第百四十一話
パソコン買い替えました。
文字変換が慣れていないので、少し変になっているかもしれません。
そして、申し訳ありません。
感想の方は、前回の更新の方を先に返していきます。
今回は二話更新です。
エピローグなので、あまり間を開けずに更新したいと思います。
長い一日が終わった。
ジンヤさんを捕縛し、アマコを助け出し、なんやかんやで戦うことになったコーガと死闘を繰り広げた僕は、傷を負ったアルクさんを癒した後、フツーにぶっ倒れた。
倒れる直前、そりゃそうだろうな、と自分で思った。
なにせアルクさんを癒した時点で魔力がすっからかんになっていたし、体もボロボロだった。むしろここまで意識を保てたことに自分でも驚いていたくらいだ。
それで次に目を開けたときは、ヒノモトの本部にある客間の布団の上だった。懐かしき布団に思わず二度寝を決めこもうとしたが、ツッコミのごとく何者かが腹にダイブしてきたことで、無理やり目を覚まさせられた。
とりあえず下手人に治癒デコピンを叩き込みながら起きれば、傍らには安堵に胸を撫でおろしたアマコとアルクさん、そして額を押さえながらその場をもんどりうつネアがいた。
「ネア、なにやってんの?」
「ふぎゅううう……!」
人の言語を忘れ涙目で睨んでくるネアをスルーして、アルクさんに僕がどれくらい寝ていたか聞いてみる。
どうやら僕は翌日の昼頃まで気絶していたらしい。
寝ている間に、回復魔法で獣人族の医者の方が手当てしてくれたらしく、上半身には包帯が巻かれていた。すぐに自分の治癒魔法で傷を完治させ包帯を外した僕は、用意されていた服を着た後に団服を探そうとして「あ」と声を漏らす。
「団服が……」
僕の後ろに綺麗にたたまれていた団服は、コーガとの戦闘でボロボロになってしまっていたのだ。
大小の切り傷と、肩と腹の部分に穴が空けられてしまっている。
それを目の当たりにして、落ち込みながら用意された別の上着を着る。
「はぁ……。団服破けちゃったなぁ……帰ったらぶん殴られるよなぁ、絶対。できれば半殺しで済めばいいな」
「事情を話せば分かってくれると思うよ」
「そうだといいなぁ」
分かってくれそうではある。
けど「それもお前の未熟さが招いたモンだ。叩き直してやる」とか言って、突然地獄の満漢全席を味わわされそうでもあるのが、恐ろしいところだ。
肩に変身したネア、そして隣にアマコとアルクさんと一緒にハヤテさんの元へ行く。
「それであの後、どうなったんですか?」
「ジンヤ殿と彼に付き従った者達は捕縛され、その後はハヤテさんが部下たちとともに事後処理を行っていました」
「付き従った者達、というと?」
「命令に従った一般の兵士たちではなく、近衛や研究員たちのことです。やはりというべきか、ジンヤ殿も無茶に兵を動かしていたようで、兵士達の間でも不信感が募っていたようです」
……昨日、攻撃されたから投げ飛ばしちゃったりしていたけど、相手の兵士達には迷いがあった。
多分、本気で僕たちを殺しにかかっていたら、僕一人では治癒魔法が追い付かず、死傷者が出ていたかもしれない。
「アマコは、どこにも怪我とかしてないよね?」
「うん。大丈夫」
そうアマコに聞くと、彼女は笑顔で僕を見上げてそう言ってくる。
……反応が柔らかい? なんというか、前とは違う雰囲気だ。
妙に隣りで歩く距離が近いような気もしてきた。
首を傾げていると、ネアが僕に声をかけてきた。
「ウサト、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「ん、なに?」
「あの第二軍団長を倒した技なんだけど、あれって……なに?」
コーガに食らわせたアレか。
「治癒パンチ・二の型『連撃拳』。ゼロ距離で治癒飛拳を何度も打ち込む技だよ」
「……うわー、うわー」
「うん、今回ばかりは君の気持ちもよく分かるよ。これは、危険な技だ」
結果で言うなら、僕の治癒パンチは籠手によって一段階強くなった。
だけど、その分より危険な技に変わってしまった。
今回は相手が防御力の高い相手だったから……いや、僕が倒さなければならない相手だったから使わざるを得なかったけど、この技は絶対に人に向けていい技じゃない。
「……」
「なんでそんな意外そうな顔してるの?」
「いえ、その……常識とかあったのね、貴方」
「君は僕をなんだと思ってるのかなぁ!?」
「常識外れ」
失礼だぞこのフクロウ! 常識知らずじゃなくて、外れってなんだよ!
