表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/199

16:オトラル戦13:カンクリ騎馬軍の出撃、再び1

人物紹介

ホラズム側

イナルチュク・カン:オトラルの城主。カンクリ勢。


ソクメズ:イナルチュクの側近にして百人隊長。カンクリ勢


トガン:同上


ブーザール:同上


カラチャ:スルターンにより援軍として派遣されたマムルーク軍万人隊の指揮官。


人物紹介終了


 戦勝を受けて、次の出撃にては、軍を増やした。

 トガンには、百人隊5隊を授けた。

 ブーザールには百人隊3隊。

――敵攻城兵器の破壊に特化した部隊はそれほど多くなく、オトラルには全部で百人隊7隊ほど。

――ゆえにこれでも半数近くを投じておることになる。

 そして、ソクメズ隊は、トガンと同じく百人隊5隊となった。


 次は西側の敵投石機の組み立てを狙うこととなった。



 部隊を増やしたおかげもあってか、先の戦闘以上の赫赫(かっかく)たる戦果を挙げ、撤退の途上にあるときのこと。

 その動きに最初に気付いたのはソクメズ隊の者たちであった。

――そしてそれを率いるソクメズもまた無論のこと。

 急ぎ副官の一人を呼び命じる。

――トガンの下に至り、新手の軍が現れたことを伝えよと。

――更には、ブーザール隊を守りつつ、城内へ退(しりぞ)くべく、トガンを補佐せよと。


 今回は部隊が増えたこともあり、トガンとは少し離れておった。

 副官が去ると共に、己は、百人隊5隊をもって突撃に入る。


(城を出る時は気付かなかった。

 といって、高台にあるオトラル城からは、全景を見渡せるゆえ、兵を伏せられるはずもない。

 恐らく、我らが敵投石機を叩いておる間に、側面に回ったものであろう。)


 撤退は前回と同じく、ブーザール隊を先に帰し、トガンとソクメズがしんがりを(にな)った。

 大きく分けて、ソクメズが左後方、トガンが右後方を担っておった。

 そのソクメズのおる左手の横合いから、騎馬の軍勢が土煙を上げて猛進しておるのが見えておった。

 ただ(ねら)うはソクメズ隊ではない。

 ブーザール隊の鼻先であった。

 またゆえにこそ、少し後方におるソクメズの方から良く見えた。


(ブーザール隊は気付くのが遅れよう。

 しかし敵は気付かれまいとしておるのではない。

 あの突進の様はむしろ気付いてくださいといわんばかりのもの。

 やがて気付こう。

――迎え撃とうとするか、

――側方へ、つまり敵が突進して来る方向と逆側に逃げ出すか、

 いずれにしろ、退却が止まる。

 当然、敵のねらいもそれである。


 そして後方から追って来ておるモンゴル軍との挟撃。それが最終的な目的に他ならぬ。)


 ソクメズに残された選択肢は一つのみ。

 こちらも敵の鼻先に部隊を突っ込ませるしかない。

 敵の仕掛けをつぶすには、それしかなかった。


(多いな。千。(いな)、その2倍か)


 囲まれ、逃げ(まど)う状況におちいれば、下手すると、オトラル城を目前にしての全滅もあり得た。


 しかし、あれを率いるは誰だ?

 例え突撃をかける方でさえ、否、自らそれをなさんとするゆえにこそ、往々にして()()(おそ)われるもの。

 よほど統率力に(すぐ)れた将と見える。

 その突進の激しさこそが我が軍に大打撃を与えることを、知っておるのであろう。


 そして、馬が足を痛めるのもいとわずに、懸命に駆けさせるも、間に合いそうになかった。

 とはいえ、突撃を()める気はなかった。

 鼻先がムリなら、どてっ(ぱら)に突っ込むのみ。

 それで少なくとも敵を分断でき、被害は(おさ)えられる。


 馬を駆けさせつつ、ソクメズは見た。

 突撃をかけんとする敵先頭近くに、黒のトクがかかげられておるのを。


(あれを率いるは統率力優れた将などとはとても言えぬ。

 命知らずのアホウであったか。)


 黒のトクの下には、将がおる。

 ――その情報は、城主が捕らえた捕虜よりもたらされておった。

 何を好き好んで先頭を走るか。

 命をあたら捨てる行いに他ならぬ。

 将ならば、つつしむべき行いのはず。


 ただ同時にそれは、突撃を最も恐るべきものに変える。

 将が先頭を走れば、旗下の兵は遅れるわけには行かぬ。

 命知らずのアホウが、将から兵へと広がり行く。


 そしてそのせいで、こちらの被害は甚大(じんだい)になる。

 ブーザール隊では持ちこたえられまい。

 といって己が隊は、後続を断つ必要があった。

 トガン隊に任せるしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