第2章: 二つの賢者の石、調和と崩壊
メンデレ秀城が、【世界浄化】の詠唱を開始してから、数分が経過した。彼の周囲には、賢者の石(調和)の力が集まり始め、大地から瘴気が浄化され、清浄な元素の光が立ち上り始めていた。それは、この汚染された世界にとって、唯一の希望の光だった。
しかし、アルケミス・ダークは、その光景を許さなかった。 「小賢しい…!貴様らの『調和』ごっこは、ここまでだ!」
アルケミスは、自身の肉体そのものである『崩壊の賢者の石』を、完全解放した。 「【超重元素解放・カタストロフィ・トリガー】!」
アルケミスの体から、精霊界で秀城を圧倒した『無』の波動が、黒い太陽と共鳴し、凄まじい規模の崩壊の嵐となって仲間たち四人を襲った。
「ぐあああああっ!」 ジンクの超電磁シールドは一瞬で貫通され、オクシアの絶対零度の結界も蒸発した。ナトリの恒星の炎は、崩壊の波動に飲み込まれ、アメリの鎮静化の力も、あまりにも強大な『無』の力の前には、押し返されてしまった。
四人は、一撃で戦闘不能となり、地面に倒れ伏した。
「(みんな…!)」 秀城は詠唱を中断しそうになるが、アメリがかろうじて意識を保ち、叫んだ。 「ダメです、秀城様!詠唱を続けて!ここで止めたら、世界が…!」
「フハハハハ!」アルケミスが高笑いする。「仲間が死んでも、貴様は詠唱を続けるか!それこそが、貴様の言う『調和』の限界だ!真の力とは、孤独!超越!私のように、全てを捨て、全てを支配する力のことだ!」
アルケミスは、秀城にとどめを刺すべく、崩壊のエネルギーを最大まで高めた槍を生成した。 「死ね、メンデレ・秀城。貴様の『調和』と共に、この世界から消え失せろ!」
崩壊の槍が、秀城の心臓めがけて放たれた。 もう、誰も守ってはくれない。秀城は、詠唱を続けながら、死を覚悟した。
その時。
「【プラチナ・イージス・ゼロ】!」 「【セレン・ディフレクター】!」
二つの声が響き渡った。 秀城の眼前に、白金の絶対防御結界と、光を屈折させる半導体の鏡が同時に出現し、アルケミスの崩壊の槍を、二重の防御で受け止めた。
「ぐっ…!重い…!」 「なんて力だ…!」
そこに立っていたのは、ボロボロになりながらも、地下都市から駆けつけた、セレン・ルミナスとプラチナ・ノーブルだった。
「セレンさん!プラチナさん!なぜここに!?」 「アルゴン様が…私たちにもしものことがあれば、全戦力であなたを支援しろと…」 セレンは、秀城の詠唱を止めなかった仲間たちの覚悟を見て、最後の切り札として転移してきたのだ。
「アルケミス!貴様の相手は、この私たちが引き受ける!」 プラチナは、白金の力を解放し、元素崩壊に唯一耐性を持つ貴金属の力で、アルケミスの崩壊エネルギーに抵抗した。
「愚かな…!貴様ら二人が加わったところで、この私を止められるとでも!?」 アルケミスは、秀城を守る二人の守護者に、怒りの矛先を向けた。
秀城は、二人の覚悟に、そして倒れた仲間たちの思いに応えるため、詠唱を最終段階へと進めた。 「(もう少しだ…!もう少しで、賢者の石(調和)が起動する…!)」
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