第2話 告白
翌日、俺はこのアパートの住人に挨拶周りをした。大家さんには昨日世話になったので、実家から送ってもらったトマト(全員に渡しているが)を渡した。その最中、背中に何か感じたため
「すみません。少し用事を思い出したので、今日はこれで」
俺はそう言って急いで部屋に帰った。案の定、麗華はいなかった。という事は…。
「俺の背中にぴったりくっついても無駄だぞ」
「え…なんでバレたの…?」
「そもそも、あんな大胆に背中に寒気がして気付かないわけがないだろう?」
「あはは…ですよね〜…」
俺はその話をしている途中で、ふと気になった事がある。
「ところで、仮の肉体を作る事はできるか?」
「なんで?しかもそんな急に」
「いや、お前と出歩くのにこのままだと不便だな〜って思っただけ。普通に考えたら、お前が来るだけで悪寒を感じるんだから、それを毎回体験するのは俺の身が持ちそうにない…」
「分かりました。一応やってみます。あと、そのことに関してはごめんなさい…」
「いや、別に大丈夫だよ」
俺と麗華はこの後も数時間話した。1つ言っておくが、俺は寺の子でもなければお経も読めない。それに、この力のせいで数多の霊に憑かれそうになった事だろうか…。まぁ、どれも波長が合わなかったおかげで大事には至らなかったが、今はその力もあって良かったなと思う。自分の目の前にいる彼女はもしかしたら助けられず、その本体に戻れなくて完全に死んでしまうところだったのかもしれないのだ。
「ところで、本体には戻れないの?」
「それが…戻ろうとすると拒絶されるというか、なんか…まだ入ってくるなーって言ってるような気がして…」
「多分、今の麗華は何かをしたいっていう思いが弱いんだと思う。それだと戻るだけ無駄。でも、今の麗華は1人じゃないだろう?」
「と言うと…」
「俺がいるじゃないか。もっと俺を頼ってくれても良いんだ」
「…」
そうして、長いようで短い沈黙が続き、先に口を開いたのは麗華だった。
「そういう事なら、お願いしますっ!」
「明日は暇だから一緒にどこか行こっか」
「はいっ!」
元気な子だ。その笑顔を見た瞬間、自分の顔が熱くなっていくのがわかった。やはり俺は麗華に恋をしている。いっその事、伝えてしまう方が良いのだろうか…。もしそれで関係が悪くなっても困るのは俺だ…。だが、やってみないと分からない。
「あのさ、麗華」
「どうしたの?」
「お、俺は麗華の事が好きだ。俺と付き合ってほしい!」
「気持ちは嬉しいけど、もっとお互いをよく知ってからね」
案の定この結果になった…。それでも俺は後悔なんてしてない。むしろ、体のどこかが軽くなった気分だ。明日は麗華と街を散歩するのだが、あまり良い場所が見つからない…。それはそれでまた良しとしよう。