アマコも「え!?」と声を漏らすんじゃない!
アルクさんは、微笑ましそうに笑っているだけだし……。
「……はぁ」
あんまりな反応にため息を吐くが、こんなやり取りをするのも久しぶりだなと思う。
ちょっと前まではこんな他愛のないやり取りすら許されない空気だったから、こうやって皆で話せるのはかけがえのないものなんだなって思えてくる。
懐かしく思えてくるやり取りを交わしながら、僕たちはハヤテさんのいる場所へ向かうのだった。
●
僕たちは、昨日ジンヤさんやコーガと戦った広場へ向かった。
ハヤテさんは、そこで事後処理の指揮をとっており、昨日の争いで壊れたものを片づけたり、修繕したりしていた。
僕たちに気づいた彼は、笑顔を浮かべてこちらに手を振ってくれた。
「ああ、よかった。気が付いたんだね。体の具合はどうだい?」
「はい。おかげさまで。先ほど治癒魔法で癒したので完治しました。寝床まで用意してくださってありがとうございました」
「君たちがしてくれたことを考えれば、まだまだお返しが足りないくらいだよ」
その場を一旦部下に任せたハヤテさんは、広場の端の少し離れた場所に移動する。
「君が気絶した後は、ここは少し混乱状態になってしまってね。なにせ族長であるジンヤの敗北と、魔王軍、軍団長を名乗る者の介入だ。無理もない話だったけど、今日になってようやく落ち着いてきたよ」
「他の人たちは大丈夫でしたか?」
「ああ、勿論だよ。怪我人こそは出てしまったけれど、幸い重症者は出なかった。事態が早く収束したこともあるけど、ほとんどの兵士が迷いを持っていたからこれくらいで済んだんだと思う」
「そう、ですね……」
ハヤテさんも僕と同じことを考えていたのか。
まあ、そもそもが元より争いとは無縁の場所で生きている人々だ。ジンヤさんのような荒っぽい思想を持っている人の方が珍しいのかもしれない。
「そうだ。ジンヤさんはどうしているんですか? 捕縛されたと聞いていますけど……」
そう聞くと、ハヤテさんは戸惑うように顔を顰めた。
言い淀んでいるハヤテさんに首を傾げていると、肩の上にいたネアが代わりに答えるように口を開く。
「ジンヤは薬で眠らせて、カノコを助けるために協力させているわよ」
「眠らさせているのに協力?」
「奪った力を元に戻すだけよ。それに、あいつを喋らせておくと胸糞悪いことしか言わないじゃない」
「し、辛辣だな……」
「私、ああいう自分本位な人って好きじゃないの」
嫌っているなぁ。
まあ、それだけのことをしたし、僕がいない間にネアを怒らせるような言葉を言ったのかもしれない。
しかし、カノコさんを助けるためか。
「それで、どうやってカノコさんを助けるんだ? 『トワ』の完成を待っていたってことは、それも必要だったってことだろう?」
「ええ、流石にジンヤを止めるまでは動けなかったけど、ようやく計画を実行に移せるわ」
そう言って僕の肩を飛び降りたネアは黒髪赤目の人の姿へと戻る。
「私が『トワ』について調べて分かったのが、あれが使用者の魔法を魔力ごと抜き出して他人に張り付ける魔道具だってこと。でもこれによって魔力を抜き出された使用者は、体を構成する部分が欠損してしまったから強制的に永続的な昏睡状態に陥ってしまうの。……まあ、暴走状態にしたからそうなってしまったのか、はたまた捻じ曲げた研究のせいかは分からないけど」
魔法を魔力ごと抜き出して他人に張り付ける。
簡単に言えば、そう片付いてしまうけれど恐ろしい話だと思う。
「それでどうすればいいんだ?」
「ジンヤはカノコの力を『トワ』によって手に入れた。なら、それを逆の方法で用いれば、ジンヤに張り付いている予知魔法と魔力をカノコに戻せるってわけよ」
