー、と思うけれど彼をサポートするネアからすれば大変なことなのだろう。
そもそも治癒魔法で技とか何言っているんだろうという疑問は、とうの昔に消え去っている。
具体的に言うと、ウサトが治癒魔法弾を編み出した時あたりから。
「……?」
「どうした、アマコ」
「グルァ?」
妙な気配を感じ、後ろを振り向くが後ろには瓦礫の転がった遺跡しかない。
声をかけてくれたフェルムとブルリンに、何でもない、と声を掛けようとしたその時―――、
『あ! ようやく話せる!!』
何もなかった空間にノイズと共に誰かが現れる。
不鮮明に歪んだその姿から発せられた声に、私達の前に飛び出したレオナさんが勇者の槍を構える。
「何者だ!」
『え、は!? はじめまして! あ、もう久しぶりの人との会話に感動する……やばい、泣きそう……』
「……」
予想に反した明るい声にレオナさんも怪訝な表情になる。
歪んでいた人影が鮮明になっていくにつれて、その金色の髪と見覚えのある素顔が明らかになる。
端正な顔立ちに、包帯の巻かれた左目。
そして、ヒノモトのものに近い着物を纏った少女の姿を見た私は、思わず驚愕の声を上げる。
「っ! カンナギ!?」
『あ、はじめましてだね! アマコ!!』
「は? ……はじめまして?」
何を言っているんだ?
この人と会うのは夢の時を合わせて三回目だ。
左目に包帯こそ巻かれているけど、その顔は紛れもない同一人物。
なのに、どうして今が初対面みたいな反応を……。
『ごめん。久しぶりに人と話して取り乱した。混乱するよね』
「貴女は、誰?」
私の質問に、彼女は真っすぐと目を合わせてくる。
彼女の姿は鮮明なものになっても、時折揺らいでいる。
恐らく、実体はない幽霊のような存在なのだろうが……この人は、本当に私の知るカンナギなのか?
小さく深呼吸をした彼女は、意を決しその口を開い―――、
『わたしゃはかんにゃっ……ッ!?』
「「「……」」」
……え? 噛んだ? 今のタイミングで噛んだの?
口元を押さえ赤面した彼女は、呆然としている私達を見て、コホンと咳ばらいをする。
『わ、私は、カンナギ。初代時詠み、あのバカやろっ……先代勇者に封印され、先の世界を見る使命を無理やり託された者だよ……!』
「「「……」」」
こちらもあちらにとっても気まずい沈黙。
それに耐えきれなかったのか、カンナギを名乗る人物は目線を逸らしながらやや早口で言葉を発する。
『あっ、せ、精神耐性のあるウサトにあえて声を送ることで警告していたけれど、それだけじゃ無理だったんだ。でも、私を縛り付ける魔力が薄らいだことで、ようやく貴方達と接触することができたよ』
「……声? もしかして、ウサトに声をかけていたのって……」
『うん、私』
この遺跡に来る前にウサトは、警告のような声を送られていた。
その声の主が目の前にいるカンナギなの?
困惑する私達をよそに腕を組んだ彼女は、うんうんと頷き始める。
『いやぁー、もう一人の私が彼に声をかけるのを諦めてたから、好機! って思ったけど、彼本当に精神が固すぎて、本当に大変だったよー! やっぱ、あのサマリアールのド腐れクソ外道の呪いを打ち破っただけのことはあるね!』
普通に口悪いなこの人。
夢の中のカンナギは飄々とした感じの人だったけれど。
何も聞いていなくともどんどん話し始めるカンナギに、ネアが訝し気に話しかける。
「もう一人の、貴女? それってどういう意味よ」
『そうだね。まずはそのことについてだね』
そう言って頷いた彼女は、真面目な表情に戻る。
『この騒動の元凶。私の名を騙る偽物……いや、もう一人の私について説明しよう』
もう一人のカンナギ。
今の今まで信用できない存在と思い込んでいたけど、今目の前にいるカンナギを名乗る人は、不思議と信じられると―――そう思えた。
Q、カンナギ(偽)がウサトの夢に来なかった理由。
A、精神耐性がえぐくて、入ることすらできなかったから。
先代勇者は、魔王との戦いに勇者の刀を持っていきませんでした。
そして、ここでカンナギ(真)の登場です。
次回の更新は明日の18時を予定します。




