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未亡人が、遺産としてキャンピングカーを受け取ったら、大変な事になりました。  作者:
第8章 ギルド

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3


 楓花は、エルに促されホワイトジャイアントの魔石を取り出して見せた。


 「これでいいかしら?」

 『はい、そちはディアマンテです。泉の結界に触れさせて祈りをささげてください。』

 「祈り?」

 

 よくわからないけれど、泉の周囲にある金色の結界に石を触れさせた。薄く結界全体に行き渡らせるイメージをしていく。

 結界が輝いたので、手を放すと透明だった石はただの石になっていた。

 

 成功なのかな?


 『おかえりなさいませ。ご主人様。』

 「ただいま。結界は強化されましたか?」

 『はい、あと200年は持ちます。』

 

 なんだろう、こそばゆい。

 ご主人様なんて柄ではないけれど、普段なら名前で呼んでというのだけど、この子にご主人様と言われるのはなんだかいい。

 こんな何もない場所で非現実的なところだからかな?

 だって、あの三角の耳!エルフっぽい美少女に言われるのは…うん、よき。


 『お飲み物は、何がお好みでしょうか?』

 「キッチンを見てもいいかしら?」

 『もちろんです。どうぞ。』 

 

 案内されたキッチンは、現代的なキッチンだった。

 大き目な600Lの冷凍冷蔵庫があった。

 キッチンの奥には、4.5帖ほどの細長いパントリーがあり、パントリーの棚には時間停止がかけられていた。その奥には引き戸もある。

 棚から取り出すと、時間停止が解除されるのか。

 一番下には小麦粉の10k袋がずらっと並んでいた。

 砂糖や塩などから様々な野菜までかなりの充実ぶりだ。

 これも遺産の一部ということか…。

 鍵は。ウエストポーチにチェーンをつけて入れておく。

 茶葉類も結構な種類があった。

 キッチンの棚には食料が並んでいるけれど、こちらは何の細工もないようだ。つまりは普通の棚だった。すぐに使う分だけ出してくる感じで使う方がよさそう。

 

 ラングドシャを細長く巻いた菓子が置かれていた。

 まだ食べられそう。


 「ねえ、妖精さんのお名前を聞いていなかったわね。私は楓花よ。お名前は?」

 『名前?メイドです。』

 「それは、役割で名前ではないでしょう。無いならつけてもいいかしら?」

 『はい!』

 

 え?なんだかわくわくされている気がする。

 変な名前を付けたら怒られそう。どうしよう。

 エルフみたいな耳と透明感のある姿…家の妖精って言っていたけれど、ハウスキーパーってことだろうし…だめだ、思い浮かばない。

 エルフの上2つでエルって許してくれる?

 

 「エルはどうかしら?」

 「エル!私はエルです。家の妖精でメイドのエルです。」


 それまで頭に響くような声から、普通の声になった。

 先ほどまでとは異なり、地に足の着いたような様子に変化していた。

 

 「エル、妖精の姿に戻れますか?」

 「はい」

 『ご主人様、これでよろしいでしょうか?』

 「ああ、よかった。メイドに戻っていいですよ。」

 「はい、ご主人様。」

 「コーヒーとこのお菓子を出して欲しいの」

 「かしこまりました。ご主人様。」


 やだ…もう、なんだか変な気分になる。

 お姫様気分というかお殿様気分というか。


 ソファーに座って、現状の確認を頭の中でしていた。

 泉の結界が強化できていた。よくからないけれど、これが必要なら、私が使っているガードも、ここのガードも必要なのでは?

 あ…。そうだ!

 ・聖なる物を守るための結界にはディアマンテ、守護壁にはクリスタルやアメジストなどが向いている。

 たしか、どこかにそう書いていた。

 楓花は、エルが運んできたコーヒーとラングドシャを味わった。


 「エル、教えて欲しいのだけど、家の外って誰か整備しているの?」

 「家の外の果樹園の辺りは、私の分身が管理します。収穫した果物は、食物庫に入れます。」

 「そうなのね。あるのは果樹園だけ?畑はないの?」

 「畑ですか?家の裏から果樹園の間にあります。収穫したので今は何もありません。」

 「そうなのね。では、種とか苗とか持ってきたら育つのかな?」

 「はい、育てます。」

 「わかったわ。ありがとう。」

 

 

 楓花は一旦、外に出た。 


「この守護壁はどのくらい保つの?」

『泉の家の守護壁:残保持期間199年11か月。』

「なるほど…保持期間はほぼ200年ね…これを使ったらどうなるのかな…」


手に持っているのは、親指程のクリスタルだ。

大量にあるので、ウサギから取れたのだと思う。

先程使ったホワイトジャイアントの魔石とは全く違うだろう。


『クリスタル:泉の家の守護壁を1年程度伸ばす。』

「1年…以外と短いのね。」


楓花は、持っていた5つのクリスタルを使ってみた。薄く薄く補強することをイメージした。


「さて、どうかな?」


ひとつ使う度に確認していく最終的にもう一度見た。


『泉の家の守護壁:残保持期間205年9か月。』


例えば、今後50年ここに来るとしたらこちらの時間で150年だ。なかなかに長い時間になる。205年というなら、私が100歳まで生きたとしても、その間は安泰だ。


この辺りは、これから冬になる。

どのくらい寒いのかはわからないから、後で確認してみよう。

育つ野菜もあるかもしれない。

守護壁範囲内で林の中へ入ってみる。

なるほど…露草に癒し草、薬草がいろいろとあるようだ。聖なる泉から延びる川沿いにはヒールベリーの木が生えていた。

 ここがポーションを作る拠点だったのかもしれない。


 家へ戻り、エルの案内で家を歩いた。

 家を歩くと言っても、1階にはリビングとダイニング、キッチン、お風呂などの水回りがある。それと客間が1つだ。

 2階には、主寝室と書庫。それからベッドルームが1つあった。


 「エルのお部屋は?」

 「部屋はありません。御用がないときには実態を持ちません。」

 「なるほど…そうなのね。」

 

 2階の主寝室には、マントとロングTシャツのような服があるだけだった。

 アイテムバックで持ち歩くなら、あまり必要もないのだろう。


 お風呂場と脱衣室があり、脱衣室の奥には洗濯室もあった。なんと洗濯機と乾燥機が置かれていて、どうやら太陽光で動いているらしい。

 キャンピングカーがあれば十分だと思っていたけれど、ここならゆっくりと過ごせそう。


 いいかも…。

 虹湖もいいけれど、獣が多すぎるところがあった。

 でも、アートンはともかく、ヒルストンにはお肉を届けないと冬場は厳しいだろう。芋だけで冬を越すのは、かなり厳しい。

 書庫の本は、草花図鑑のようなもののようだ。


 

 翌日の昼間、楓花はアートンへ行き天龍と共に虹湖で過ごした。

 どうやら、初級ポーションよりも下のポーションがあるらしい。

 いくつかのレシピがあるようなので、それを試していく。

 材料は、癒し草と清水、それにレシピによって入れる果物が異なる。いづれにしても、固い物がないからミキサーでもよさそうだと思い、ミキサーにかけた。

 ちょっとうるさいけれど、出来上がるまでの時間がかからない。

 生のままミキサー、煮てからミキサーなどいくつかのパターンを試した。

一番効果があるのは、癒し草をミキサーにかけてから煮る。それを濾して、2/3になるまで煮詰め日止め前にリリカの汁を加えるのがよいようだ。

 試しに120mlのペットボトルに入れてみた。

 


読んでくださりありがとうございます。

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