「……そんな単純な話なのか?」
「ええ。だって催眠をかけた研究員に全て聞きだしたうえで、手伝わせているのよ? 具体的に言えば、ウサトにゴーサインもらったその日から、カノコを救うための『トワ』の調整は始まっていたわ」
「……ネア」
僕は驚きの目で彼女を見やる。
僕の視線を受けた彼女は、首を傾げたあと自信満々な顔を浮かべた。
「ん? ちょっとー、ようやく私の凄さが分かったの? もっと褒めてもいいのよ?」
「ネアがドジってない……!」
「ちょっと、どういう意味よそれ!?」
素直に褒めようと思ったけど、なんだか調子に乗りそうだからやめた。
だけど、内心は本当に頑張ってくれていたんだなぁ、と感嘆としている。
あとでさりげなく褒めておこう。あくまでさりげなくね。
「それで、ネア。もう始められるの?」
アマコがプンスカと怒るネアに、そう聞いた。
「準備自体はできているわよ。あとはハヤテの許可を得るだけだし」
「勿論、許可は出そう。ウサトも起きたことだしね」
アマコの母親を助ける。
あの日、アマコの願いによって始まったこの旅が、もうすぐ終わろうとしている。
僕にできることは、アマコの母親が目覚めることを願うしかない。
●
広場の奥に移動されていた『トワ』の周りには、囲いのようなものが設置されており、その中でネアが催眠状態にさせた研究員たちが、装置の準備をしている。
カノコさんを助ける上でまずするべきことは、寝たきりのカノコさんをここまで連れてくることだった。
今まで彼女のお世話をしてくださった獣人の方々の手を借り、担架に乗せて広場の……『トワ』に新たに増設されたベッドのような形の部分にまで連れていき、四肢と頭部に線に繋がれた輪っかを取り付けた。
そして、残る『トワ』の内部には——、
「ジンヤ……」
眠ったまま連れてこられたジンヤさんが、『トワ』に運び込まれる。
そんな彼をハヤテさんは悲しそうに見ているが、僕達はあえてなにも言わなかった。
「……」
静かな寝息を立てて眠っているカノコさんの顔を不安そうに見下ろすアマコ。
そんな彼女の肩に手を置いて、できるだけ安心させるように話しかける。
「きっと大丈夫だよ」
「でも……私、予知するのも怖くなっちゃって……目覚めなかったら、どうしようって……」
それは、怖いだろうな。自分だけ誰よりもこの試みの結果が分かってしまうことは……。
気の利いたセリフを言えない僕は、とりあえず彼女の傍にいながら準備が済むのを待つしかなかった。
研究員たちと共にジンヤさんとカノコさんを見ていたネアは、一通りの準備を終えたのか『トワ』から離れてこちらを振り返った。
「始めるわよ。問題は起きないはずだけど、一応の注意はしておいて」
僕たちが頷いたのを確認したネアは、研究員たちに『トワ』の起動を促した。
数秒ほどして、『トワ』の外殻の隙間から金色の光が放たれる。ジンヤさんに繋がれた線から金色の光が『トワ』に流れ込み、それがまた『カノコ』さんに移動していく。
固唾をのんで、その様子を見守っているとアマコが僕の手を握ってきた。
震える小さな手。
それを察して握り返す。
「……光が、収まっていく」
五分ほどして『トワ』の光が収まる。
完全に光が収まったのを見ると、ネアは無言のままカノコさんに近づき、体を視た。
「魔力はちゃんと戻っているわ。試みは成功したけど……あとは彼女が目覚めるかどうか、ね」
「ジンヤの方は?」
ハヤテさんの質問にネアは、ジンヤさんを一瞥する。
「ジンヤの方も、本来の魔力に戻っているみたいね。あっちは元通りになっただけだから大丈夫でしょう、問題は——」
