GO NOUTH!
「目標発見、大オオカミ型3体。フォーメーションBでいくわよ」「了解!」
隊長のスカーレット・ロウが馬に拍車をかけて全力で駆け、ユウキがそれに続いた。エイムとアンは左右に散り、街道脇を距離を置いて続く。スカーレットは少しづつ進路をを街道中央から左側に寄せ、ユウキはさらに左後ろに付ける。
「ユウくん!あたしのそばにいれば安全だからしっかり付いてきてね!」「はい!」
2人に向かってくる大オオカミ型の魔物はスカーレットに目標を絞る。先頭の魔物が飛び掛かった瞬間、全長2メートルをゆうに超える長柄の薙刀のような武器をスカーレットが振るうと、魔物の腹部に致命傷を与えた。
残りの2体とすれ違ったスカーレットとユウキはさらに全力で駆ける。魔物は反転して後を追うために動きを止める、しかしその瞬間に後方から追いかけていたエイムとアンに急所を貫かれた。
銃声を合図に後方を確認したスカーレットは
「パーフェクト!」
と、満足げに微笑みゆっくりと馬を止めた。
「くうーーーー!一撃離脱と挟撃を組み合わせた完璧な戦闘機動だね!惚れ惚れした!」
「隊長が考えた作戦なんですけどね」
親しげに話すユウキとエイムを、やや遠目に見たスカーレットはアンに耳打ちする。
「ねえねえ、あの2人いやに親密じゃない?」
「ですよねぇ。もし2人で旅することになってたらそりゃあもう」
アンは左手の指で作った輪っかを右手の指で貫くが即座にスカーレットにはたかれた。
「やめてよ、もう」
「てへっ」
4人のマルボークまでの旅は、中間点のザグレーブまではパトロール任務を兼ねていた。というのも、各宿場町のパトロール隊の人員はそれほど余裕はない。一度に3人も抜けられては困るのだ。そこで、順繰りに隣町から人員を融通する案が取られた。
ザグレーブは比較的大きな町で、騎士団の兵が駐留していてパトロール隊員も余裕がある。そこまでは1日2行程のゆったりした旅だ。
10日後、一行は丘陵の谷間にあるシャディの町からあと2キロに迫っていた。
「シャンディに付いたら次はザグレーブだからね。ザグレーブで補給したい物資ってある?」
「弾丸はまだ余裕ありますが、補給できるならしたいですね。ザグレーブに備蓄してあって送ってもらってたので」
「オッケー!ザグレーブには明日のお昼には入るけど、一泊して休養を取りましょう」
「賛成ですーーー」
街道を見下ろす丘の上に、一行を見送る2つの影があった。いや、全身を黒衣に包んだ男女だった。
女の手には双眼鏡があった。女は一行の中の男を見つめると驚愕した。
「あれは・・・・ユウキ・・・・・?」
ようやく物語が動いてきました。
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