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幽霊(?)と俺の同棲生活  作者: 鳴海ヒロト
第1章 はじめまして
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第1話 はじめまして

俺の名は悠真。昔から霊感があり、そのせいで他の奴には見えないモノからいじめられ、それが原因でいじめられてきた。そんな俺も大学に進学し寮生活と思いきや、古ぼけたアパートに住むことになった。俺が住むことになった部屋には霊が出るらしく、家賃無しとなっている。そのせいか、この部屋に住んだ人は誰1人として、長続きはしていない。大家さんからは

「1週間もった人がいたけど、もう顔が真っ青で、食事もあんまりとってなかったらしいわよ〜」

という話を聞いた俺は、実際ヤバいんじゃないかと思った。大家さんとある程度の会話をして、俺は部屋に入った。今日はとりあえず引越し業者が来るまで部屋でゴロゴロするつもりだったのだが…

「ひ…人?」

という、か細い声が俺のすぐ近く…というか、隣の方から聞こえた。まぁ、すぐ隣からハンパない冷気を感じとったから、自分の隣にいることが分かったのだが…横を向こうとすると果てしない拒絶反応が起きてしまう。それを何とか抑え、隣を思いっきり見た。冷気を感じるのは、自分の左。もう嫌な予感が当たっている。そう、左を向くと白い服をきた人のようで人では無いモノが…!だが、俺の予想を裏切った。俺は見えた瞬間に

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ほら出た!!」

と叫び、既に敷いてあった布団の中に潜り込んだ。だが、今は夏真っ盛りの8月10日。この布団に隠れられる時間は限られている。その布団の中からチラッとその霊をみた。その霊は、制服姿で俺と同じぐらいの年の女子だった。俺は布団から出て、

「なんか、急にごめんね。驚き過ぎちゃって…」

「い、いえ…。私も急に驚かせるような事をしちゃったので…」

お互いに謝りあった。

「ところで、君の名前は?」

「私の名前…ですか?」

「そう。君の名前」

「私は、小田切麗華です。ちょうど3年前にここに住んでて、高校の部活が終わって靴を脱いだりしてたら、足が滑って、タンスの角に…」

「あ、うん。それはわかるよ(笑)。ドジだね(笑)」

「もーっ!うるさいですー!」

「わかったわかった。もう言わないよ。あ、自己紹介遅れてごめん。俺は中田悠真。近くの大学に通ってるよ。それから、君も分かるように、霊感が強いんだ…。よろしくね」

「はいっ!こちらこそよろしくお願いします!」

何か、悪いヤツではないな。俺はどこかでそう思い、どこかで彼女がいないボッチ感が酷かった。それもこれも、全てこの霊感のせいだ。女子にこの事を話すと、茶化されるか、馬鹿にされてしまう。そのため、なんで自分には霊が見えてしまうんだ!と度々思っていたところだった。そんな事を思い出していると

「あのー」

「ん?何かな?」

「私のこと、麗華って呼んでください」

「わかったよ。なら俺のことも悠真って呼んでくれて良いよ」

「わかりました」

なんだ。そんな事か。

「霊でも礼儀正しいんだね」

「そりゃ、まだ人の心を捨てきれてませんし、それに、まだ私は死んでいません!…はっ!」

「何て言ったの?」

「もうこの際言います。私、まだ死んでないです。」

「どういうこと…?」

「私、3年前からずっと集中医療室で寝たまま意識が戻らないんです。私が多分体の中から出てるためなんでしょうけど、戻れないんですよね…。悲しいことに…」

「そうなのか…。ごめんね、あんまり気の利いた事を言えなくて。」

「別に良いです。私がこんな事を言わなければ良かったんですし…。」

そう言っている麗華の目は、どこか悲しそうだった。

「そうだ、それなら一緒に寝るか?」

「えっ…?」

「麗華は今まで1人だったんだろう?なら、2人で寝よう」

「本気で言ってるの?私、霊だよ?」

「そんなの別に構わない。人の心を失ってないのなら、実体を持ってなかろうと人さ。」

「あなたみたいな人初めて…」

「なんか言ったか?」

「何でもないですよー」

そうして俺と麗華は寝た。というよりも、昼寝をしただけだ。

そして、起きたら既に夕方の6時を過ぎている。急いで飛び起き、周りを見渡すと、引越し業者に頼んでいた物が全て届いており、全部綺麗に置かれている。

「麗華…これ…どうやった?」

「大家さんがやってくれてましたよ」

「そうか」

おいおい…。なぜ大家さんに任せてしまった…。まぁ、良いか。明日は住人挨拶をしないといけないし、その時にお礼を言っておかないとな。

「今から夕飯の材料を買いに行くんだが、麗華も憑いてくるか?」

「良いんですか…?」

「お前の好きな料理を作ってやろうと思ってな」

「そうですか…。なら、お言葉に甘えますよー」

そうして俺と麗華は買い物に行った。さすがに6時を超えているため、もう大半の食材は切れていたが、ひき肉と玉ねぎ、その他諸々が残っていたが、目がいったのはやはりひき肉だ。とりあえず簡単にできるものと言えば、ハンバーグだろう。それに野菜炒め、ポテトサラダを付け合わせにするって方法もあるのだが…、生憎今日はそこまで手の込んだ料理を作る気がなかった。

俺はひき肉と玉ねぎ、その他に、キャベツと人参、じゃがいもときゅうりを買った。その後俺は、

「麗華、今日はハンバーグに野菜炒めとポテトサラダで良いか?」

「うん。私のためにそこまでしなくて良いのに」

だが、喜んでいるのはわかった。一瞬微笑んだように見えた。

家に帰ってからは、あまり麗華を待たせないようにして、てきぱきと料理を作っていった。そして、良い具合にでき、麗華はとても喜んでいた。やっぱり麗華の笑っている顔が好きだ。って…あれ?俺のこの感情は…そうか、俺はこいつに一目惚れしたんだな。俺と麗華が食べ終わって、食器を洗い、片付け、再び寝ることにした。明日は住人挨拶をしに行かなければならない。もしビビらせるといけないから、麗華には予め家で留守番するように言っておこう。そうして、俺は寝た。麗華ももちろん同じ布団で寝ている。寝顔も可愛いじゃん…。

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