「……っ!」
「っ、アマコ!」
そこで耐え切れなかったのか、アマコがカノコさんに駆け寄った。
泣きそうな表情で、カノコさんの手を握りしめた彼女は、振り絞るような声で母親を呼んだ。
できることは全てやった。
カノコさんの魔力も元に戻した。
後は、目覚めてくれれば——、
「……ぅん」
「!」
その時、これまでずっと寝たきりだったはずのカノコさんが、呻くような声を漏らした。
驚きのあまり硬直してしまったアマコがすぐさま、声をかけると、カノコさんは薄っすらと目を開けた。
「……あ、う、私、は……」
「母、さん」
「アマコ? まだ朝には全然早いわ………ん? いいえ、違う。私は確か『トワ』を……それじゃあ、もしかして! あう!?」
体を起こそうとしたのか、上半身に力をいれようとした彼女だが、二年間もの間、動いていなかったせいか悶えるように元の位置に戻った。
そんな彼女に声を震わせたアマコは、思い切りカノコさんに抱き着いた。
「母さん、もう目覚めないかと思って……本当に、よかった……!」
「アマコ……。そう、貴女が……頑張ったわね」
涙ながらにそう言葉にしたアマコを見て、驚きの表情を浮かべたカノコさんだが、すぐに優し気な笑みを浮かべると、彼女の頭に手を置いて、優しく撫でた。
それを切っ掛けに、アマコは泣いた。
辛い時も、悲しい時も、決して涙を見せなかった少女がようやく見せた涙。
年不相応に大人びた彼女が、ようやく年相応に感情を表して泣くことができた瞬間であった。
●
その後、カノコさんはすぐさまヒノモトの医者に診てもらうことになった。
『トワ』使用の影響の有無を確かめるという理由が大分を占めていたが、彼女の体の状態を鑑みてというのも理由の一つであった。
魔道具と介護があったとはいえ、彼女は二年もの間、体を動かさなかったのだ。そのせいで、筋力は著しく低下しており、今は普通に歩くことすら容易ではなかった。
検査の結果、『トワ』によって魔力を失っていた後遺症はないと判明した。
「皆さん、此度は本当にありがとうございました。まだまだ体が不自由なもので、まともにお礼もできませんが、何卒ご容赦を——」
「い、いえ。それよりも、あまり無理をしないでください」
「母さん、ウサトの言うとおりだよ」
布団の上で上半身だけ起き上がったまま、頭を下げたカノコさんに慌ててやめるように言う。
カノコさんが目覚めてから半日ほどが経った夜。僕とアルクさんとアマコは、カノコさんが寝ている部屋に呼ばれていた。
カノコさんの傍らには、アマコが座っており、心配げにカノコさんをチラチラと見ている。
「大体の話を聞きました」
「大体、とは?」
「アマコがここを二年間離れて何をしていたかと、今回の騒動についてです」
ということは、全て聞いたってことなんだな。
「ハヤテ君には本当に苦労をかけてしまいました。私がもっと早くジンヤの本性に気づいていれば、事態はあそこまで大きくならずに済んだはずなのに……」
「気にしてもしょうがないよ。母さんが無事に目覚めてくれたんだから、それだけで嬉しいよ」
「アマコ……!」
アマコの言葉に感極まったように目元を押さえるカノコさん。
十数秒ほどして、目元をぬぐった彼女は僕たちに視線を向けた。
「貴方達には本当に感謝しています。アマコから聞いていますが、改めてお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。リングル王国、救命団のウサト・ケンと申します」
「私はリングル王国、騎士アルクと申します」
「使い魔のネアよ。今はフクロウの姿だけど本来は人の姿よ」
