表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/199

15:オトラル戦12:カンクリ騎馬軍の出撃3

人物紹介

ホラズム側

イナルチュク・カン:オトラルの城主。カンクリ勢。


ソクメズ:イナルチュクの側近にして百人隊長。カンクリ勢


トガン:同上


ブーザール:同上


人物紹介終了

 敵が剣に持ち替え、こちらの突撃に備え構えるのが見えた。

 しかしトガンは剣を抜かず、三の矢をつがえることを選んだ。

 それを放ち、剣の間合いに入る寸前に敵を倒した。

 そのまま一気に敵の防衛線を突破しつつ叫ぶ。


「我に続け。」


 音が戻って来た。

 (ふる)え出しそうな手を(おさ)えるためにも、手綱(たづな)をギュッと握る。

 そして更に先にある投石機の方へと馬を疾駆させる。


 モンゴル兵は、

 ――前方にて(はば)まんと防衛線を張った者たち、

 ――投石機の周りを固める者たち、

 ――そしてその奥に未だ留まっておる者たち

 ――その三つに大別できた。


 果たしてどれだけの味方が敵の防衛線を突破したのか。

 左右を見ると、想像しておったよりずっと多い。

 八割(がた)は残っておった。


「我が隊は護衛を討つことに集中せよ。」


 改めてそう指示をして、次の如く付け加える。


「アイ・テムル、イシクは十人隊を率いて奥の護衛を追い払え。

残りの隊は我とともに投石機を守る兵を討て。」


 そしてトガンも自ら十人隊を率いて突撃する。


 そのような意識は無論のこと敵方(てきがた)にはないのであろうが、のんびりとこちらに向かって来るようにしか見えぬ。

 先ほど迎撃のために前方に出て来たモンゴル兵はまだましであったと分かる。

 投石機の周りと、奥に留まるモンゴル兵は混乱に陥っておった。

 それから抜け出すいとまを与えることなく、多数を討ち取った。

 残りは投石機を捨てて先を争って逃げ始めた。


「追うな。追ってはならぬ。」


 トガンは自兵を押し留める。

 前へ出て来た敵への攻撃を命じておった十人隊五隊が敵を追い散らしつつ、トガンたちのところにまで追いついて来た。

 トガン百人隊はモンゴル本陣と敵投石機の間に横列に展開して、敵の大部隊の到来に備える。

 討ち漏らした敵兵や逃げ遅れた敵兵が、自陣に帰ろうとするのを惨殺しつつ。


 そうしておる間にも、ブーザールの第二隊は投石機を着実に破壊して行った。

 斧などの打撃に加え、油の入ったビンを投げつけた後に松明(たいまつ)にて火をつけ、破壊をより徹底的なものにした。


 ソクメズ率いる第三隊は逃げ惑う組立て兵の背を矢で射抜き、剣にかけて多くを殺した。


 敵の援軍が向かって来ておるのを見出すや、トガンはすみやかに第二隊・第三隊には攻撃の中止を命じ、負傷者を連れての撤退を命じた。


 そしてモンゴル騎兵が突進して来るその勢いを少しでもそがんとして、自隊に一斉の遠矢を命じて、その後に始めて撤退に移らせた。


 ただそれに敵兵がひるんだのは、わずかの間のみであった。

 新手は、先ほどの護衛とは明らかに異なり、凄まじき勢いで再び突進して来た。


「退くぞ。急げ。」


 そう叱咤(しった)しつつトガンは最後尾に付き、遅れがちの味方を急がせた。


 第三隊を率いてソクメズがかたわらに来て、


「良い判断だ。後は無事に戻ることだけを心がけよ。互いに援護に回りつつ、共に退(しりぞ)くぞ。」と告げた。


 トガン率いる第一隊は、第三隊と代わる代わるモンゴル側に遠矢を放って接近を(はば)みつつの退却を試みた。

 危うきところで何とか城門近くに戻るを得た。

 迫るモンゴル騎兵に対して、トガンたちの頭越しに城壁から矢の雨あられが加えられ始めた。

 これ以上の城下への接近を危険とみなしたのか、敵はあっさり退却に転じた。




「良くやった。」


 喜びの色をたたえてイナルチュクは、トガンたちを迎え入れた。


「うまく敵の(きょ)を突くことができました。」


 とトガン。

 その(ほお)は赤く火照(ほて)り、そしてそれが寒さの中を駆けたゆえのみでないことは明らかであった。


「それもそなたらの勇敢さと技量あってのこと。」


 とイナルチュクは更に()めあげた。




 ここまでお読みいだだきありがとうございました。

 ところで、急きょ1エピソードを加えたいと想い、2日ほど時日をいただきたく想います。

 投稿は3日後から再開したく想います。

 話のタイトルは『カンクリ騎馬軍の出撃、再び』を予定しております。

 どうかご了承ください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