雪花(セッカ)
ザグレーブに到着した一行は、まず騎士団の会所に向かい所用をこなした。1人先に暇になったユウキがロビーで待っていると、集合したエイム、アン、スカーレットの3人は一様にニコニコ顔だった。訳を聞くと
「お給金が出ましたーー!!」
とのことだった。支払い済みの通知はあとでエイサムに送るということで、迅速な支給を優先したそうだ。帰還してからの支払いになると考えていた3人には予想外だったようで、ご機嫌になるのは納得しかない。
3人は大き目の町に来たこともあり、そろって買い物に出かけて行った。エイムはユウキに何か言いたげだったが、スカーレットに引っ張られて行ってしまった。宿泊は変わらずパトロール隊の宿舎なので、そこで集まればいいだろうと、ユウキは適当に散策することにした。
庁舎まわりから市場へは一段低いエリアになっていて、荷車が通れるようにスロープになっている所と、階段になっているところがあった。ユウキはなんとなく階段を下りた。
階段を下りきったところで背後から左手を掴まれた。即座に背中側にひねられ極められてしまう。
直後、頬にナイフが当てられた。
「抵抗しないで下さい」
「・・・・はいはい。降参しますよ」
背後からユウキを襲った相手は、右手でユウキの胸元を制してナイフを突きつけている。という感覚がある。
だがユウキにはその姿が見えなかった。
(透明化・・・光学迷彩魔法かぁ?・・・こっちに来てそういう普通っぽい魔法見るの初めてだ)
ユウキは左手を後ろに取らたまま、人気のない路地裏まで歩かされた。
そこには全身黒装束の女がいた。だが顔には見覚えがあった。
「おま・・・・雪花か?」
「悠希くんおひさー。サイファーさん、もういいから離してあげてね」
一方女子3人組は雑貨店で品物を物色しながらおしゃべりに没頭していた。
「エーちゃんさぁ。ユウくんのこと好きなんだよね?」
(うおー・・・そんなズバリ聞きますかーーーー)
「え・・・まあ分かりますよね」
(認めたーーーーーーー?)
「なんで異世界来て早々ハーレムパーティー率いてんの?テンプレ主人公なの?」
「なんの話か分かりません。それより雪花もこっちの世界に?どうやって?」
「酉篭山に登ったの」
「な!!!・・・・どうしてそこに・・・」
「悠希くんさーダメよ?自宅のPCだからってちゃんとパスワードかけなきゃ」
「うっ!!!・・・検索履歴とか見た?」
「見た」
「死にたい」
「まあそれはいいよ。男の子なんだし。それよりマップの史跡関連のチェック跡をSNSの発信と照らし合わせて、どこで消えたのかあたりを付けたわけ」
「雪花が山に登ったのはいつ頃?」
「2週間くらい前」
「じゃあ雪花も元の世界で行方不明になってて大騒ぎじゃん。勝手にPC荒らされる恐怖を味わうといい」
「ワタシはそんなヘマしませんー」
「それで、なんでこんな強引な方法で俺の前に現れたんだ?」
「そう、それが本題」
「ワタシと一緒に来ない?こっちの世界の問題なんかチャチャっと片付けて、帰る方法探そうよ」
tips:女性キャラの一人称表記について
エイム:私 アン:わたし スカーレット:あたし セッカ:ワタシ
となっています。エイムは精神的に不安定になってる時に「わたし」表記になることがあります。
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