一人一人の自己紹介を聞いたカノコさんは、最後に僕を見てにこにことした表情を浮かべた。
「貴方が私に治癒魔法をかけてくれたウサト君ね」
あれ、なんだか敬語が取れたような……心なしかフレンドリーな感じになった。
「え、はい、そうです。意識があったんですか?」
「眠っている間、一瞬だけ意識が目覚めた時、私を必死に助けようとしてくれる貴方とアマコが見えたの。周りにジンヤがいたから、危険を知らせることしかできなかったけれど……そう、ふーん、貴方が……ふーん」
ふーん、と上半身を横に揺らして僕を観察するカノコさん。
意味深な視線を向けられ、一体何事かと、どう反応していいか分からなくなる。
なんだか凄い嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
コーガの時とは違う。
いや、むしろこれはサマリアールのルーカス様の時のような——、
「それで、アマコとのお付き合いのほどはいつから?」
「え?」
「なぁっ!?」
呆気にとられた声を漏らす僕と、素っ頓狂な声を漏らすアマコ。
そんな反応を示す僕たちに、カノコさんは得意げな表情を浮かべた。
「アマコ。まさかこの私に分からないとでも思いましたか? 私の狐の直感は二年の睡眠を経ても冴えまくっていますからね。もうこの耳にビビッときて、ズバッと察しました」
自信満々に腕を組むカノコさん。彼女の頭の狐耳も得意げに動いている。
もしかすると、年頃の娘が一緒に遊んでいる男友達を恋人と判断しちゃうお父さん的な勘違い、なのか?
あまりにも予想外なカノコさんの言葉に、思いっきり動揺したアマコが声をかける。
「かあ、さん? なにを、いって、いるの?」
「ふふん、母に隠し事は通じないのです」
……あ、この人、残念っぽいぞ。
手本にしたいほどのドヤ顔のカノコさんに、久しぶりに女難という言葉を思い出す。
恐る恐るアマコを見れば、案の定彼女は顔を真っ赤にしながら俯いていた。
「みんな、いますぐ、このへやから、でてって」
途切れ途切れの言葉だが、その端々に羞恥と怒りがにじみ出ている。
その声の低さに、慄く僕達。
ネアなんてかつてないアマコの反応に、ぶるぶると肩の上で震えている。
「え、でも、アマコ……」
「でてって」
「はい、分かりました!」
断言しよう。
今のアマコはコーガよりも恐ろしいと。
そんなことは露知らず、僕たちを呼び止めようとするカノコさん。
「え、どうしたのですか? アマコもそんな怖い顔をして、かわいい顔が台無しだわ。あれ? どうして、そんなにじり寄って、その手でなにを、あ、ちょっと尻尾は——」
パタン、とふすまを閉めると、中から鶏の首……というか、狐の尻尾を掴んだような声が響いた。
いや、狐の尻尾を掴んだ声なんて聞いたことないから分からないけど、多分表現としてはあながち間違っていないだろう。
「でも、元気そうでよかった」
今、ふすまの奥で僕達への助けを求める声を漏らしているカノコさんに安堵する。
見た限り、時間はかかるかもしれないけど、リハビリを続けていけば日常生活に戻れるだろう。僕の治癒魔法では効果はないけど、カノコさんのような芯の強い女性ならきっと大丈夫なはずだ。
だけど、僕は一つだけ気がかりなことがあった。
「……」
カノコさんは助けられた。
今のヒノモトなら、ハヤテさんがカノコさんとアマコを守ってくれる。
だとしたら、アマコはここに残るのだろうか? それとも、リングル王国に行くのだろうか。
その答えは、アマコ自身にしか出せない。
最後の最後に残念をぶっこんでいく……。
次話は、できるだけ早く更新したいと思います。