第3章: プルトニウムの脅威と新たな修行の提案
元素図書館での調査は、数日間に及んだ。秀城は、ジンクとオクシアと共に、アクチノイド元素の中でも、アルケミスが使う可能性の高い元素に焦点を絞って研究を進めた。
「ウラン(U)は、核の燃料としては優秀だが、爆発力にはプルトニウム(Pu)に劣る。アルケミスが「究極の元素」と呼ぶからには、連鎖反応の効率が最も高いプルトニウムか、あるいはそれ以降の超ウラン元素の可能性が高い」
秀城が、古い元素構造図を見ながら分析した。ジンクは、その恐るべき力に背筋を寒くしていた。
「プルトニウムの力が、アルケミスの元素崩壊と融合したら、どうなるんだ…?」
ジンクが、恐怖を押し殺すように尋ねた。
「元素崩壊は、魔力で元素の結合を弱らせる。プルトニウムは、その弱った結合をきっかけに、連鎖的に核分裂を起こす」
オクシアが、記録オーブから読み取った情報を秀城の言葉に付け加えた。
「結果として、アルケミスの魔法は、魔力核を崩壊させるだけでなく、物質そのものを超高温のエネルギー波に変える、世界を滅ぼす魔法へと進化する」
秀城は、プルトニウムの波動記録を長時間見つめ、その連鎖反応のメカニズムを、彼の全元素習得の力でシミュレーションした。彼には、その連鎖の間に、一瞬の安定した隙があることが見えていた。
「この連鎖反応を止めるには…連鎖を繋ぐ中性子の流れを、光速で吸収し、安定した元素に変える必要がある。それには、ホルミウムの収束力と、イッテルビウムの精度だけでは足りない」
秀城は、周期表のさらに奥、アクチノイド元素の並びを指差した。
「俺は、アルケミスの究極の元素に対抗するために、プロトアクチニウム(Pa)を習得する」
プロトアクチニウム(Pa)。原子番号91。アクチノイド系列の第三番目の元素で、ウランの崩壊生成物であり、極めて放射性が高い。しかし、秀城は、その半減期の短さと、高い化学的反応性に、プルトニウムの連鎖を止めるためのストッパーとしての可能性を見出していた。
アルカイアが、その言葉を聞いて部屋に入ってきた。
「プロトアクチニウムか。賢明な選択だ。プルトニウムよりも不安定だが、その不安定さが、逆に反応の中和に役立つ。だが、その元素に触れることは、死を意味する」
「だからこそ、試練が必要です。アルカイア様、俺に、プロトアクチニウムの力を安全に制御できることを証明する機会をください」
アルカイアは、秀城の真剣な覚悟を受け止めた。
「よかろう。守護者として、そして元素図書館の管理者として、私は君に三つの試練を課す。これらを乗り越えられれば、君の全元素習得の力は、禁断の元素をも制御する調和の帝王として覚醒するだろう」
アルカイアが示したのは、秀城の精神、肉体、そして元素の調和の全てを試す、過酷な修行だった。
感想等お待ちしています。




